Alba Maxima 究極の白




白い薔薇に名花と呼ばれるものは数多くあるけれど、
アルバ・マキシマ!
私は、この花の美しさを超える白薔薇を知らない。



ほんのりと優しいピンクが差すちいさな蕾は、
花びらが開いてゆくにつれ、淡いピンク色から透明感のある白へと変わってゆく。

画像





40枚以上はあるという花びらが、ゆるゆると開いてゆくと、端正なロゼット咲きの花の中心には緑色のボタンアイ。
咲き切って、はらはらとこぼれおちるその時にも、馥郁とした香りを漂わせながら・・・
マットな青灰色の葉とのコントラストも絶妙な白薔薇だ。

朝まだき、開け始(そ)める庭で、細い枝先に揺れる花の美しさを何に例えよう。
ノーブルで儚げなこの薔薇に会えるのも、一年に一度、この季節だけと思えば、その美しさはさらにも際立つ。


画像







15世紀のイギリス。ヨーク家とランカスター家との間で戦われた薔薇戦争において、ヨーク家が掲げた白薔薇が、
このアルバ・マキシマであると言う。
いっぽうのランカスター家の赤薔薇はロサ・ガリカ・オフィキナリス

アルバマキシマは、ローマ軍の侵攻によってイギリスにもたらされたと言う説がある。
ロサ・ガリカ・オフィキナリスは古くから薬効のあるバラとして知られ、
一説によれば十字軍がイスラム圏から持ち帰った薔薇とも伝えられている。





画像




遥かな昔、かたやローマ、かたや十字軍によってヨーロッパに伝えられた薔薇。
以来、いったい何十、何百の白い薔薇が作りだされ、葬りさられてきたことだろう。
長い時の流れの中で生き延びてきた薔薇、アルバ・マキシマ(Alba Maxima)。
その名前が表すところは、最高の白、究極の白。

何百年という時が流れても、変わることなく愛され続けてきた美しさ。。
品種改良が重ねられた現代の薔薇にはない気品、媚びることのない毅然とした美しさと、
しなやかで優美な優しさを併せ持つこの薔薇に、心魅かれる季節である。





ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

bunbun
2011年06月28日 10:22
アルバ・マキシマ、背後にこれほどの歴史を秘めていたとは!
美しいものは如何なる時にも人の目を惹き、運ばれるということなのですね。
透明感のある白い薔薇、
>40枚以上はあるという花びらが、ゆるゆると開いてゆくと、
ここから3行の表現、一つの花をこのように語ってみたいものです。
琳々
2011年06月28日 14:08
ヨーク家の白薔薇ですか。アルバ・マキシマ、美しいですね。ノーブル、という言葉がふさわしい。薔薇の中ではやはり白薔薇が好きなので、憧れの白薔薇を見つけたいという願望はあります。我が家にあるのはマーガレット・メリルですが、これが私にとっての最上なのかは不明なところです・・・。でも、気に入ってはいます。ちなみに白薔薇というと、オスカルさまらぶな私です(笑)。
Zu-Simolin
2011年06月28日 16:18
究極の白。無数の花びらを湛えた姿はどこか曼荼羅のようでもあり、花びらが開くに従って透明な白色へと移り変わる様子を描写されたお言葉と、お写真からも、曼荼羅が色を移しながら万華鏡のようにして「開く」映像を想像してしまいました。
私は、実家の庭に咲く薔薇が黄色だったもので、薔薇=黄色というイメージが脳味噌に擦りこまれているだけに、新鮮でした。でも、思い出したのですが、その庭の樅の木の暗い影に、ひっそりと誰が育てたわけでもないのに、私がまだ幼いある日、別の色の薔薇がひっそりと咲いていたのを見たのでした。それは、ご紹介の赤薔薇のようでもない、椿のような赤でもない、ワインレッドに似てもっと妖しい紅色でした。その薔薇は何という名を与えられているのだろう、と今さらながら思った次第です。数年たった別の日には、死をたたえたようなやせ細った緑のビー玉のような目をした老犬が迷い込んで、樅の木の同じ木陰に横たわっていたことも思い出しました。木陰の薄闇の下、妖しい紅や緑の色が「在った」ことを妙に思い出したわけです。
調べれば簡単にわかるのでしょうが、あの妖しい薔薇は何という名だったのでしょう……。
2011年06月28日 21:55
◇bunbunさん

アルバ・マキシマはね、実際に植えて花が咲くまで、こんなにも美しい薔薇であることを知りませんでした。初めて付いた蕾は、ミニチュアローズかと思うくらい小さく、もしかしたら品種を間違えて買ってきたのでは、と本気で心配したほどでした。咲き始めも、本当に小輪。それなのに花びらが開いてゆくにつれて花径は大きくなって、ため息が出るような白い花が開きました。
この花の美しさは、葉の美しさに負うところ大と思います。花と葉の調和が素晴らしいのです。グレーを帯びた葉ときたら、どんな薔薇なの葉よりも美しいと思います。そして、この白。ほおっとため息をつきながら、いつまでも見ていたい。アルバ・マキシマはそんな薔薇です。

2011年06月28日 22:05
◇琳々さん

マーガレット・メリル、
以前どこかのブログにも書きましたが、私も好きな薔薇です。
蕾のうちから咲ききるまで、何とも言えない雰囲気がありますね。
私は、半八重で開いた時にシベが美しく広がった薔薇への偏愛のようなものがあります。昔の庭に咲いていたマーガレット・メリルに代わり、今咲いているのは、同じく半八重、シベが金色の火花のように広がるシティ・オブ・ヨーク。現在の庭は標高が高いので、耐寒性から考えるとシティ・オブ・ヨークの方が安全ということなのですが、ちょと寂しいですね。

オスカルさま!
私もその昔、帝国だったか日生だったか、見に行きましたよ(^^♪
2011年06月28日 22:38
◇Zu-Simolinさん

こんばんは。
素敵なコメントをありがとうございました。
まるで一編の短編小説を読んだような充足を感じています。

暗い木陰で人知れず咲く、妖しいまでに赤い花。
そのイメージが私の脳裏で、幻影のように揺れています。同じ木陰で身体を横たえた瀕死の老犬の緑のビー玉のような目・・・子供が「見る」ものは、時として影がないかのように鮮烈ですね。
Zu-Simolinさんが、人一倍感じやすいお子さん出会ったことは、この赤い薔薇と緑色の目をした犬の事を、かくもありありと覚えていらっしゃることからの推察されます。木陰の薄闇の下に「在った」妖しい紅や緑の色。それは森閑と静まり返った夏の日の光景なのでしょうか。薄闇の下で出会ったのは赤と緑が象徴する、死そのものだったように思いました。今まで知らなかった、知ろうとしなかった薔薇の名前を知ることは、また何かの始まりなのかもしれない・・・つらつら、そんな風なことを考えながら拝見させていただきました。

この記事へのトラックバック

  • 花盛りの6月

    Excerpt: 次々に薔薇の花が開く6月。 Weblog: 消えがてのうた part 2 racked: 2013-06-13 18:14
  • アルバ・マキシマ

    Excerpt: どの花も毎年同じ花を咲かせることを、当たり前と思うか、不思議と思うか。 私は「当たり前」の不思議さをいつも考えてしまうのです。 Weblog: 消えがてのうた part 2 racked: 2015-06-12 12:14