"CROSSOVER" 歌声・律動・身体表現



11月3日、茅野市民館のマルチホールで行われたイベントを観てきました。

題して"CROSSOVER"
音楽とダンス、映像といったことなった表現が一つのステージの上で出合い、交錯する文字通りのCROSSOVER。
気鋭の若手たちによる意欲的な試みとあって、ホールは開場直後からほとんど満席の状態。




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高まる期待の中、幕が上がると、ステージ上には巨大なステンレスの支柱が照明の中で輝いています。
?と思うまもなく、4本の柱の後ろに設置されたスクリーンに映し出されたのは、乱反射するような光跡、銀河のような輝き、優雅な海月のシルエット・・・・
幻想的な映像とともにプログラムの最初の曲、シンセサイザーによる「Mermaid Lagoon」が始まりました。
見る人によって見えるものが違うであろうさまざまなイメージが音楽とともにゆらめき、輝き、拍動しています。
重層的な音の重なりと、迫力のある低音の響きがドラマティックかつメロディアスな「Mermaid Lagoon」は、今回のステージのために作曲されたオリジナルです。
スクリーンからステージの上へと視線をシフトすると.、そこにはひたひたと音もなく素足で踊るダンサーたち。
ジャンルからすればコンテンポラリーなのでしょう、クラシックバレエのような型や約束がない分、身体表現としては過酷かもしれませんが、一見華奢に見えるその身体が、強靭な筋肉に支えられて、雄弁に語り始めます。
なるほど、"CROSSOVER"!




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第一部はクラシックの名曲をシンセサイザー演奏と歌、ダンスで幻想的なステージの実現です。
プッチーニや、ロイド・ウェッバー、カッチーニと多彩な曲で魅了されたなかでも、ジナステラ作曲によるバレエ組曲「エスタンシア」は初めて聴く曲でしたが、律動的でメリハリのある曲、ダンスを楽しめたことは大きな収穫でした。

第二部の圧巻はエアリアルダンス。
エアリアル・ダンスとは、ステージの天井近くから床面まで吊り下げられた”シルク”と呼ばれる布、もしくは金属製のリングを使った空中でのパフォーマンスのことだそうです。
世間でよく知られている、シルク・ド・ソレイユのあれですね。
シルク・ド・ソレイユの名前は聴いてはいたものの、浅学にして初めてのエアリアル・ダンス。
長く垂れ下がった「シルク」を自在に操って繰り広げられる緊張感に満ちた美しい演技、強靭にしてしなやかな体のライン・・・・無駄のない動きはまさに目を見張る迫力でした。

やがて暗転した舞台の遠くから聞こえてきたのは、お腹に沈むような和太鼓の響き。
「さくらさくら」のステージ、最後の曲「ネオ・ジャパネスク」は、オリエンタルな雰囲気と現代的なドライブ感がひとつになったダンサブルな曲でした。
暗がりの中で光る色とりどりのランタンを手にしたダンサーの動きは、次第にリズミカルに高揚していきます。
場違いとは感じながらも、思わず連想したのは北野武監督・主演の日本映画「座頭市」のあのシーン!
そう、和太鼓のリズムだけで大勢の群集がタップダンスを踊るあの場面です。
ダンスというところだけ注目するなら(タップダンスとコンテンポラリ・ダンスとでは目指すところが違うのは当たり前ですが)、この「ネオジャパネスク」の振り付けは、勢いだけでなく、ひねりも効いてとてもアーティスティック!
完全に音楽とひとつになったその動きは、「踊る」という行為が原初の時代から音楽とともにあったことを実感させてくれるものでした。

そして第一部、第二部を通じてステージを華やかに彩った伸びやかな歌声。
深みのある低音に透明な高音。歌声と音楽とダンス、そして映像。
それぞれ異なった才能が見事に調和して作り出したひとつの世界。
舞台中央、前から4列目という最高の席で堪能した1時間30分は本当に楽しい時間でした。






