花柄摘み




午後からは雨・・・
そう聞いて朝から薔薇の花柄を摘みました。

雨で痛む前に、満開が過ぎた花に、ひとつづつ鋏を入れて、手元の籠に入れてゆききます。



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目を上げれば、桜の樹に這いあがった野ばらが、なにやらもの言いたげに揺れて・・・・・
一重の花は小さく可憐。その花が集まって花房となり風に揺れる光景はいつ見ても本当にきれい。

時折、はらはらと花びらが零れ落ちる野いばらの樹の下で、摘んだばかりの花柄を選り分けます。
花弁の端が茶色くなって、すでに数枚花びらを落としているものは残念ですが処分します。
すでに開ききってはいても、まだ数日は美しく咲いてくれそうな花はそのまま、残します。





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散り際の花でも、まだ捨ててしまうには忍びません。
花首を短く切って、水を張ったガラスの器に浮かべましょう。
満開を過ぎた花の香りは、咲き始めたころに比べると、柔らかく穏やかです。
余分な葉を落とし棘を切りとる間も、あたりには一面、名残を惜しむかのように薔薇が香ります。






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あっという間にボールは薔薇でいっぱい。
写真を撮りながらP氏は言います。
「こんなにたくさんの花びらだから、ジャムにしようよ。」

薔薇の花びらのジャム・・・・
作ったことはあるけれど、あれは美味しいというより香りを楽しむためのもの。
きゅるきゅるとした歯ごたえも面白い。
でも、私はなぜか薔薇のジャムには心が動きません。

人知らぬ谷の村、真っ赤な薔薇の花びらを、とろとろとろとろ、弱火で煮詰めていたのは老ハンナ。
年を取ることを忘れ、永遠に生きることを定められた一族の物語。
薔薇の花びらでジャムを作るのは、不死という悲しく異形の運命を生きる一族のひそかな慣らい。
あの幻想的で美しい物語にこそ、薔薇のジャムは似つかわしい。



でもね。薔薇は、白薔薇。
どんなに煮詰めてみたところで、赤いジャムにはなるはずもなく。
だから、ひとつまたひとつ・・・・
せめてこうして水に浮かべて儚い命を惜しみましょう。

鼻腔いっぱいに広がる馥郁とした香りが。時間を超えてゆきます。
遠い昔のあの時も、確かに薔薇が香っていた。
今のこの香りは、これから来たるべき時にも漂っているかもしれない。
香りはあの日と、これから巡り来る日を結びながら、静かに流れてゆきます。








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ガーデン・シェッドの屋根の上でポールズ・ヒマラヤン・ムスクも咲き始めました。
色も形も桜によく似た半八重咲きの可憐な薔薇ですが、寒さに強く、とても丈夫なランブラーです。






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こちらは野ばら。
「野いばら」と呼ぶのがぴったりの、暴れん坊の野生児です(^-^;






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そしてこちらも、やっぱり野ばらですが、自立しないまま、棘で立ち木に這いあがってゆくタイプ。
しな垂れるような枝先に繊細な花を咲かせます。


名前は同じ野ばらでも、花はそれぞれ。みんな表情が違います。
どれもみな、小鳥が運んで来てくれた贈り物。
実生で育った野ばらたちは、ひそひそと風に揺れるばかり。







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この記事へのコメント

HT
2015年06月17日 11:41
こんにちは。
バラの花びらのジャムですか…どんな感じになるのだろう…。
沢山のバラが咲いていて、お天気がいい日は綺麗なのでしょうねぇ。私の家に僅かにあるバラ、可哀そうに今年はまったく花を付けませんでした。秋は如何かなって。
お手入れも大変そうですが、あまり無理をしないように楽しまれてくださいね。
2015年06月18日 00:07
花柄摘み・・それはただの花柄摘みではなかったですね~。おしゃれです。バラの花びらのジャム、私も食べたことがありますが、結構高価ですよね。その分香りを楽しめましたけど、なんだか勿体なくてチビチビ食べてた事を思い出しました。 花をきれいに咲かせる為にはいろいろな手順もありますが、こうしたことができると思うと、楽しさに変わりますね。広すぎてお花も多いとそうでもないのかしら?
ぴぴん
2015年06月18日 07:17
うーむ、「ポーの一族」。
思えば私のバラ熱は、あそこに端を発しているのかもしれません。
「バラのジャムを紅茶に入れて飲む」ことに憧れたのもあの頃でした。
katananke05
2015年06月18日 09:56
バラのジャムは パンにぬってむしゃむしゃ食べるには
あまり  goodでないような、、
紅茶にひとさじ、、が このましいかも、、
こんなにいっぱい採れるのなら いちど
お風呂に花びらを浮かしてみたい~
千葉のゴルフクラブで たまたま訪れたときに
赤やピンク 白の花びらがいっぱいの お風呂にはいれたときがあり
クレオパトラの気分?だったわ~
2015年06月18日 15:27
こんにちは。
はじめまして。

薔薇の花びらのジャムに出会ったことはありませんが
香りのみ想像がつきます。
広がる香りを感覚でいただくものであって、決して
「食する」という思いで臨んではいけないような、
それくらい価値のあるもののように想像しています。
枝での人生(?)だけが薔薇の人生ではありませんものね。
とても素敵なお時間をお過ごしになっておられるのですね。

