秋のリボン 秋の庭で 子供がひとり 後ろ向きに しゃがんでいる 庭石に 影法師が黒く落ちて ナツメは静かに熟れてゆく 土の上に 金木犀が散る … トラックバック:0 コメント:8 2015年11月07日 続きを読むread more
リュート歌曲と朗読 「音の葉 言の葉」 コンサート 私にとって詩を書くという行為、それを自ら読むという行為は 普段の生活の中では誰にも見せない、見せたくない、心の奥まで裸になることです。 だからこそ、どの詩にも、深い思い入れがあります。 さながらわが子のような作品たち。 その子どもたちが、どこまで受け入れていただけるでしょうか。 … トラックバック:0 コメント:8 2015年10月20日 続きを読むread more
森の声 霧に濡れた雑木林の奥でフクロウが鳴いた。 「相手をうまく否定しおおせたからと言って、自分が正しいことにはならないね。」 「自分の抱いている怒りは、相手の問題ではなく、自分の問題。」 とりあえずって便利な言葉だけれど、時々この言葉で失敗をする。 考えてみれば、と… トラックバック:0 コメント:14 2015年04月14日 続きを読むread more
電話 そして 糸電話 その1 「電話」 むかし 子供は おもちゃの電話を持っていた 回すたびにダイヤルは 小さな音をたてるけれど 呼び出しのベルは 鳴ったことがない … トラックバック:0 コメント:17 2014年11月25日 続きを読むread more
くるくる くるくるうずまき くるくるまわる くるくる くるくる ちきゅうも まわる くるくる くるくる めがまわる … トラックバック:0 コメント:8 2013年08月30日 続きを読むread more
水仙 雑木林から草むらへと続く 鹿道のはずれで 今年もひと群れの水仙が 花をつけた 年ごとに 少しづつ大きくなってゆくその一群は 自らが水仙であることを知らず 知ろうともせず … トラックバック:0 コメント:20 2013年05月12日 続きを読むread more
ランゲルハンス島へ ごらん 風が透き通ってきた そろそろ鳥も目覚める時間だ もうじき夜が明ける 出発するには上等な朝じゃないか さあ 帆を… トラックバック:0 コメント:16 2013年01月31日 続きを読むread more
Ondine オンディーヌ 月の光が 銀色の糸のように降る森で 眠りながら 目覚めている 小さな獣たち そして 私 夜空を泳ぐように 発光す… トラックバック:0 コメント:10 2013年01月28日 続きを読むread more
私説 いばら姫 腰丈まで伸びた草を かき分けながら そんな急ぎ足で あなたは どこまで行こうというの ほら 頭上からは 棘だらけの野いばらが ゆるゆると 細い枝をなびかせ しなやかに揺れるふりして あなたのばら色の頬を 打ってゆく その白き腕(かいな)は 鋭い茅(かや)の葉さきで すでに傷だらけ… トラックバック:0 コメント:14 2012年12月12日 続きを読むread more
さやさや さやぐ さやさやと 凍てつく窓辺で 声がする あれは 風がささやき交わす音 梢を揺らし 枯れ葉を騒がせ 形にならなかったものたちが 夜の水の中へと 落ちてゆく エドワード・ロバート・ヒューズ(1851~1914) 「夜」 水は 鎮まろうとするのだけれど 夜… トラックバック:0 コメント:20 2012年11月25日 続きを読むread more
落下する風景 踏みしだかれるたびに 小さな声を上げる 色とりどりの葉を 見て見ぬふりをして 石英のように 乾いた音を立てながら … トラックバック:0 コメント:4 2012年11月08日 続きを読むread more
ガラス瓶のある風景 雑貨屋さんで見つけた 古いガラス瓶 それぞれ微妙に かたちが違う だから みっつ 一緒に飾る … トラックバック:0 コメント:16 2012年05月30日 続きを読むread more
さかなのかたち 夜明けが近づくにつれて 回遊する魚のように 戻ってくるものがある 浅く呼吸する 遠い夢の中から 銀色の鱗を光らせ やって… トラックバック:1 コメント:12 2012年01月30日 続きを読むread more
コスモス・嵐のあと 嵐が過ぎて行った 静寂の庭で コスモスが咲いている。 何度も風に倒れては そのたび 煽られながら風に向かう。 あなたもまた … トラックバック:0 コメント:22 2011年09月24日 続きを読むread more
