テーマ:詩 by aosta

秋のリボン

                 秋の庭で 子供がひとり                  後ろ向きに しゃがんでいる                  庭石に 影法師が黒く落ちて                  ナツメは静かに熟れてゆく                  土の上に 金木犀が散る     …
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リュート歌曲と朗読 「音の葉 言の葉」 コンサート

私にとって詩を書くという行為、それを自ら読むという行為は 普段の生活の中では誰にも見せない、見せたくない、心の奥まで裸になることです。 だからこそ、どの詩にも、深い思い入れがあります。 さながらわが子のような作品たち。 その子どもたちが、どこまで受け入れていただけるでしょうか。 …
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森の声

霧に濡れた雑木林の奥でフクロウが鳴いた。 「相手をうまく否定しおおせたからと言って、自分が正しいことにはならないね。」 「自分の抱いている怒りは、相手の問題ではなく、自分の問題。」 とりあえずって便利な言葉だけれど、時々この言葉で失敗をする。 考えてみれば、と…
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電話 そして 糸電話

   その1 「電話」                    むかし 子供は                    おもちゃの電話を持っていた                   回すたびにダイヤルは 小さな音をたてるけれど                   呼び出しのベルは 鳴ったことがない      …
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さくら

                      桜は ほころび始めたばかり                       風さえ惑わす その可憐                       透明なその豪奢                       花曇りの空に 開いてゆくのは       …
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                   ひかりが 咲く                    ひかりに 咲く                    雪の記憶が まだ消え残っているのに                    春のひかりは 柔らかに満ちて         …
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くるくる

                くるくるうずまき                 くるくるまわる                 くるくる くるくる                 ちきゅうも まわる                 くるくる くるくる                 めがまわる   …
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夜明けの鳥

                      森も庭も 目覚める前                       空気は青く 風もまだ眠る時間                       静寂の 向こう側から                       夜明けの鳥たちが              …
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ロセッティに寄せて

                              大切なものを受け止めたくて                               手のひらを広げる                               それが何かは 分からない                         …
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水仙

           雑木林から草むらへと続く 鹿道のはずれで             今年もひと群れの水仙が 花をつけた            年ごとに 少しづつ大きくなってゆくその一群は            自らが水仙であることを知らず 知ろうともせず        …
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ランゲルハンス島へ

                  ごらん 風が透き通ってきた                   そろそろ鳥も目覚める時間だ                   もうじき夜が明ける                   出発するには上等な朝じゃないか                   さあ 帆を…
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Ondine オンディーヌ

                 月の光が 銀色の糸のように降る森で                  眠りながら 目覚めている                  小さな獣たち                  そして 私                  夜空を泳ぐように 発光す…
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私説 いばら姫

腰丈まで伸びた草を かき分けながら そんな急ぎ足で あなたは        どこまで行こうというの ほら 頭上からは 棘だらけの野いばらが ゆるゆると 細い枝をなびかせ しなやかに揺れるふりして あなたのばら色の頬を 打ってゆく その白き腕(かいな)は 鋭い茅(かや)の葉さきで  すでに傷だらけ…
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さやさや さやぐ

さやさやと 凍てつく窓辺で 声がする あれは 風がささやき交わす音 梢を揺らし 枯れ葉を騒がせ 形にならなかったものたちが 夜の水の中へと 落ちてゆく エドワード・ロバート・ヒューズ(1851~1914) 「夜」 水は 鎮まろうとするのだけれど 夜…
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霜月

                                               ささやくように 霜が降ったのは                        庭がまだひっそりと 眠っていた時間                        クリスマス・ローズの葉を      …
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落下する風景

                   踏みしだかれるたびに                    小さな声を上げる 色とりどりの葉を                    見て見ぬふりをして                    石英のように 乾いた音を立てながら               …
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ガラス瓶のある風景

雑貨屋さんで見つけた 古いガラス瓶                           それぞれ微妙に かたちが違う                            だから みっつ                                                     一緒に飾る  …
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さかなのかたち

                       夜明けが近づくにつれて                        回遊する魚のように 戻ってくるものがある                        浅く呼吸する 遠い夢の中から                        銀色の鱗を光らせ やって…
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コスモス・嵐のあと

