さやさや さやぐ





さやさやと 凍てつく窓辺で 声がする

あれは 風がささやき交わす音


梢を揺らし 枯れ葉を騒がせ

形にならなかったものたちが

夜の水の中へと 落ちてゆく





画像

エドワード・ロバート・ヒューズ(1851~1914) 「夜」





水は 鎮まろうとするのだけれど

夜の耳は 遠く 澄んでいくばかり

さやさや さやさや 

さざめく声で 眠れない






明け方 寝不足の水は  

薄氷(うすらひ)となる
                          
 


いつからか ひっそり息づき

頑なに結晶している

こころの中の 小さな石を

かそけく 張りつめたばかりの 氷の上に

そっと 落としてみる


                 




by aosta   2012/11/25






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この記事へのコメント

カタナンケ
2012年11月25日 17:45
薄氷は
「かたくなに 結晶している」、、 
すてきな 表現~

梨木香歩さんの世界みたい、、
水と 沼と 森と、、
結界のむこうに ひきずられないでね
あはは~
ぶんぶん
2012年11月25日 19:50
よい詩ですね。
石を薄氷に落としたときに果たしてどのようになるのでしょうか。
石が砕けるのでしょうか。薄氷に亀裂を生じ、そして石はどこかに飛んでいくのでしょうか。
薄氷をすっぽりと突き抜けて薄氷に小さな丸い穴を残して、石はどこまでも沈んでいくのでしょうか。
石ははじき返され、薄氷は無傷で、そして石は、もしかしたら、誰も予測していなかった、或いは、異次元の世界にぽんと入ってしまうのかもしれない。そして誰もそれを永遠に見ることはできないのかもしれない。
こんな連想が浮かびました。
ほんとうに冷え込んでまいりました。
どうぞくれぐれもご健康が守られ、日々の道すがらが守られますように!!
2012年11月25日 20:14
◇カタナンケさん

こんばんは。
早速のコメントありがとうございました。

>梨木香歩さんの世界みたい

そう言われてみると、なんとなくそんな感じがするような気になってしまいました(笑)
梨木さんは、とても好きな作家さんです。『家守綺譚』や『 f 植物園の巣穴』など何回も読み直しています。「水と沼と森と・・・」というと言葉のイメージとしては『沼地のある森を抜けて』あたりでしょうか。実は私、まだこの本を読んでないんです。庭の冬支度もひと段落しましたし、ゆっくり読んでみたくなりました。
2012年11月25日 20:24
◇ぶんぶんさん

こんばんは。
ぶんぶんさんから「良い詩ですね』と言っていただくと、木に登ってしまうaostaです(笑)。

>石を薄氷に落としたときに果たしてどのようになるのでしょうか。

そうなんです。
本当に書きたかったのは、石を落したあとのこと。でも、あえて書きませんでした。
ぶんぶんさんのように、いろいろ想像していただけたら、きっとそのほうが面白い、と思ったから。心の中の、いわば鬼っ子のような小石。実体のない小石でも、落としてみたら、何が起こるのかしら・・・そんなふうに考えながら言葉を繋げてみました。
実(じつ)を伴わない、意識としての「落とす」「投げる」という行為の波紋はどこまで広がって行くのでしょう。
さやさや、というオノマトペが真っ先に頭に浮かんで、それにひきずられるように浮かんできた詩です。嬉しいコメントをありがとうございました。
ねこギター
2012年11月26日 01:33
深々と冷え込んでいく夜。
aostaさんはじっと耳を澄まして聴いている。
研ぎ澄まされていく感覚と幻想的イメージが、やがて詩へと結実していく。
「寝不足の水」という表現がユーモラスで、薄氷となったがちょっと愛らしく感じるくらい。
「いつからか ひっそり息づき/頑なに結晶している/こころの中の 小さな石」
その小さな石とは何なのだろう。
仁丹くらいの大きさかな、いや正露丸くらいか。
そして小さな石が薄氷に触れた瞬間、何が起こるのだろう。
しかも、「そっと」落とすんですよ。
案外、その小さい石の方がパチンと破裂したりして―。
なんてことを考えたりして楽しませていただきました(^^)。
やっぱり表現者としてのaostaさん、素敵です。
2012年11月26日 07:24
◇ねこギターさん

おはようございます。
今朝はこの冬初めての本格的な雪になりました。このままですとかなり積もるかもしれません。

「寝不足の水」に反応してくださって、ありがとうございます(^^♪
眠れない自分を水に投影したのか、ふとこのフレーズが浮かんできたら、どうしても頭から離れなくなって・・・ この言葉だけちょっと雰囲気が違うのでは、と思いながら、どうしても使ってみたかったので、ねこギターさんから感想を頂き、とても嬉しいです。 
イメージを言葉に置き換えて行く過程は迷いの連続ですね。この詩にしても最初と最後とで、選んだ言葉がずいぶん変わりました。言葉を足してみたり、替えてみたり、いろいろ考えるのですが、結果的には引き算をすることの方が多いような気がします。

