「音の葉 言の葉」 ~ダウランドのリュート歌曲と 今を生きる詩と~ 終わりました




イギリスはエリザベス朝のリュート歌曲を中心に、「いにしえの音楽」と「今を生きる詩」とを絡ませようと企んだ今回のコンサート。

プログラムにあるように、イギリスの作曲家ジョン・ダウランドの歌曲と、同時代のイギリスで一般民衆に愛されていた世俗曲に合わせて詩を朗読するという試みです。
詩は岡埜葡萄こと、私の自作。まさに「今を生きる詩」(笑)。
今まで書きためた作品の中から、歌のイメージに合うものを選ばせていただきました。




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今回の会場、原村のカフェ「魔法屋JIN」さんの店内です。
向かって右手がカウンター。左手側は、テーブル席となります。
お洒落でシックな店内には、いつもバッハが流れています。
10月末の原村は、すでにひんやりと冷たい空気に包まれていましたが、赤々と燃える薪ストーブのぬくもりが
三々五々集まっていらっしゃったお客様を暖かく迎えてくれました。
JINさんこだわりの紅茶とコーヒーを楽しみながら、さあ、いよいよコンサートの始まりです。



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私のオリジナルの詩に加え、今回はダウランドの『悲しみよ とどまれ』 "Sorrow stay"と、 
世俗歌曲『黒髪』 "Black is the colour of my true love'hair"の歌詞も私が訳させていただきました。
『涙のパヴァーヌ』 "Flow my tears"で知られるダウランドは、「嘆きの人」と呼ばれていたほど、数多くの恋の嘆きを歌にした人でした。
作曲者不詳とは言え、今も聴く人の心をとらえて離さない「黒髪」もまた、美しい旋律と詠嘆に満ちた魅力的な曲。
「今を生きる詩」と銘打ったタイトルと矛盾するようですが、これらの曲が歌われていた時代の古風で典雅な空気感や英語の原詞で韻を踏む響きは、口語より文語のほうが伝わるのではないかと思いから、いずれの歌詞も文語調で訳してみました。
あえて直訳ではなく、意訳で、とおっしゃって下さった謡子さんに感謝。



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                            詩・朗読       岡埜葡萄
                            歌          原謡子
                            ルネサンス・リュート   田村雄二






コンサートは儚げなリュートのソロで始まりました。
まず私が詩あるいは詞を朗読し、続いて謡子さんが原詞で歌うという形で、プログラムが進行していきます。
詩と詞、歌と歌とをつなげてゆくのは田村さんの繊細なリュート。
後世のヴィブラートを多用する唱法とは異なるルネサンス歌曲、謡子さんの透明な歌声は、どこまでもまっすぐに伸びて、丁寧な子音の発声や旋律の微妙な揺れが、切ない恋心をしめやかに歌い上げてゆきます。
対する朗読には旋律がありません。
でもリズムが、そして間があります。朗読の表情はそこから生まれます。
旋律こそありませんが、ある意味で朗読は音楽に近いような気もするのです。
ふうっと息を吸う。息を吐く。呼吸に意識を、声を重ねてゆきます。
名残りを惜しむかの様に減衰してゆく音楽と、旋律の中に漂う言葉の余韻。
深まりゆく高原の秋に似つかわしい、雰囲気あふれる演奏をお楽しみいただけましたでしょうか?

今回おいで下さったお客様のおひとりから、
「御自作の詩の朗読。初めて聴かせていただきましたが、頭の中に次々と浮かび上がってくる色とりどりの映像を追いかけてゆく心地良さ。お気に入りの一枚の絵のような素敵なコンサートを、本当にありがとうございました!」
という感想をいただきました。こちらこそありがとうございます。本当に嬉しいです。





今回私が朗読した作品はこちらからご覧いただけます。

  「鏡よ 鏡」       http://folli-2.at.webry.info/201012/article_6.html
  「いばら姫 異説」   http://folli-2.at.webry.info/201212/article_2.html
  「真珠」         http://folli-2.at.webry.info/200811/article_5.html
  「オンディーヌ」    http://folli-2.at.webry.info/201301/article_3.html
  「棘(とげ)」      http://follia.at.webry.info/200712/article_8.html


