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怖いおはなし 後日談

今回の朗読コンサートで読んだ半村良の「能登怪異譚」。 能登は作家の母方のルーツであり、彼自身も小学生の一時期を、疎開先として過ごした土地であるという。 その地方に言い伝えられた伝承を下敷きにしたものなのか、はたまた創作なのかはわからないが、 彼一流のひねりを効かせた語り口は、どれもみなざわざわと背筋が冷たくなるよう…
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ふたつの「なめとこ山」 鹿沼市と朝日村

記事のアップが前後してしまいましたが、1月28日に栃木県鹿沼市で今年最初の朗読コンサートを、 翌月2月18日には長野県の朝日村でを2回目を行いました。 朝日村の図書館スタッフの方が作って下さったフライヤー。ぼおっと煙るような山並と柿の色が本当に素敵 いずれも図書館から依頼のあった朗読コンサートです。…
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宮澤賢治 「なめとこ山の熊」 / 大きな黒いもの

息子夫婦を流行り病で亡くした小十郎は、90歳になる老母と孫たちの世話をしながら、熊を捕って生活している。 見かけはごついが、心根は純朴で美しい。 熊撃ちを生業にしてはいても、自らが仕留めた熊に向かって小十郎は、手を合わせずにはいられない。 熊たちはそんな小十郎が好きなのだ。 だから犬を連れてひとり山歩きをしている…
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スミレの思い出 / シュトルム「三色すみれ」

春の一日がゆっくりと暮れて、西の空で星が光り始める頃になると、 母と見た、遠いあの日のスミレを思い出す。 ヴィオラ・ソロリア・プリケアナ Viola sororia "Priceana" ある日私に、母が内緒話をするように、そっと耳打ちした。 「一面にスミレが咲いている夢のような場…
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ターシャ・テューダーという人

花や庭に喜びと慰めを見出す大勢の人たちが、ターシャ・テューダーの名前を憧れとともに口にします。 御多聞にもれず、私もその一人。 飽きることなく、彼女の庭の写真集を眺めながら、生き生きとした植物の息吹にあふれ、自然でありながらターシャの庭以外の何物でもない、ターシャだけの場所に、何度ため息をついただことでしょう。 …
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太田二郎 「よきお隣さん」 散歩道の精霊たち

「よきお隣さん」はそこここに隠れています。 向こうの森の奥深く、木の間隠れの暗闇で、そっと息を潜めるギリー・ドゥ。 煌めく水の流れの中で、ひそかにつぶやくウェル・スピリット。 人々が寝静まった頃、辺りを伺いながら姿を現す、いたずら好きのブラウニー。 風のささやきの中に、星々の瞬きの中に、彼らの気配は満…
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「イリス」 / レイ・ブラッドベリ「青い瓶」

エルメスの香水"Hiris"はHERMES(エルメス)の頭文字 "H" と、Iris(アイリス)の" I " を合わせた造語だとか。 "Hiris"と書いて「イリス」と読みます。 アイリスの花を意味する Iris (イリス)は、同時にギリシャ神話の虹の女神 の名前でもあるようです。 1999年に発売されたイ…
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「ヒヤシンス・ブルーの少女」 スーザン・ヴリーランド

1枚のフェルメールとその所有者たちをめぐる物語「ヒヤシンス・ブルーの少女」は、現代のアメリカから始まる。 すでに故人となった父から譲られたそれは、誰にも知られることのないまま、ひっそりと彼の書斎に飾られていた。 孤独な数学者コルネリアスは、その絵への言い尽くせぬ思いを誰かと共有したいという焦燥に駆られている。 絵が…
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「ロミオとジュリエット」の頃

ジュリエット 「名前に意味があるのかしら?          薔薇と呼んでいるあの花を、別の名前で呼んだとしても、香りに違いはないはずよ。」 私がフランコ・ゼフレッリ監督の映画「ロミオトジュリエット」(1968年公開)を見たのは、まだ地方の町で封切りと同時に新作映画を見ることなど考えられなかった時代(笑)。 …
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くらもと古本市「酒蔵の街の読み歩き」 

先週土曜日から始まった「酒蔵の街の読み歩き」行ってまいりました。 飲み歩きではありません。念のため(^^ゞ すでに恒例となった感のある「くらもと古本市」 今回も五つの酒蔵に20店以上の古書店やカフェが出店しているそうです。 書店ごとに扱う本の種類・分野が違うので、どの蔵も、どのコーナーも見逃せません。 まずは真…
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西のはての年代記 「ギフト」 ル・グウィン 