さて、ここからはプライベートなひとりごと。
つまりは身内の話です。
そんな話には興味がないという方は読み飛ばしていただいてかまいません。
悪しからずお許しのほど


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今回のステージで音楽を担当したのは矢島照敏。
プロフィールによれば、テレビCMやプロモーションビデオのための映像音楽を手がけるサウンドデザイナー。
最近ではTOYOTAやSUBARUのBGMを担当、とありますが、実は主人の甥っ子なのです。
作曲家としてはまだ駆け出しゆえ、家業を手伝いながら積年の夢を実現すべく精進する日々。
そんな彼を見ていれば、主人でなくとも応援したくなるのは人情。
とは言え、身内だからとむやみやたらと応援するのではありません。彼には才能があると思うからです。
今回のオープニングにも使われた「「Mermaid Lagoon」」および「ネオ・ジャパネスク」は彼のオリジナル。
シンセサーザーと聞けば今まで富田勲と喜多郎くらいしか知らなかった私ですが、照ちゃんの曲には彼だけのオリジナリティーを感じます。
確かな「音のイメージ」がなければ実現できない音の重なり、音の手触り、イメージの豊かさ。
それはたとえば、「音」に対するセンス。
オリジナルの楽器の音色を再現するのではなく、自在に色を付けてゆく感性です。

言うならば今回は照ちゃんの晴れ舞台。
オリジナル・編曲を含め、照ちゃんの曲はすべてのパフォーマンスをつないでいきました。
しかしながら「作曲者」はステージには上がりません。
ならばせめて、この場で拍手を送りたい。

さて次回は、どこでどんな音楽を聴かせて(見せて?)くれるでしょうか。
照ちゃんだけでなく、今回のステージに関わったすべての若者にエールを送りたいと思います。





この記事へのコメント

HT
2014年11月05日 18:09
こんばんは。
私なんかではキット理解の出来ないようなステージだったように感じます。歳だから若い人の音楽について行けれないという事もあるのかもしれませんが、私結構若い人の音楽聴いたりしています。たまには「煩い」って思ってしまうこともありますが。私の次男君バンドしていて松本で初めてコンサートやったときに観に行きましたが、全く理解できなかったです…。
甥っ子さん凄いですねぇ。音楽の血筋がきっとあるのですね。若い人に、思い切り頑張ってほしいですよね。
ぶんな
2014年11月06日 14:39
置いてきぼりを喰らわないように、CD屋さんに行くとロックの最新版などの試聴も心がけた時期がありました。それでか、今どきの音もうるさいと思うことはありません。
民放を見る事は滅多にありませんが(主人が好まないので)、たまにコマーシャルの音楽などを聴きますと、やはりこの方面の才に目を、いえ耳を瞠る?ことがあります。殊に大手メーカーともなると、かなりな要求があるのではとも推測されます。
P氏の甥の方でらしゃるんですね。様々なものを鋭敏に捉え、音に成していらっしゃるのでしょう。耳にする機会があるかもしれません。
2014年11月06日 17:15
◇HTさん


コメントをありがとうございます。
いえいえ、今回のステージは若い人たちだけではなく、子供さんから年配の方まで楽しめる素敵なエンターテインメントだったんですよ!
実際広い年齢層のお客様が大勢おみえでした。シンセサーザーと聞くと縁がない楽器のように思われるかもしれませんが、HTさんも何十年か前に(笑)、NHKで放送された「シルクロード」のドキュメンタリーをご覧になられたことがあるのではないでしょうか。広漠とした砂漠に点在するオアシスや古代の遺跡などの映像が素晴らしかっただけでなく、印象に残る美しいテーマ音楽はシンセサーザーによるものでした。
電子音楽などと聞けば、ちょっと身構えてしまいますが、あの「シルクロード」のテーマにしても、今回の照ちゃんの音楽にしても、抒情的で美しいメロディラインの曲だったんですよ(*^^)v
義姉がピアノ、その長男は作曲、主人はリコーダー、とくれば確かに何か音楽的な血筋というものはあるかもしれません。そうそう、主人の従弟もギタリストで、みなプロです。プロという意味では、武藤は出遅れたのかもしれません(^-^;
2014年11月06日 17:33
◇ぶんなさん

こんばんは♪
ぶんなさんはロックもお聴きになるのですか?!すごい!
私はさっぱりです(/_;) そもそもアノヴォリュームについていかれません。
照ちゃんの作曲した曲は、モーターショーなどで、映像と一緒に使われることが多いようです。車が走る映像と一緒に流れるような旋律と躍動的なリズムがひとつになったなかなか素敵な曲です。ただ、ぶんなさんが仰るとおり、オファーが大手ですと要求はかなりシビアなようです。
音楽を演奏する立場と、作曲する立場とでは、それぞれ必要とされる感性が微妙に違うかもしれません。無から有を生み出す作曲という仕事はには、きっと私たちにはわからない苦労があるのだと思います。今回、同世代の仲間に恵まれたとはいえ、あれだけのコンサートを成功させたことはこれからの彼にとって大きな自信になることと思います。いつかどこかで照ちゃんの曲を演奏したいというのは、Pの願いでもあります(^^♪

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