小石の大きさ・・・
イメージでは正露丸かしら(笑)
でも見た目より重いことは確か。氷の上に落としたら、どうなるか、私もいろいろ想像してみるのです。石は小さいけれど、心の中で転がるたびに、その存在を思い出させる。捨てたくても捨てられないまま、少しづつ大きくなって、今では私の一部になってしまったような石。異物?というにはあまりに近い。さて、何ものなのでしょうね(笑)。
カタナンケ
2012年11月26日 11:14
最近読んだのが 「沼地のある 森をぬけて」ですが
う~ん ちょっと私はよくわからん、、というか
最初の頃の 「家守綺譚」のや 「西の魔女、、」あたりがすきです、、
きのう 「村田エフェンディー 伝」かしら読みおわりましたが
トルコに滞在した 考古学者のはなしで(明治の時代かなあ?)
これは 史実にもとずいた 話なのか
作者の あとがきがないので わからない、、
ちょっと おもむきが違います~
カタナンケ
2012年11月26日 11:30
↑ 「村田エフェンディー 滞土録」というタイトルでした、、
じつは 最後の日本に帰国してからの 村田先生(エフェンディーは
尊称らしい)の章だけ 残して昨夜は寝たのですが
第1次大戦前のはなしのようで
トルコの船が和歌山沖で 沈没、、多くのトルコ人が犠牲になったけど
それを助けた村の人々(これは 事実)の感謝のかわりに
留学生として 村田先生は 考古学の勉強に トルコ政府より
招聘された、、という元があるようです、、
いい加減な読み方で 失礼しました、、
史実がとても忠実に かかれていて 人種も種々登場するという
ところは 作者の 思うところを あらわしているのでは、、と
思います~
2012年11月26日 19:53
◇カタナンケさん!!

昨夜、カタナンケさんへのお返事を書きながら「沼地のある森をぬけて」を読みたくなったと書きましたが、そのあと、眠りにつく前に何か本を読もうと、ベッドサイドに積んである未読の本を物色していましたら、あったのです!「沼地のある森をぬけて」の文庫本が!!!買ったことをすっかり忘れたまま、ずっと他のほんの下敷きになっていたんですね。偶然と言えば偶然ですけれど、凄い!最初の数ページで、すでにやられた!と思いました。そのあとは怒涛の如く一気に読みとおして、読み終わったあとはしばし呆然。これは、凄い本だと思います。カタナンケさんのコメントがなければ、ず~っと、忘れらたままだったかもしれません。その意味でも、カタナンケさんに御礼を申し上げなくては。
ちょっと落ち着いたら、もう一度読み直してみます。一回だけでは、咀嚼出来ないスケールの大きさ、深さをもった作品だと思いました。
2012年11月26日 20:08
◇カタナンケさん

「村田エフェンディー滞土録」のこと、教えてくださいまして、ありがとうございます。
和歌山県沖のトルコ船海難事故とは、エルトゥールル号難破のことと思います。梨木さんの本は知りませんでしたが、エルトゥールル号事件の顛末については、今に至るまでトルコが非常な親日国であることの背景として知ってはおりましたが、事故後、トルコから招聘された留学生がいたことについては、全く存じておりませんでしたので、こちらも読んでみたいと思います。トルコは歴史的にも文化的にも非常に興味のある国です。
今年の春、東京のトルコ料理のレストランに出かけた際、店内に掲げてあった写真のケマル・アタチュルクを話題にしたところ、思いがけないほどのサービスをしていただいたことがありました。アタチュルクが独立に際して規範としたのも、日本でしたね。思いがけないところで、トルコと日本の深い縁(えにし)を感じてしまいました。それだけ日本に好意を持ってくれているトルコのついて、日本人はあまりに無関心だと言う事実が本当に残念なことと思います
2012年11月28日 23:50
さやさやと・・・いいリズムですね。

かたちにならなかったものたちの結晶は
どこかけだるそうでもあり
思わぬ反撃をくらいそうな意志もあり

aostaさんの独特の世界ですね。
絵もすてき・・・ちょっと描いてみたい雰囲気です。

今日の月、何度もながめました。
よき眠りを・・・。
2012年11月29日 05:59
◇七海さん

おはようございます。
コメントありがとうございました。

昨夜はこちらも月明かりもさやかな夜となりました。
「さやさや」は、ここ数日私の耳音から離れなかった響きでした。
さ行の音が好きなのは、漂うような気配とともに、耳に優しく感じるからなのかもしれません。