ひめしおん はるしおん (大島弓子風に) ひめしおん はるしおん 黄昏れてゆく空に 風が立ち ひめしおん はるしおん 灯ともし頃の夕まぐれ 標(しるべ)のように揺れている どこかで 扉が閉まる・・・ 遠くで どこかで 窓が開く・・・ 近くで ひめしおん あくびをする はるしおん 目配せする ひめしおん は… トラックバック:1 コメント:16 2011年06月15日 続きを読むread more
すみれ すみれ、すみれ。 汝(な)が名を知らず。 されどすみれ たそがれゆく 夕明かりの中 かすかなる風に 揺れる その小さき花の いかにか愛しき。 すみれよ、すみれ。 汝(な)が名を知らず。 されどすみれ その花の色 薄ら陽の中 清らにかそけく 光りぬ 汝(… トラックバック:0 コメント:22 2011年05月19日 続きを読むread more
祈りのかたち 朝晩はまだ氷点下10度前後まで気温が下がるとは言え、 いつの間にか月は改まって4月。 既に季節は「光の春」だ。 日中の透明な春の日差しが、雪解けの黒土をうらうらと温めて行く。 気がつけば、背比べでもしているつもりなのか、霜柱と競うかのように、 土の中から小さなチューリップの芽がのぞいてい… トラックバック:1 コメント:8 2011年04月04日 続きを読むread more
松かさを燃やす 松かさを燃やす。 炎は松かさの形をなぞりながら 極北の光のように揺らめいている。 庭で ひそやかな獣の気配がする。 清らかなその足取りは、月灯りの庭で蒼く翳る。 ゆるゆると過ぎてゆく時の中で 獣も私も 護られてある。 … トラックバック:0 コメント:16 2011年01月23日 続きを読むread more
大寒 大寒を過ぎて昼も夜も氷点下。 夜明け前の外気温はマイナス20度近い。 あまりの寒さに電波が凍って落っこちてしまうので、最近私の携帯はなかなか繋がりません。 凍りついた電波がどこかに転がっていないかと、捜しながら歩く。 雪の上には、凍えて空から墜落してしまった星や、寝ぼけて失速した風が凍りつ… トラックバック:0 コメント:16 2011年01月22日 続きを読むread more
「鏡よ、鏡・・・・」 湖面は 静かな水鏡。 合わせ鏡が見せるのは うたかたの夢 鄙(ひな)の夢 。 私を惑わせるのは黄昏? それとも 風かしら。 揺らいでいるのは、水面(みなも)? いいえ 草の葉かもしれない。 雪の白さと 冷たさは あの日と同じ 金の… トラックバック:0 コメント:16 2010年12月13日 続きを読むread more
向日葵 したたる夏の光の下で 優雅に輝く曲線を描きながら しなやかな金属のように 陽炎に揺れる草むらを よぎって行ったもの。 あれは 蛇。 それとも 何かの命の残像のようなもの。 群青色に 晴れ渡る空には ひとひらの雲も 見つからない。 太陽は 赫… トラックバック:0 コメント:10 2010年08月25日 続きを読むread more
少年 少年よ 君は 顔を背けるように 泣いていたね 形にならない想いを 飲み込んだまま 君の柔らかい頬は 頑なに 世界との境界線を引いていた 何が どんなふうに 君の傷つきやすい魂を 切りつけたのか 見知らぬ少年の悲しみが 静かな水のように 私の心に溢れて… トラックバック:0 コメント:8 2010年06月12日 続きを読むread more
たんぽぽ たんぽぽ、たんぽぽ ほどける綿毛 ほのぼの おひさま 笑う朝 そよりと吹く風 捕まえて ふわりと空に 舞い上がる たんぽぽ、たんぽぽ 優しい綿毛 さやさや 風に 誘われて きらきら 青い空をゆく 風草 綿毛の 鼓草(… トラックバック:0 コメント:25 2010年05月17日 続きを読むread more
秘密 視線を感じて顔を上げると ガラス一枚隔てた庭先から 一頭の鹿が じっと私を見つめていた 雨音が 急に途絶えた 黒曜石のような眼で 何かを問いかけるように 身じろぎもせず ひっそりと 鹿は 雨の中に立っている そっと窓に近づくと 鹿は わずかに後ずさりはしたものの 逃げようとはしなかった … トラックバック:1 コメント:26 2010年04月23日 続きを読むread more
春の命 (遠い昔) 昨日 私の足元から ひらりと 生まれたばかりの蝶が舞い上がって まだ冬枯れの雑木林を 過ぎて行った 純潔の羽を 一瞬 練り絹のように輝かせて フェルナン・クノップフ (1858-1921) 「遠い昔」 それなのに 今日は 風景も… トラックバック:0 コメント:12 2010年04月07日 続きを読むread more