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大寒

大寒を過ぎて昼も夜も氷点下。 夜明け前の外気温はマイナス20度近い。 あまりの寒さに電波が凍って落っこちてしまうので、最近私の携帯はなかなか繋がりません。 凍りついた電波がどこかに転がっていないかと、捜しながら歩く。 雪の上には、凍えて空から墜落してしまった星や、寝ぼけて失速した風が凍りつ…
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「生ましめんかな」 もうひとつの 「降誕」

  「生ましめんかな」 栗原貞子                こはれたビルディングの地下室の夜だった。              原子爆彈の負傷者達は              ローソク一本ない暗い地下室を埋めていつぱいだつた。              生ぐさい血の匂ひ、死臭。             …
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「鏡よ、鏡・・・・」

湖面は 静かな水鏡。 合わせ鏡が見せるのは  うたかたの夢 鄙(ひな)の夢 。 私を惑わせるのは黄昏? それとも 風かしら。 揺らいでいるのは、水面(みなも)?  いいえ 草の葉かもしれない。 雪の白さと 冷たさは  あの日と同じ 金の…
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グールモン「落葉」 拾遺

10月29日付けでアップした、ルミ・ド・グールモンの詩「落葉」 この記事に頂いたコメントのやり取りが、不思議で、思いがけない展開となった顛末を書いておきたい。 事の始まりは、もちろんのことグールモンの「落葉」であった。 私の中でグールモンと言えば堀口大学であったし、私以外にも堀口大学訳のグールモンがスタンダード…
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「落葉」 ルミ・ド・グールモン

シモーヌ 木の葉の散った森へ行こう、 落葉は 苔と石と小径を被うている。 シモーヌ 君は好きか 落ち葉ふむ足音を? 落葉の色はやさしく 姿はさびしい、 落葉ははかなく捨てられて 地べたの上にいる! シモーヌ 君は好きか 落葉ふむ足音を? 暮れ方 落葉のすがたはわびしい 風が吹き散らす…
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向日葵

したたる夏の光の下で 優雅に輝く曲線を描きながら    しなやかな金属のように 陽炎に揺れる草むらを よぎって行ったもの。 あれは 蛇。 それとも 何かの命の残像のようなもの。 群青色に 晴れ渡る空には ひとひらの雲も 見つからない。 太陽は 赫…
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少年

少年よ 君は  顔を背けるように 泣いていたね 形にならない想いを 飲み込んだまま 君の柔らかい頬は 頑なに 世界との境界線を引いていた 何が どんなふうに 君の傷つきやすい魂を 切りつけたのか 見知らぬ少年の悲しみが 静かな水のように 私の心に溢れて…
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たんぽぽ

たんぽぽ、たんぽぽ ほどける綿毛 ほのぼの おひさま 笑う朝 そよりと吹く風 捕まえて ふわりと空に 舞い上がる たんぽぽ、たんぽぽ 優しい綿毛 さやさや 風に 誘われて きらきら 青い空をゆく 風草 綿毛の  鼓草(…
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島崎光正 「わが上には」  アヴェ・マリアに寄せて

「母の日にプライヴェートで小さなコンサートを計画しているのですが、お願いできますか?」 近くのベネディクト修道院の神父さまからのお思いがけないお話でした。 今年77歳になられるアイルランド系アメリカ人のK神父さまは、十数年来の知己。 たまたま手元にあったP氏の演奏によるCDをお貸ししたところ、数日して正式な…
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秘密

視線を感じて顔を上げると ガラス一枚隔てた庭先から 一頭の鹿が じっと私を見つめていた 雨音が 急に途絶えた 黒曜石のような眼で 何かを問いかけるように 身じろぎもせず ひっそりと  鹿は 雨の中に立っている そっと窓に近づくと 鹿は わずかに後ずさりはしたものの 逃げようとはしなかった …
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春の命 (遠い昔)

昨日 私の足元から ひらりと  生まれたばかりの蝶が舞い上がって まだ冬枯れの雑木林を 過ぎて行った 純潔の羽を 一瞬 練り絹のように輝かせて フェルナン・クノップフ (1858-1921) 「遠い昔」 それなのに 今日は 風景も…
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月の言葉(改)

象牙の色をした 月が 陰々と 夜の空を 渡る 遺跡のように 眠りに落ちた街で 月の言葉は かすかな微分音となって 遠い日の追憶のように降り続ける 「夜の聖霊」 ジョン・アトキンソン・グリムショー (1836~1893)  記憶の…
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月の言葉

象牙の色をした 月が 陰々と 夜の空を 渡る アイヴァゾフスキー 「クリミアの月夜」(1859) 56.4×76cm 月の青い指先が 街の輪郭をなぞってゆく 遺跡のように 眠りに落ちた街で 月の言葉は 静かな音階を奏でている …
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凧の蹉跌 (さてつ)