なお「黒髪」および「悲しみよ とどまれ」につきましては、委託されて訳した作品になりますので、
掲載は差し控えさせていただきました。




この記事へのコメント

HT
2015年11月05日 22:55
こんばんは。
コンサート盛会に終わられておめでとうございます。自作の朗読の反応はいかがでしたでしょうか。ご自分で書かれたものを大勢の前で披露することは素晴らしいことですよね。大昔、私弁論大会で県外にに行って喋っていたことがありました。若かったのですねぇ、今ではとてもとても…。今回のコンサート、若い証拠ですよね。これからも頑張って行ってくださいね。
2015年11月06日 09:26
コンサート、ご盛会おめでとうございます。そしてお疲れ様でした。
リュートにルネッサンス歌謡、そしてaostaさんの詩の朗読。素敵だったに違いありません。詩も拝読いたしました。aostaさんの詩は、とっても美しいです。ことばの流れとともに光や、色や、あたたかさ、冷たさ、空気のよどみや動きすら感じられ、その中に時の流れや感情が見え隠れするようで、、、全く美しい世界でした。それだけでもう音楽的ですね。そもそもaostaさんのブログの文章全てがもう美しすぎてます!!
2015年11月06日 15:08
◇HTさん

ありがとうございます。
今回は、私一人がP氏以外の演奏者と共演する初めてのコンサートでした。
その意味では、いつもでしたら「あ、うん」の呼吸で言わずもがなのことも、一つ一つ丁寧にコミュニケーションを取っていかなければなりません。いろいろな意味で学ぶことの多かったコンサートでした。
自作であるなしにかかわらず、常日頃、詩の朗読は難しいと思っていたのですが、白状すれば、今回の朗読は嵌まりました^^; なんと言っても、自分が書いたものですから、感情移入しやすいのです。気がつけば、すっかり岡埜葡萄」に成りきっていました(笑)

HTさん、弁論大会で県外で、と言うことは県内で勝ち残られたのですか?!
まっすぐに対象を見て、まっすぐに言葉になさるHTさん、そんな時もおありになったのですね。若かった・・・・ 私にも若い時がありましたが、実年齢とは関係なく、今も精神的には若くありたいと思っています(^^♪
katananke05
2015年11月06日 17:50
コンサート 大盛況のご様子、、よかったですね~  (^^)/
aosta sanの読まれた詩を
みさせていただきました、、
言の葉の 静かにあふれでるほとばしり、、を
わたしも味わう事ができましたよ~
美しい日本語が aosta sanにより 
大切に使われて しあわせでしたね~

わたしは
 「鏡よ 鏡~」と
棘が すきです~
2015年11月06日 20:07
◇Keikoさん

コメントありがとうございます♪
今回のコンサートは、演奏者を含め3人が初めての顔合わせでした。ルネサンス歌曲やルートという楽器がまだなじみの薄い土地柄に加え、会場となったJINさんも開業間もないお店で、コンサートを企画するのは初めてという、初めてづくし。その上、告知が出遅れたことも重なり、お客様は総勢15名。盛会と言うにはちょと寂しいコンサートでした。
それでもおいで頂いたお客様からは、大変嬉しいご感想をいただき、多々反省はあったものの、私を含めた出演者全員、この形でのコンサートを続けたいという気持で一致したコンサートでもありました。
情感あふれる謡子さんの歌に対して、お客様の心に響く朗読ができるか、私にとっても一種の正念場でもあったかと思います。物語の朗読と詩の朗読は同じように見えて、はっきり違うものであることも実感いたしました。言葉が少ない分、詩の朗読は難しいと思います。それでも、私には詩という形でしか伝えられないイメージがありました。

Keikoさんが拙作をお読み下さり、少しでも共感していただけたことを、本当に嬉しく思います。実はいっとき、P氏から「もっとどろどろした詩は書かないの?」と言われたことがありました。もちろん私の中にも綺麗事ばかりでない部分があることは事実ですが、その「どろどろ」はなかなか詩の形になろうとしません。言葉を並べれば、それらしい物は書けるかもしれませんが、無理をしたものはしょせんまがい物。私にとっての「詩」は、ある時突然、どこからか落ちてくるものということで^^;
謡子さんが今回のコンサートで歌った、"Black is the colour of my true love'hair"をYou Tubeにアップされていますので、よろしければお聴きください。
2015年11月06日 20:22
◇katanankeさん

Keikoさんへのお返事にも書きましたが、今回は初めてづくしのコンサートで、集客が思うように行かず、こじんまりとやらせていただきました^^;
でも結果的には、もっと大勢のお客様に聴いていただきたかったという感想も頂き、次回に期することとなりました。

