消えがてのうた part 2

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zoom RSS vol.7 サマーコミングル クヴァンツ「トリオ・ソナタ ハ長調」

<<   作成日時 : 2012/08/10 22:44   >>

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昨年はP氏の体調がすぐれず参加が叶わなかったサマーコミングルでしたが、
今年はもう一度演奏の場に加わりたい、という彼の願いが実現しました。

今年も緑濃い蓼科の雑木林の中に建つ「ハーモニーの家」に、こよなく音楽を愛する演奏家が集い、
音楽へ想いを深め、また共有した”サマーコミングルvol.7”の熱い4日間が終わりました。


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国内のみならず、遠く海外からも駆けつけて下さった演奏者の皆さんが、1年ぶりに顔を合わせ
ともにアンサンブルを楽しんだ4日間でした。
練習からゲネプロまで、随時見学が可能のプログラム、最後の二日間は、入場無料のコンサート。
前回と同じくP氏はリコーダーで、私は裏方のお手伝いという形で参加したコミングルは、
様々なアクシデントがあったにも関わらず、大勢のお客様をお迎えし、大成功のうちに終わることが出来ました。





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今回P氏が演奏したのは、17世紀後半から18世紀のドイツで活躍した作曲家クヴァンツのトリオ・ソナタハ長調。
おお、ハ長調なら演奏はたやすいのでは!・・・と思ったのは、浅はかな私の勘違い。
P氏曰く、リコーダーのパートはト長調に転調されることが多く、その運指がなんとも厄介なのだとか・・・
演奏者でなければ判らない事情があるのだという事を実感しました。

穏やかで温かな響きで始まった第一楽章のAffettuosoはともかくも、第二楽章のAlla breveに至るなり、
目まぐるしく動き回る8分音符の嵐です。
P氏の緊張やいかに、と思いきや、第一楽章の固さはいつの間にか消え、むしろ肩の力が抜けたかのように
表情は明るく、楽しげでさえありました。
フルートと戯れるリコーダーの音色は、確かな通奏低音に支えられて軽やかな解放感に満ちています。
続く第三楽章Larghettoはゆるやかなテンポ、メランコリックなメロディー。
この楽章では、当時フルートにかけては音楽の先進国であったフランスに倣った演奏をしたかった、というP氏。
時に応じて音を長く引き伸ばすような演奏がなんとも物憂げで、いやがうえにもアンニュイな雰囲気を漂わせています。
ハ長調という調性からイメージする明るさや快活さとは、ひと味違う、湿度と憂いに満ちた雰囲気と響きが、
翳りのある不思議な輝きを放つのです。
語弊のある言い方かもしれませんが、律義で几帳面なドイツ・バロックとはひとあじ違うフランス・バロックの魅力は、
こんな所にあるのかもしれません。

けれど最終楽章になると、前楽章で重く長く揺れていたメランコリックな曲調は一転します。
囀り交わす二羽の小鳥のようなフルートとリコーダー、快活で楽しげなVivaceです!
二つの管楽器が掛け合いのように同じ旋律を繰り返すたび、様々な装飾音が加えられ、
音たちはさながら旋回するかのように、次第に求心力を得て高揚して行きました。

恐らくは演奏者も聴衆も、いつまでも続いて欲しいと思っていた、至福に満ちた終楽章がとうとう終わってしまった時、
思いがけずも観客席の後ろから「ブラヴォー!!」という声が上がりました。
古楽や室内楽の演奏会では普通はあり得ないこうした掛け声が、こんなに嬉しくありがたく聴こえたことはありません。
続くカーテン・コールで、大きな拍手を頂きながら挨拶をする演奏者の表情は大きな喜びに溢れていました。
リコーダーの古典的な響きと現代的なアゴーギクがひとつに調和した今回のクヴァンツ、
ともどもに音楽の不思議な高みに登りつめた演奏者たちと、その高みを体感することはできなくとも、垣間見ることが出来た、と観客にも思わせるような素晴らしい演奏であったと思います。
これは決して私の欲目ではなかったようで、後日何人かの方から同様の感想を頂けましたことは、なにより嬉しいことでありました。