         嵐が過ぎて行った 静寂の庭で          コスモスが咲いている。          何度も風に倒れては              そのたび 煽られながら風に向かう。                あなたもまた     …
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ひめしおん はるしおん (大島弓子風に)

ひめしおん はるしおん 黄昏れてゆく空に 風が立ち ひめしおん はるしおん 灯ともし頃の夕まぐれ 標(しるべ)のように揺れている どこかで 扉が閉まる・・・ 遠くで どこかで 窓が開く・・・ 近くで ひめしおん あくびをする はるしおん 目配せする ひめしおん は…
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すみれ

すみれ、すみれ。 汝(な)が名を知らず。 されどすみれ たそがれゆく 夕明かりの中 かすかなる風に 揺れる その小さき花の いかにか愛しき。 すみれよ、すみれ。 汝(な)が名を知らず。 されどすみれ その花の色 薄ら陽の中 清らにかそけく 光りぬ 汝(…
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祈りのかたち

朝晩はまだ氷点下10度前後まで気温が下がるとは言え、 いつの間にか月は改まって4月。 既に季節は「光の春」だ。 日中の透明な春の日差しが、雪解けの黒土をうらうらと温めて行く。 気がつけば、背比べでもしているつもりなのか、霜柱と競うかのように、 土の中から小さなチューリップの芽がのぞいてい…
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松かさを燃やす

松かさを燃やす。 炎は松かさの形をなぞりながら 極北の光のように揺らめいている。 庭で ひそやかな獣の気配がする。 清らかなその足取りは、月灯りの庭で蒼く翳る。 ゆるゆると過ぎてゆく時の中で 獣も私も 護られてある。 …
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大寒

大寒を過ぎて昼も夜も氷点下。 夜明け前の外気温はマイナス20度近い。 あまりの寒さに電波が凍って落っこちてしまうので、最近私の携帯はなかなか繋がりません。 凍りついた電波がどこかに転がっていないかと、捜しながら歩く。 雪の上には、凍えて空から墜落してしまった星や、寝ぼけて失速した風が凍りつ…
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「鏡よ、鏡・・・・」

湖面は 静かな水鏡。 合わせ鏡が見せるのは  うたかたの夢 鄙(ひな)の夢 。 私を惑わせるのは黄昏? それとも 風かしら。 揺らいでいるのは、水面(みなも)?  いいえ 草の葉かもしれない。 雪の白さと 冷たさは  あの日と同じ 金の…
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向日葵

したたる夏の光の下で 優雅に輝く曲線を描きながら    しなやかな金属のように 陽炎に揺れる草むらを よぎって行ったもの。 あれは 蛇。 それとも 何かの命の残像のようなもの。 群青色に 晴れ渡る空には ひとひらの雲も 見つからない。 太陽は 赫…
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少年

少年よ 君は  顔を背けるように 泣いていたね 形にならない想いを 飲み込んだまま 君の柔らかい頬は 頑なに 世界との境界線を引いていた 何が どんなふうに 君の傷つきやすい魂を 切りつけたのか 見知らぬ少年の悲しみが 静かな水のように 私の心に溢れて…
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たんぽぽ

たんぽぽ、たんぽぽ ほどける綿毛 ほのぼの おひさま 笑う朝 そよりと吹く風 捕まえて ふわりと空に 舞い上がる たんぽぽ、たんぽぽ 優しい綿毛 さやさや 風に 誘われて きらきら 青い空をゆく 風草 綿毛の  鼓草(…
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秘密

視線を感じて顔を上げると ガラス一枚隔てた庭先から 一頭の鹿が じっと私を見つめていた 雨音が 急に途絶えた 黒曜石のような眼で 何かを問いかけるように 身じろぎもせず ひっそりと  鹿は 雨の中に立っている そっと窓に近づくと 鹿は わずかに後ずさりはしたものの 逃げようとはしなかった …
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春の命 (遠い昔)

昨日 私の足元から ひらりと  生まれたばかりの蝶が舞い上がって まだ冬枯れの雑木林を 過ぎて行った 純潔の羽を 一瞬 練り絹のように輝かせて フェルナン・クノップフ (1858-1921) 「遠い昔」 それなのに 今日は 風景も…
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