「鏡よ 鏡」は個人的にも好きな作品です。
コンサートの始まりの朗読としても、ぴったりだったかな、と自画自賛(笑)
この作品も、ぽろりとどこからか落ちてきた詩ですが、うんうん脂汗流して作るというのはどうも性分に合わなくて^^; 私にとって「おっこちててきたもの」はありがたい宝物なのです。そうは言っても、書きあげた後でも、もっと相応しい言葉はないか気になることがたびたびで、過去にアップした作品でも、時々こっそり書きなおしています(笑) 「棘(とげ)」は私の不手際で管理画面に入れなくなり、継続できなくなった最初の「消えがてのうた」にアップしたかなり古い作品です。実はこちらも部分的に気になるところがあるのですが、管理画面に入れないことには直しようがありません。いつか現在の「Part2」で手直ししたものをもう一度アップしようかと考えています。
そういう意味でまだ納得できずにいる作品なのですが、その分、愛着もひとしお。
katanankeさんに気に行っていただけて、本当に嬉しいです♪
フェンリル
2015年11月06日 21:00
前回は素敵なお返事をありがとうございました!
コンスタンの「アドルフ」とは!aosta様にはいつも脱帽です。
実はラクロの「危険な関係」も大好きなのです。
なんだか私に似合わない世界ですが(笑)。
ところで、「棘」の朗読も素晴らしかったですね!
どんどん自分の心の中へ入り込んで行ったかと思ったら、
最後にパーッと意識が宇宙全体に広がったかのような衝撃。
一粒の水滴の中に宇宙があるという、華厳経の世界のようでした!
aosta様の詩からは溢れんばかりの色彩を感じさせられますが、「棘」は“空間”が印象的でした。
本当に詩というものは世界に働きかけるものなのですね!
これからも詩作と朗読を心より楽しみにしております。



2015年11月07日 01:00
◇フェンリルさん

今回も丁寧なコメントをお寄せ下さり、ありがとうございます。
コンスタンの「アドルフ」は新潮社の文庫で読んだのですが、岩波や角川に比べ新潮文庫には、どこかあかぬけて洗練された感じがして、いかにもフランスの心理小説にぴったりだと感じたことがなぜか鮮明でに覚えています。
時代は違え、ラディゲもラファイエット夫人顔負けの心理小説を残していることを考えると、ラクロからラディゲに至るまで脈々として繋がっている伝統を感じてしまいます。あらら、コンスタンに反応していただいたのが嬉しくて、ついつい脱線してしまいましたが、本題は「棘」でしたね^^;
「棘」はまだ納得がいかないところが多々ある作品ですが、katanankeさん宛てのお返事も書きましたように、私にとって、とても愛着のある作品の一つです。自ら書くことによって、痛みから解放されたと言ってもいいかしら。それはちょうど、フェンリルさんがお書き下さった「パーッと意識が宇宙全体に広がったかのような」感覚でした。書くという行為によって、私は多くのものを発見し、与えられていると感じています。
フェンリルさんのお言葉は大きな励みです。ありがとうございます。

追伸
「aosta様」はどうにもこそばゆくてなりません。「様」は遠慮させて下さいな。
katananke05
2015年11月09日 09:32
↑ あはは、、 私と同じ事 aosta sanが おっしゃっていて
おっかしい~
わたしもブログで 出会った事がある方が
私より年下なので ブログ中に 「カタナンケ様」、、と
書かれるので ご遠慮申し上げましたよ~   (^^)/
2015年11月09日 20:18
◇katanankeさん

あら、やっぱり?
「様」はどうにも気恥ずかしいですよね^^;
2015年11月09日 23:35
お返事をありがとうございました。
謡子さんの歌、聴かせていただきました。
大好きな感じです! きっとリュートにも合ったことでしょう。
aostaさんの詩とも合う感じがよくわかりました。
初回というのは色んなことが未知数で大変ですよね。でも今回は初めての事をなさってみたという事がとても大きなことだったと思います。ご出演者みなさまが、またやりたいと思われた事自体が大きな手ごたえでいらっしゃいますし、お客様が大変よろこばれたのも素晴らしいことですもの。きっと輪が広がっていかれることと信じています。私も聴きに行きたかったな~。
2015年11月10日 10:00
◇Keikoさん

おはようございます♪
謡子さんの歌をお聴き下さり、ありがとうございました。
ヴィブラートをかけないこの時代の歌を聴いていると、身体の中を清らかな清水が流れてゆくような心持になります。謡子さんが「バッハのカンタータを歌う時より、リュート伴奏でこうした歌曲を歌っているときが本当に気持ちいいの。」と言っていらっしゃいました。決して前に出過ぎない田村さんのリュートの響きと彼女の歌声が、一つに溶け合うように響いていった至福の時でもありました。
チラシを配っても手ごたえがなく、問い合わせのお電話もないまま幕を開けた今回のコンサートでしたが、立った一人でも聴きに来て下さる方がいらしたら、その方のためにベストを尽くしたいという気持ちでしたので、正直15名というお客様がご来場下さったことは、嬉しい驚きでした。すべてが手探りで始まった今回のコンサートでしたが、はやくも、次の機会に向けて気持ちが動いています。励ましのお言葉、ありがとうございます。
いつかきっとKeikoさんにお聴きいただける日が来ることを信じていますヽ(^o^)丿

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