消えがてのうた part 2

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zoom RSS 旧朝香宮邸のアールデコ (4) 大食堂

<<   作成日時 : 2011/01/17 23:17   >>

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大客室を抜けると、南側が大きな半円形に張り出した大食堂。

来客を迎えての食事の際に用いられたこの部屋は、客室同様、開放的な雰囲気の明るい空間でした。


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緩やかなカーブを描く張り出し窓の下のラジエターカバーには熱帯魚のレリーフ。
ラジエターのカバーと言う実用的な目的を離れて、立派に一つの芸術作品となっています。


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部屋の中央には印象的なシャンデリア「パイナップルと石榴」が三基。
大客室の「ブカレスト」と同じくラリックの作品です。
客人を迎えての華やかな食事の席を和やかに演出したであろうモチーフとデザインです。
このシャンデリアの下に置かれていたはずの食卓見ることが出来ないのは、何と残念なことでしょう。


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窓の反対側、イタリア産の大理石を使ったマントルピースの上にも、
ラパンの壁画が描かれていました。
窓の外に見えるのが現実の庭であるならば、こちらはさしずめ、架空の庭園というところでしょうか。
大小の客室に描かれた、緑のグラデーションによる作品に対し、
オレンジ色を基調にしながらさまざまな暖色を用いてどことなくイタリアの風景を連想させるこの壁画は、
フルーツバスケットのようなラリックのシャンデリアとともに、食事の雰囲気を暖かく盛り上げたことでしょう。

二つの「庭園」がシンメトリーに配されたこの大食堂で、どのような会話が交わされたのか、
ダイニングの核とも言える食卓を失った空間は黙したまま何も語ってはくれません。


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マントルピースを挟んで左右の壁を飾る銀彩のレリーフは、ウィリアム・モリスを連想する植物模様。
パリ滞在中の充子妃の絵画の師であった、彫刻家レオン・ブランショの作品です。

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植物のモチフーと、縦横に直線的な溝を刻んだグラフィックな市松模様、エッチングが施された鏡の扉。
メタリックで無機的な壁面と、有機的なデザインのラパンの壁画とを、
明るい色とつややかな光沢をもった大理石の質感が無理なくひとつに繋げています。


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大理石の天井の一角にほんのりとしたグラデーション。
この微妙な翳り方が何とも素敵です。


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◇旧朝香宮邸のアールデコ(1) http://folli-2.at.webry.info/201101/article_5.html
◇旧朝香宮邸のアールデコ(2) http://folli-2.at.webry.info/201101/article_6.html
◇旧朝香宮邸のアールデコ(3) http://folli-2.at.webry.info/201101/article_7.html
◇旧朝香宮邸のアールデコ(5) http://folli-2.at.webry.info/201101/article_10.html

◇intermezzo 「朝香宮のグランドツァー」 http://folli-2.at.webry.info/201101/article_8.html








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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
ここにも昨日から数回はお邪魔して写真を拝見しておりますが。ほんとうに何処を切り取っても芸術、工芸、設計の贅を尽くしているのですね。
マントルピースの上のラバンの壁画、拡大してみましたが、神話の世界を核となしてその恩寵の及ぶ周辺世界を描いてでもいるような感じがします。
 シャンデリア、こういった形はとくあるのでしょうか。私には独特に映ります。この光の加減を生み出すために独特な工夫、配置がなされてあるようですが。
 光をどのように取り入れるか、その微妙さを演出するのは建築家の一つの腕のみせどころなのかもしれない、そんなことを思いました。
 文献にあたったり、まとめながら分かりやすく書いてくださっていることに感謝いたします。
bunbun
2011/01/18 14:15
◇bunbunさん

ありがとうございます。
マントルピースの上に描かれたラパンの絵には、確かに不思議な雰囲気がありますね。連なるアーチの下をくぐっていく先には、泉水から清らかな水が流れ落ちている・・・まさに「神話的な庭」という言い方がぴったりです。
暖かな輝きに満ちたその庭は、まるで見る人を神話の中へ導くかのよう。
大広間に飾られていた「戯れる少年たち」にも同じような雰囲気がありました。
金属とガラスを偏愛したアールデコ的美意識の中で、ブランショの作品は揺らめく夢か幻のようです。

シャンデリアは、立体的なレリーフになっているので、天井部分と平行に取り付けられた電球の光を反射する角度が異なるのでしょう。光が当たって輝く部分と、光が当りにくいために影になる部分とに分かれ、独特の明暗を作り出していたように思います。光の演出は、bunbunさんがおっしゃる通り、腕の見せ所出会ったのでしょう。蛍光灯などの平面的で均一な明るさの下では、ものが平面的に見えてしまいます。残念ながら、そこにはドラマがありません。
演出したくても演出のしようがありません(汗)。

aosta
2011/01/18 20:22

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