今回P氏が共演させていただいたのは元東フィルの首席フルート奏者佐々木真さん、元N響のチェリスト茂木新緑さん、
チェンバロはコンサートピアニストの宇治田かおるさん。





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例年に比べ、自由に動けるスタッフが少なかったためもあって、私たち裏方はゲネプロ、本番ともに、ほとんど演奏を聴くことが出来ませんでしたが、スタッフの役割は演奏者と観客が存分にコンサートを楽しんでいただけるよう働くこと。
Pの演奏だけでも聴くことが出来たことに感謝。


毎回、懐かしい再開と新しい出会いの場であるサマーコミングル。
コンサートの終了と時を同じくして、高原には早くも秋の風が立ち、季節が変わりました。





    ★コンサートの音源が届くまで、こちらでP氏の演奏をお楽しみください。→http://papalin.yas.mu/W208/#M013





武藤哲也リコーダー&オカリナ教室はこちら → http://folli-2.at.webry.info/201503/article_4.html 





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コメント(14件)

内 容 ニックネーム/日時
クヴァンツのトリオソナタ、素敵な曲ですよね。私などは、速いところはまだちゃんと吹けないのですけど大好きな曲です!
ハプニングがありながらもお身体の調子も戻られて、何より良かったです!
aostaさんも縁の下の一番大変なところを担っての4日間、お疲れ様でしたm(_ _)m
もう二日早くにそちら方面に出発できていたら、私も無料でコンサートを聴かせていただけたのですね。
ご主人様の今後益々のご活躍をお祈りしております。
アルト笛
2012/08/11 10:49
1日違いでお聴きすることができなかったことがかえずがえすも残念です。私も大好きな曲で(聴いたことしかありませんが)、もしうかがっていたら興奮して地に足がつかなかったかも。モダンの楽器の皆さんにご主人が新しい風を吹きこまれたかもしれませんね。裏方のお仕事もお疲れ様でした。
それにしてもいつもaostaさんのコンサートレポートは素晴らしいですね!臨場感があり暖かいまなざしがあり、ホールの中の息遣いが伝わってくるようで、何度も読み返してしまいました。
P-san
2012/08/11 18:52
通称Pです。P-sanではありません。(^_^;)
aostaは本文に何も書いていませんが、書き添えたいことがあります。

実は、今回の演奏会直前にコミングルに参加できなくなった方が何人かいらっしゃいました。その中のお一人は今回初めて参加される予定だった方なのですが、直前に体調を崩されて、止む無く断念された方でした。彼はシベリウスの晩年の弦楽合奏曲「祝祭アンダンテ」をアレンジされて、ユーフォニアムで旋律を演奏する予定だったのです。

最終日のゲネプロで、佐々木先生からご提案がありました。「彼がこの曲を愛する思いを、私たちコミングルのメンバーに事前にメールで送ってこられましたが、あの文章を元にして、朗読を入れたいと思います。どなたか朗読の得意な方はいらっしゃいませんか?」

私はaostaの背中をチョンチョンと突きました。aostaはすぐに手を挙げました。以前のaostaであったら、躊躇して遠慮していたことでしょう。しかし今回はハッキリと自ら意志を示していました。(^-^ )

さあ、それからが大変でした。本番までは3時間。裏方のお仕事もあるし、知人も早くから駆けつけて下さっていてお相手をしたいし・・・。そんな中で原稿を書き、佐々木先生やユーフォニアムの彼の友人という方に聴いて戴いて推敲を重ねていました。食事の用意のために清書する時間がなくなると、演奏会を聴きに来て下さったaostaの知人が清書をしてくれました。