先日はご訪問いただきありがとうございました。
伺わせていただくのが遅くなりまして申し訳ございません。
あらためまして、どうぞ宜しくお願い致します。


2015年06月19日 06:35
◇HTさん

おはようございます。

>バラの花びらのジャムですか…どんな感じになるのだろう…。

そうですよねぇ。ジャムといったら普通は果物で作るものですもの(^^ゞ
バラの花びらでジャムを作ろうと思った人はやっぱりその香りにひかれたのでしょうか。
花びらそのものには、ほとんど味はありません。ジャムつくりに必要なペクチンという成分も少ないので、リンゴなどと一緒にジャムにする方もいらっしゃいます。
味わうというよりは、雰囲気を楽しむものと考えたほうがよさそうです。
HTさんのお庭の薔薇、また元気な花をつけるといいですね!(^^)!
2015年06月19日 07:19
◇mintさん

コメントありがとうございます。
満開を過ぎた花びらが葉っぱや蕾の上に散るのは、薔薇に限りませんが、花びらの多い薔薇の場合、雨で花びらが張り着いてしまい、これから咲く蕾がきれいに咲けなかったり、葉っぱが病菌なったりしてしまいます。
花柄を摘むのはそうしたことを防ぐ意味があります。
茶色く枯れた花がいつまでも残っているのは見栄えも良くありませんしね(^^ゞ

薔薇のジャム、確かにお高いですよ。
値段もさることながら、薔薇を食べる、ことに少々抵抗があります。
2015年06月19日 08:45
◇ぴぴんさん

コメントをいただきありがとうございました。
何より、「ポーの一族」に触れて頂き、嬉しいです(^^♪
薔薇の花びらを見つめる老ハンナの手元を、じっと見つめるまだ幼いエドガーとメリーベル。むせるような薔薇の香りに満ちた、ポーの村・・・・
萩尾さんの絵の繊細なタッチ、詩のような言葉はあまりにも美しく、私もこの作品で、薔薇の花に惑わされるようになったような気がします。
当時行きつけの喫茶店で、砂糖漬けのスミレの花が一輪添えられてた紅茶を飲みながら薔薇のジャム入りの紅茶を想像したものです。
2015年06月19日 08:53
◇katananke05さん

そうですよねぇ。薔薇のジャムは、むしゃむしゃという雰囲気ではありませんね。
やっぱり紅茶に入れるのがベストだと思います。ヴァニラアイスクリームにそっと添わせるのもいいかもしれません。

>お風呂に花びらを浮かしてみたい~

おお! その手がありましたか!(^^)!
薔薇の香りに包まれて、ゆっくりバスタイムを楽しむ・・・・
なんて贅沢で豪華なお風呂でしょう。この時期、薔薇の花びらには事欠きませんから、絶対試してみます。私もクレオパトラになれるかしら(^^ゞ
2015年06月19日 09:05
◇テンプルさん

お越しいただき、ありがとうございます(^^♪

いわゆるエディブル・フラワーと呼ばれる花たちを頂くことには、さしたる抵抗はないのですが、薔薇に限って躊躇してしまうというのは、我ながら不思議です。
それだけ愛着があるということなのかしら。

>決して「食する」という思いで臨んではいけないような・・・

本当に薔薇の花にはそう思わせる何かがあるように思います。
長い長い歴史の中で愛され続けてきた薔薇には、人々の深い思いがこもっているからなのかもしれませんね。


2015年06月19日 15:43
学校の隣に修道院があったんだけど、今は別の所に移って、それでその元修道院のお御堂で今月からミサをするので、来ないってシスターからメールがあってでかけたんだけたの。
私も目的はもう一つあって、駄目だとおもっていたけど、学校の校門の所の白い蔓バラが見たかったの。で、やっぱり遅かったわ。
自分ちに咲いているのもいいけど、あそこのあの花っていうのも良いもね。

私もベロニカ植えたけど、花があんなのではなかったわ。多分秋に咲いていたとおもうけど、今度教えてね。花はブラブラ揺れるのが好きなの。
2015年06月19日 22:49
◇さえさん

こんばんは。
修道院という場所は、聖務日課の祈りが絶えない場所だからかしら、聖別された特別な空気感を感じます。
シスターから直々にお誘いがあるなんて素晴らしいですね。
しかも白薔薇も楽しめるなんて最高だと思います。白いつる薔薇と言っても、たくさん種類があり増すが、どの薔薇だろうと気になります(*^^)v

ベロニカってトラノオの仲間だそうですが、矮性のものから50㎝以上になるものまで、たくさんの種類があるようです。
我が家の庭にあるのは、青花のクレーターブルーやオックスフォードブルーなどの青花や、ピンクの花を咲かせるもの(名前、失念してしまいました。今度確認しておきます)など、数種類のベロニカがありますが、どの子も丈夫でよく増えます。
さえさんのお家に咲いたベロニカはどんな花なのかしら。ベロニカは同じ仲間とは思えないくらい花の形のバリエーションが豊富です。また見せてくださいね。
そうそう、オカトラノオもいっぱい蕾をつけていますよ(*^^)v
さえさんも揺れるタイプの花がお好きなのね。
私もいろんな花がさわさわと風になびいている庭が理想なのです。

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