風がないので  凧は揚がらない。 息を切らして 助走しても 凧は空しく 落下を繰り返し 青草のみどりと 土の色に 汚れてゆく。 助走の勢いは 次第に削がれ 僕は とうとう立ち止まる。 海の深さの金青が 輝く空に浮かぶのは 風をはらんだ帆の…
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猫町まで (萩原朔太郎記念館)

朔太郎の「大渡橋」に見る、烈風のような寂寥感と激しい矜持。 ふるさと前橋と、朔太郎の想いは、相克に捻じれている。 かつて犀星も、故郷への相反する想いを著しているが、 朔太郎の詩には内向する怒りがある。 高校の現代国語の教科書で読んだこの詩で 「故郷喪失者(ハイマートロス)」という言葉…
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「秋の愁嘆」 中原中也

空気がひんやりと張りつめてくる秋、 磨き上げたガラス窓のように、空がくっきりと輝く季節になると、決まって思い出す詩(うた)がある。                          「秋の愁嘆」  中原中也            あゝ、秋が来た           眼に琺…
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花火 (または主題と変奏)

始まりの前の沈黙 風も止まる 張りつめた水のような夜。 やがて  夜空に開く 大輪の花。 震えながら 舞落ちる火の粉 マグネシウムの白く輝く残像に いつしか夜空は 遠く マリンスノーが降りしきる 海になる 暗い水面(みな…
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食卓 / かつて子供だったあなたに

これは 義母(はは)のまな板。 一度も見(まみ)えることなく逝ったその人が、 最後まで使っていたという 古い まな板は、 小さくたわんで 角は 丸く欠けている。 かつて 私の母がそうであったように、 義母(はは)もまた このまな板の上で 朝(あした)に  味噌汁の菜を 刻み、 陽が落ちるころ …
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アボカド

厚い皮のまわりに   ぐるりと 包丁を入れる その頃合いが  難しい 「円の極限4 (天国と地獄)」 マウリッツ・コルネリス・エッシャー (1898-1972 オランダ) ごつごつと 見苦しい 外皮の下には 目にも鮮やかな緑 丸く固い種…
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良心

そよとも 風の気配はないというのに 何かにあおられたかのように 冬枯れの 梢から  一斉に飛び立つ 鳥の群れ     いや あれは     しめし合わせてのこと 意志ある 預言のように  遠く 暮れ残った  薄墨いろの 空を 埋め尽くしてゆく 小さな黒い影   …
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雪の日の童話

お外は冷たい雪こんこ 窓から差し出す指先に 淡く優しくふれてくる 小さなうてなに 融ける雪 あちらの窓と こちらの窓と 窓が違えば 降る雪の 踊る姿も 違って見える お外は寒いよ 雪こんこ すべり台も ブランコも 黙って白い雪のなか 子どもの足音 待ちながら ひそりと耳を すましてる お外…
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こども

えらいでしょ。 うん。 えらいね。 えらい、えらい。 そっと 髪をなでる 手を握る 「ウィッカーズ家の子供たち」 ジョン・シンガー・サージェント ( 1856-1925) みんなとっくに あたりまえの大人 それでも 子供じゃなくても えらいねって そのひとことが嬉し…
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ささやかな地異は そのかたみに・・・

立原道造  「萱草に寄す 」より   はじめてのものに   SONATINE No.1       ささやかな地異は そのかたみに    灰を降らした この村に ひとしきり    灰はかなしい追憶のやうに 音立てて    樹木の梢に 家々の屋根に 降りしきつた    その夜 月は明かつたが 私はひ…
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クリスマスの想い

  神へ下りてゆくことは難しい けれどもごらんなさい   あなたはあなたの空ろな甕をもって やっと下りてゆく   すると突然 あなたが子供であり 少女(おとめ) であり 女であったことが――   それだけで十分に 限りなく神を満足させるのだ ジョルジュ・ド・ラ・トゥール 「新生児(キ…
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海からの距離

夜明けの海で つりあげられた魚は 水際(みぎわ)で 激しく跳ねた 鋭く口腔を刺す 痛みは そのまま 躍動する手ごたえとなって 釣り糸に伝わっていった 魚は 白い腹を光らせながら 水を掃いた眼を 瞠(みは)る パウル・クレー 「金色の魚」 1925  …
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真珠 (眠りし者)

二枚貝の 暖かな肉に包まれることを 願い ひたすら完全な球体を夢見ていた。 抗(あらが)う小鳥の 一途で かたくなな 羽ばたきにも 似て 幾重にも閉ざしていった  眠ることのない 夢 虹色の皮膜は 何のための 眼くらましだったのか そのことさえ わすれてしまうほど 流…
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秋の臨終

幼気(いたいけ)な 秋の日差しが 産毛のように ふるえながら 落ちている午後 私はあなたとの距離を測りかねて立ち止まる 金色の針の形をした カラマツの葉が 散乱する光りのように 音もなく 降りしきる午後だ 葉を落とした樹々の 苦悶する枝々に 分割された空は 磨きあげられたガラス…
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