さて本番。

演奏が始まる前の朗読を聴かれたお客様の、それまで以上の大きな拍手がありましたことを書き添えておきましょう。(^-^ )
 
Stanesby
URL
2012/08/12 06:36
◇アルト笛さん

おはようございます。
コミングルは先月末に終わったのですが、事前に皆さまにもお知らせしたいと思いながら、ブログの更新もできずに当日となってしまいましたこと、お詫び致します。
クヴァンツのこの曲は、Pにとって特別な思い入れがあったようで、以前からコミングルで演奏したい、と言っていた曲でした。ちなみに私は聴くことができませんでしたが、バッハやヴィバルディも何曲も演奏されたんですよ。参加者の楽器は、リコーダーを除けば、他はみなモダン楽器なのですが、古楽的な演奏とはまた違った溌溂とした演奏であったそうです。毎年進化していくコミングル、アルト笛さんも来年はご都合をつけてぜひお出かけください。コンサートは毎年7月最終週の土・日曜日です。それよりなにより、次回は早めにブログでお知らせいたしますね。
aosta
2012/08/12 06:45
◇P-san

コメントありがとうございました。
アルト笛さんといい、P-sanといい、ほとんどニアミス状態だったのに、コンサートにはお出で頂くことが出来ず、本当に残念でした。

>モダンの楽器の皆さんにご主人が新しい風を吹きこまれたかもしれませんね

新しい風、かどうか判りませんが、フルートの佐々木先生も、リコーダーとの演奏にとても関心を持って下さったようです。クヴァンツの4楽章におけるフルートとリコーダーの掛け合いなど、もう完全に二人だけの世界に入り込んでしまった感じの、すごい演奏でした。バロック音楽の即興性というか、即興ゆえの一回性の魅力と言った方がいいかしら。
生身の感性が、出会った場所で音楽を造り上げていくという経緯は、聴いていてもぞくぞくと興奮してしまいます(笑)。モダンの方たちには確かにある意味では「新しい風」だったかもしれません。来年はぜひアルト笛さんとご一緒にコンサートにお越し下さい♪
aosta
2012/08/12 06:48
aostaさんは朗読もされたのですね!初めてお会いしたとき今どきこんなにも美しい日本語を話す方がいらっしゃるということに驚いたのを覚えています。お声も深みがあって素敵で「アナウンサーですか」とお聞きしたんでしたよね。
きっと適役だったことと思います。朗読の様子についてもまたぜひ聞かせてください。
P-san
2012/08/12 09:16
山栗さんがいちはやくブログにのせてらしたので
aosta sanが 朗読をなさったのを お聞きしました、、
素敵な朗読で コンサートに一段と深みをくわえられた
みたいですね、、
バロック音楽に置いても ジャズの掛け合いのような
即興性がうまれるとは
クラシックをよく知らないわたしには 驚きです、、
きっと その場にいたら 知らなくても
五感に感じ ぞくぞくしたことでしょう〜
katananke
2012/08/12 16:20
◇Stanesbyさん

う〜む・・・何のことだったでしょうか?
ととぼけてみたいところですが、P-sanやkatanankeさんからもコメントを頂いてしまっているので、ここでごまかすわけにもいきませんね。

自分で朗読の上手とは決して思っていないのですが、ご存知の通り「好き!」なのです。でもあの時は、まさか原稿を書くことから始めなくてはならないなど、思ってもいなかったので、お引き受けしてしまってから慌てました。私は、しっとりと余韻のある文章にしたいと思ったのですが、佐々木先生のイメージは笑ってもらえる文章を、ということで落差がありすぎました。先生にしてみれば、体調不良で参加できなくなったと言う事情をあえてシリアスに伝えたくないというお気もちが合ってのことと思います。結果的に、私のイメージが8、先生のイメージは2、くらいで勝手にまとめてしまいましたが(笑)。