「ル・グウィンだったら、私は『西のはての年代記』が一番好き。」 年末一緒に食事をしたお友達の言葉に「いいですよね!」と反射的に相槌を打った私でしたが、そのあとの言葉が続きませんでした。 この本と出会ったのはもう10年近く前のことになるかしら。 その時は夢中で読んだはずなのに、時間の経過とともに、記憶がすでに怪しくなって…
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ウィルトン・ディプティクの青 / パストゥロー「青の歴史」

まだ私が小さかったころ。 私たちひとりひとりに、みな守護の天使様がいらして、いつも私たちを見守ってくださっていると信じていた。 だから毎晩寝る前には、天使さまにもお祈りをした。 「守護の天使さま、主の慈しみに.よってあなたにゆだねられた、この私を照らし、守り、導いて.ください。」 そしてお祈りを済ませると、安心し…
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" There " アーシュラ・ル・グィン

詩人長田弘の「本というふしぎ」の中で出会ったアーシュラ・ル・グィンの詩。 本文に訳者の名前は見当たらないところからすると、長田氏自ら訳されものかしら。 「闇の左手」でヒューゴー賞とネビュラ賞をダブル受賞し、「ゲド戦記」で知られる「SF界の女王」ル・グィン。 彼女のこの小さな詩を読んでいると、なぜかとても懐かしい想い…
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「塔」をめぐる会話

「朗読とリコーダーによる『塔の物語』」をめぐってこんなメールやりとりがありました。 Sさんから私(aosta)、私(aost)からSさんへ。 双方とも、あくまで私信のつもりで書いたものですから、 (特に私のメールは)思いつくままの反射的といっていい内容ですが、いただいたメールには 心に響く言葉がいくつもありました。 …
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朗読とリコーダーによる 『塔の物語』

その昔、小学生の頃の私が初めて読んだ塔の物語はグリムの「いばら姫」そして「ラプンツエル」。 幻想と謎と満ちた塔を巡る物語は、幼い私を魅了しました。 ある意味において、その時、私も塔に捕らわれたのかもしれません。 以来、現在に至るまで、塔への偏愛は変わることがないのですから。 あるときはかたくなに人を拒…
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ジャン=ジャック・フィシュテル 「私家版」 東京創元社

本を読むことが好きで、本にまつわる物語が好きである。 創元推理文庫、ジャン=ジャック・フィシュテル作「私家版」も、「本」を巡る物語。 登場人物は、英国人の出版社社長エドワード・ラム、同じく出版社社長のフランス人ローラン・パルマンティエ、 作家でフランス人のニコラ・ファブリ、文芸評論家ナンシー・ピックフォード、 第二次…
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「声の力」 岩波書店

久しぶりに出かけた風樹文庫で借りてきた一冊。 タイトルに惹かれて手にとってみたのだが、著者の顔ぶれがこれまた凄い。 河合隼雄、阪田寛夫、谷川俊太郎、池田直樹。 ね、凄いでしょ? 4人の著者がそれぞれに文章を寄せている中で、谷川俊太郎氏の文章が、深く私の琴線に触れた。 たとえば小鳥のさ…
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割引券でお買い物(?)

私のバッグの中には、いつも1冊か2冊本が入っています。 外出先であっても僅かな時間があれば、ページを開く。 そんな風にして本を読む時間は、自宅で読むのとはまた違う愉しみがある。 寸暇を惜しんで、という言葉があるけれど、寸暇とはいえ決して馬鹿には出来ない。 僅かな時間にさあっと眼を通す緊張感、これって結構癖になりま…
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「リコーダーオーケストラのための狂詩的寓話」 / 「真昼のプリニウス」

横浜は磯子区文化センター杉田劇場で開かれたリコーダーフェスティバルに行ってきた。 リコーダー奏者、吉澤実さんが指導なさっているグループの演奏会。 作曲者であると同時に御自身もリコーダーを演奏なさる斉藤恒芳さんの新曲も初演されるということで P氏には前日から少なからずその心づもりがあったらしいが、私には「寝耳に水」の…
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「ルンペルシュティルツヒェン」 ポール O.ゼリンスキー

ちょっと気分転換にと、書棚から取りだしたのは、 お気に入りの古書店で見つけたパフィン・ピクチャーシリーズの一冊。 ニューベリー賞と並んで、アメリカで最も権威のある児童書賞であるコルデコット賞を受賞した、 ポール O.ゼリンスキーの絵本「ルンペルシュティルツヒェン」です。 暖かい代赭色(バーント・シエナ)を基調…
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「クアトロ・ラガッツィ」 公現節に寄せて