>思わぬ反撃をくらいそうな意志もあり

まさにおっしゃる通り!案外油断できない、したたかな様子もありそうです。(笑)
私は七海さんのように自分で絵が描けないので、毎回、言葉のイメージに会うものを探差なければなりません。ぴたりと思い通りの絵に出会った時は本当に嬉しいのですが、実はこれがとても大変。すてき、と言って下さって嬉しいです。

カタナンケ
2012年11月29日 11:26
「沼地のある 森をぬけて」は 最初図書館での 検索には
みんな貸し出しの 長期待ちで
仕方なく アマゾンで 購入したら
なんと その後 地元の図書館でみつけ、、
これは 我が家に保管しもってろ、、ということかしらと、、
 このような 啓示的 哲学的な文章は
私の頭ではなかなか 理解しがたく、、
でもaostaさんの いわれたことを あたまにおいて
また読み返してみます~
いぜんも なにか このようなこと  aosta sanと なかったかしらん
別の人だったかなあ~

2012年12月03日 07:08
◇カタナンケさん

コメントありがとうございました。お返事が遅れてごめんなさい。
「啓示的」とはまさに!!
梨木さんとは、20年近く前(?)に「裏庭」で出会いました。あの当時から考えると、信じられないほど遠くまで来たような気がします。翻訳文学の気配を残していた「裏庭」から、粘菌経?!植物と動物、人間が、種の壁、さらには時間の壁を越えて交感し合う。
彼女の世界って、本当に独特。ほんとうに凄いと思います。カタナンケさんから頂いたコメントでこの本を読むきっかけを頂いたこと、とても嬉しいです。

>別の人だったかなあ~

小川洋子?
実は私、「薬指の標本」や「ホテル・アイリス」の世界も大好きなのですよ。
小川さんという作家も、非日常を書くことで、別世界を実現してみせる凄腕だと思います。
2012年12月03日 10:10
aostaさんの詩って、いつも心に染み渡りますね~。ほっこりしました。 今月はいよいよクリスマスの月、いいお祝いができるよう少しずつ準備に入ります。
かたなんけ
2012年12月03日 17:50
小川洋子で あったこととは ちゃうとおもうけど、、

その小川洋子 薬指も アイリスも 沈黙、、も
博士も 猫をだいて、、も ミーナもほとんどよんでますが
今年の一押し(わたしの 独断ですが)
「人質達の朗読会」
まだ読んでらっしゃらなかったら ぜひぜひ
読んでいただきたいわ、、 
胸にしみます、、
2012年12月04日 12:49
◇mintさん

こんにちは。

>今月はいよいよクリスマスの月

時間が経つのってどうしてこんなに早いんでしょうね。
あっという間に師走。信じられない速さで1年が終わろうとしています。
私は、詩という形で束の間、そうした流れに逆らおうとしているのかもしれません。時がしばし歩みを止める束の間がたとえ一瞬であっても、私にとっては愛おしいひと時なのです♪
2012年12月04日 12:58
◇かたなんけさん

小川洋子ではありませんでしたか。
最新作「人質達の朗読会」も評価が高いようですね。小川洋子の作品には、ハズレがない。これはすごいことだと思います。作品を書く前には、とても緻密に取材なさると聞いていますが、むべなるかな。作品世界も不思議ですが、「小川洋子」という作家(人間)もとても不思議な感じがしませんか?デビュー当時とかわらないこの「不思議さ」こそが、私をひきつけて止みません。
「人質達の朗読会」、も今回の「沼地のある森をぬけて」と同じく、読むべきときが用意されているような気がします。

>ぜひぜひ 読んでいただきたいわ

はい。必ず! 
かたなんけ
2012年12月04日 20:23
いえいえ、、小川洋子さんの 最新作は
次がでておりまするよ~
「ことり」です、、これも あらすじを知ってますが
まだ読んでいません、、
小川さんの作は だんだん透明度がたかくなり
そのうち透き通って 消えてしまうのでは、、と
心配になるくらいです~
(消えたかすみのなかに きらきらと 光り輝く 針のような
ミントの結晶が 残っているような~)
↑  見たことありますか?
2012年12月05日 06:37
◇かたなんけさん

「ことり」!!
なんて素敵なタイトルでしょう!これだかけでわくわくしてきました(笑)。
何と言うか、情報に疎い生活というか、意識的に情報をシャットダウンしていることもあるのですが、必要なものも一緒に遮断されてしまうこともあるのです^^;
でも、ちゃあんと、本当に必要な情報は向こうからやってくるんです。
今回かたなんけさんが教えてくださったようにねヽ(^o^)丿

>小川さんの作は だんだん透明度がたかくなり
そのうち透き通って 消えてしまうのでは、、と
心配になるくらいです~
(消えたかすみのなかに きらきらと 光り輝く 針のような
ミントの結晶が 残っているような~)

凄くすてきな表現!
霞が消えてしまったあと結晶だけがきらきら光っている・・・
まさに「小川洋子的」!

ミントの結晶、みたことあります(^^♪

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