>大きな拍手がありました

実はあまりよく覚えていないのです。
自覚している以上に緊張していたものと思われます^^;
aosta
2012/08/13 06:05
◇P-san

おはようございます。
経緯としては「瓢箪から駒」のような朗読でしたが、大きなミスもなく終わったことでほっとしております。時間にすればわずか数分の事でしたが、皆さんがどのように聴いて下さったか、今考えると冷や汗ものです。

「朗読」を褒められたのは、小学生5・6年の頃でしたか、通っていた教会のクリスマス劇でルカの福音書を朗読したことが最初でした。フランス人の神父様が「いい声、とてもいい声。」とおっしゃって下さったことがとても嬉しかったのです。
それまでは、低い声が自分でも子どもらしくない、可愛くない、と思っていたので(笑)
aosta
2012/08/13 06:21
◇katanankeさん

>山栗さんがいちはやくブログにのせてらしたので

そうでした(汗)。
山栗さんも、私まで登場したことにさぞ驚かれたことと思います。

>バロック音楽に置いても ジャズの掛け合いのような即興性がうまれるとは

本来バロックは即興性に富んだものなのですよ♪
楽譜に「このように演奏すべし」と細かく演奏の指示が記されるようになったのは古典派以降(モーツァルト以降)のことで、それ以前は(つまりバロックの時代は)、どのように演奏するかという事が演奏者の裁量にその多くが任せられていました。少人数による室内楽が多かったと言う事もあるのでしょうが、演奏者が集まって、その時の気分で自由に即興的に演奏されたようです。これって、ジャズ!!でしょう?
その昔、ジャズ・ピアニストのオスカー・ピーターソンとかフランスのジャック・ルーシェなどの演奏するバッハが一世を風靡した時代がありました。近年では、キース・ジャレットはジャズピアニストからバロックのチェンバロに転向しましたし、バロックとジャズはとても親和性があるようです♪
aosta
2012/08/13 06:39
山栗さんのブログで10月にも P氏が出演される
コンサートがあるとのこと、、
近くならいいのにな、、とおもいつつ
P氏のサイトにいってみて ギャラリーを覗いたら
楽しいね、、 ユーモアあふれる構成で
こよなくリコーダーを愛し慈しんでらっしゃる
P氏の 心情がよく判りましたよ〜
カタナンケ
2012/08/18 12:06
自由に演奏する!憧れですが、その領域にはなかなか到達できません。今フルートのエチュードで装飾音の練習をやっていますが、運指が難しく、ほとほと困っています。バロックの時代は演奏者の腕の見せ、聴かせどころだったんですよね。

最後の集合写真、いいですね。P氏が一人、リコーダーをもっていて、今にも一曲演奏しようかと構えられている姿、熱い意気込みが感じられますね。
山栗
URL
2012/08/19 11:37
◇カタネンケさん

10月のコンサート、まだまだ・・・と思っていたのですが、もう8月もお盆を過ぎてしまいました。

>P氏のサイトにいってみてギャラリーを覗いたら楽しいね

Pのブログをご覧いただきまして、ありがとうございます。
彼のブログ、本文は非常にまじめでアカデミックな内容が多いのですが、画像では好きなように遊んでいますでしょ?相当ヘンな人ですが、 末永くよろしくお願い致します(^^ゞ
aosta
2012/08/20 08:57
◇山栗さん

おはようございます。

>自由に演奏する!

バロック時代、音楽の楽しみは本来この即興性にあったのででしょうね。
作曲者=演奏者、というパターンも多く(クヴァンツしかり!)、技術的な水準はとても高度なものだったようです。古典派以降の協奏曲にあるカデンツァなども、もともとは演奏者の即興による見せ場でしたが、現在では「誰それによるカデンツァ」という形で、過去の名カデンツァが演奏されることが多く、演奏者のオリジナルによるものはほとんど聴くことができませんね。
aosta
2012/08/20 09:06

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