今を遡ることおよそ400年前の1585年、後に天正少年使節と呼ばれることになったクアトロ・ラガッツィ(四人の少年)が、 遥か極東の国日本からローマを訪れました。 戦国末期の日本、キリシタン大名によって法王謁見のためローマに使わされた少年たちです。 日本を離れて三年、長く困難な船旅を経て、ローマに辿り着いた少年達には…
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哀悼 村田晴夫さんへ

久しぶりに会った友人から村田晴夫さんが逝去されたと聞いた時、私は、思わず耳を疑いました。 「それ村田さんのお兄さまの事じゃないの?確か1月に亡くなられた・・・」 「ううん。村田さんご本人。ついこの間の5日に亡くなられたそうよ。」 「だって、つい数か月前に、農場でお目にかかってお話したばかりなのよ。 お元気そう…
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パセリ / 森茉莉さんのオムレツ

朝一番に畑で採ったばかりのパセリを頂きました。 両手で抱えきれないほどのパセリ。 冷蔵庫にも入りきらない量です。 そこで思いついたのが、これ。 ガラスのボールに水を張れば、ほら! 「パセリの森」。 まずは葉先をたっぷりのお湯でゆでて、お浸しにしましょう。 茹で過ぎないように、パセ…
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「引き出しの中の家」 朽木祥 / ポプラ社

赤い表紙に描かれた窓の中を覗き込むと、重ねられた本の上にひとりの女の子が腰をかけている。 そう。この子はその昔、「花明かり」と呼ばれていた”小さなひと” 「引き出しの中の家」は、人々から忘れ去られたまま、ひっそりと暮らしていた”花明かり”と小さな女の子の物語だ。 七重の宝物は、お母さ…
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メロンと「にんじん」

今も昔も、メロンが好きである。 マスクメロンの「マ」の字も知らなかった小学生のころ、おやつがプリンスメロンだった時のうれしさ。 西瓜でもない、アイスクリームでもない。 プリンスメロンは、その名前からして誘惑的であった。 つるりとした外皮は薄いグリーン。 淡いオレンジ色と緑色が微妙なグラデーションを描く果…
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「雪の女王」 もしくは コンパス・ローズ 

昨日は夏至だったと言うのに、「雪の女王」というタイトルは、なんとも季節外れかもしれないが・・・ 降り続く雨の中で、次々に咲いてゆく薔薇の花が愛おしくて、一輪、また一輪、 束の間の美しさを愛でるうち、思いだしていたのはアンデルセンの童話「雪の女王」。 いや、正しくは、物語の中で、カイとゲルダが育てていた薔薇の花だ…
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”VISION ”  種村季弘 「ビンゲンのヒルデガルトの世界」

ヒルデガルト・フォン・ビンゲン(1098~1178)。 彼女については過去ブログにも一度書いたことがあります。 12世紀という時代、男性に劣るものとして認識されていた女性でありながら、女性の枠を超えた存在として、 時の教皇のみならず皇帝に対しても大きな影響を与えたという彼女は、ビンゲンの聖ヒルデガルドと呼ばれると同時に…
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「たるの中から生まれた話」 (思い出の本棚 2 )

本が好きな人ならば、少なからず「本に呼ばれた」という経験があるのではないだろうか。 もう30年近くの昔の、あの時の私もそうだった。 いつも立ち寄っていた書店でふと誰かに呼ばれた様な気がして足をとめた。 本屋で私を呼ぶのは、本に決まっている。 私は目にとまった一冊を手に取…
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遠い日のトッパン絵本 (思い出の本棚 1 )

私がまだ小さかった頃は、どの書店の店先にも、絵本を立てかけたスチール製のスタンドがあった。 円筒形をしたそれは、廻すたびにキィキィと耳障りな音を立てながら回った。 絵本の大部分はトッパンの絵本だった。 日当たりにの良い店先におかれた絵本は売れる前から陽に焼けていた。 隣町の実家に帰る母に連れられて駅前でバスを…
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グールモン「落葉」 拾遺

10月29日付けでアップした、ルミ・ド・グールモンの詩「落葉」 この記事に頂いたコメントのやり取りが、不思議で、思いがけない展開となった顛末を書いておきたい。 事の始まりは、もちろんのことグールモンの「落葉」であった。 私の中でグールモンと言えば堀口大学であったし、私以外にも堀口大学訳のグールモンがスタンダード…
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