seiren (青蓮)という幻 「ぜひ青蓮をご覧ください。」 初対面のその人は言った。 予備知識もないまま、seirenという響きに私が連想したのはギリシャ神話だった。 美しい歌声で舟人を惑わし、船を難破させるという伝説の生き物。 しかし彼(か)の人は「青という字と蓮で青蓮。せいれんと読みます」とおっしゃる。 ギリシャ神話と特段の関係はなさそ… トラックバック:0 コメント:8 2017年04月16日 続きを読むread more
秩父一泊二日 / 街並み編 ① そもそも、私が秩父に行ってみたい!と思ったのも、この建物の写真を見たことがきっかけでした。 秩父神社からまっすぐに伸びる番場通りの交差点にある小池煙草店。 まるで銀行! 煙草屋さんといえば、人ひとりが座れるだけの小さな店というイメージしかなかった私にとって、まさに驚き。 平成16年に登録有形文化財となったこの建物… トラックバック:0 コメント:12 2016年02月01日 続きを読むread more
秩父一泊二日 / 街の花屋さん 一応目的地はあったのですが、そこはP氏と私。 歩きながら気になるお店が、ここにも。あそこにも。 二人でそれぞれ気に入ったところで立ち止まるものだから、なかなか先に進みません。 たとえばこのお店。 古い街並みの中でここだけ一足先に春の気配。 でも足を止めたのは、ガラス越しに見える花に惹… トラックバック:0 コメント:12 2016年01月29日 続きを読むread more
秩父一泊二日 / ちちぶ銘仙館 (後編) さて、ちちぶ銘仙館は、その名前の通り堅牢なことで知られた絹織物、銘仙に関する資料館です。 う~む。 前回は「である調」だった文章が、今回は「です・ます調」になっている? 全編・後編で、文章の統一感がないとは思うのですが、なぜか今回は「です・ます調」の気分なので、それで行きたいと思います。 はい。ちちぶ… トラックバック:0 コメント:12 2016年01月25日 続きを読むread more
秩父一泊二日 / ちちぶ銘仙館(前編) 「ねえ、秩父行こうか。」 いきなりの提案である。 数日前、秩父に行きたいという話をしたのは確かだが、いつものように「またいつか」で終わるものと思っていた。 私が秩父に興味をもったのは、時々お邪魔するブログで秩父旅行の記事を読み、アップされていた画像に魅かれたからであった。 大正から昭和初期にかけて建てられた建物が… トラックバック:0 コメント:10 2016年01月24日 続きを読むread more
アノニム・コンサート / アノニムとその時代 「この家のこの部屋で、わたしら 結婚式を挙げたんですよ。」 朝から降り続いていた冷たい雨も小康状態になって、薄闇が降りてきたころから、 2人、3人と、お客様が連れだって来場になりました。 私たちの音合わせも終わり、カフェ・コーナーでは休憩時間にお出しするお茶の準備も整ったころには 日もとっぷりと暮れ、ギャラリーに… トラックバック:0 コメント:4 2015年11月09日 続きを読むread more
「ヒヤシンス・ブルーの少女」 スーザン・ヴリーランド 1枚のフェルメールとその所有者たちをめぐる物語「ヒヤシンス・ブルーの少女」は、現代のアメリカから始まる。 すでに故人となった父から譲られたそれは、誰にも知られることのないまま、ひっそりと彼の書斎に飾られていた。 孤独な数学者コルネリアスは、その絵への言い尽くせぬ思いを誰かと共有したいという焦燥に駆られている。 絵が… トラックバック:0 コメント:6 2015年03月30日 続きを読むread more
日傘の女たち / カミーユと菜穂子 前記事「モネ夫人の肖像(窓に立つカミーユ・モネ) 」に続き、カミーユについて。 そして「風立ちぬ」の菜穂子について。 カミーユと二人の間に長男ジャンが生まれて3年後の1870年、モネはカミーユと正式に結婚しました。 パリの北西、セーヌ川右岸の街アルジャントゥイユは、モネのお気に入りの場所でした。 モネ… トラックバック:0 コメント:14 2015年03月01日 続きを読むread more
モネ夫人の肖像(窓に立つカミーユ・モネ) 「光の画家」として知られたクロード・モネが、終生手放さなかった一枚の肖像画。 モネが画家として世に認められる前、極貧の時代を共にした妻カミーユを描いた作品です。 カミーユが頭から被っている赤いストールが印象的なこの作品は、二人が結婚して3年めに描かれました。 家の中から、モネが彼女に呼びかけたのでしょうか。 それとも… トラックバック:0 コメント:6 2015年02月24日 続きを読むread more
諏訪の蔵元 麗人 麗人という名前は何に由来するのかしら? なぜか気になってネットで麗人酒造のHPを検索してみましたが、それらしい記載は見当たらず断念。 麗人酒造HPによれば 「創業は今を遡ること二百余年、寛政元年(西暦1789年)。寛政元年(西暦1789年)といえば、ヨーロッパではフランス革命が勃発し、アメリカ合衆国では憲法が制定さ… トラックバック:0 コメント:0 2015年02月15日 続きを読むread more
諏訪の蔵元 本金 「本金」とは不思議な名前です。 お酒の名前となればなおさらのこと。 気になったので調べてみました。 HPにあったのはこんな言葉。 本金の文字には「本当の一番(金)の酒を醸す」という想いが込められています。 また、左右対称の2文字から、「裏表のない商… トラックバック:0 コメント:16 2015年02月13日 続きを読むread more
諏訪の蔵元 舞姫 前回「くらもと古本市」のブログでは書ききれなかったことについて、少し書きたいとおもいます。 諏訪市街を抜ける国道20号線(旧甲州街道)沿いには、今でも古くからの商家や造り酒屋が数多く残っています。 いつもでしたら自動車で何気なく通り過ぎる街並み。 当然視線は進行方向に向けられていますから、建物に注意を払うことはまず… トラックバック:0 コメント:12 2015年02月12日 続きを読むread more
イヴォンヌ・ルロールの3つの肖像 / モーリス・ドニ 画面中央に謎めいた表情を浮かべて立つ白いドレスの女性。 その背後の二人の女性も、モデルは同じイヴォンヌ・ルロール。 つまりこの作品は、ひとりの女性をそれぞれ違う視点で描いたものだ。 背後の二人のドレスはいずれも青い。 遠景もその上に広がる空も、女性たちの頭上でさやぐ木の葉も、明度彩度こそ違え、同じ青である。 正… トラックバック:0 コメント:14 2015年01月27日 続きを読むread more
ウィルトン・ディプティクの青 / パストゥロー「青の歴史」 まだ私が小さかったころ。 私たちひとりひとりに、みな守護の天使様がいらして、いつも私たちを見守ってくださっていると信じていた。 だから毎晩寝る前には、天使さまにもお祈りをした。 「守護の天使さま、主の慈しみに.よってあなたにゆだねられた、この私を照らし、守り、導いて.ください。」 そしてお祈りを済ませると、安心し… トラックバック:0 コメント:13 2014年11月27日 続きを読むread more
「森の記憶 」 二人展 (その2) <その2> 吉野剛広 作品展 それぞれが違う表情をもって重なり合う緑、青、黄色。赤にオレンジ、時にピンク・・・ 様々な色が清明に響きあい、震えている。 厚く塗られた油絵の具の表面を削ってゆく直線と曲線は、ある時はどこまでも続いてゆく線路のように、 またある時は二つの場所をつなぐ通路のように、階… トラックバック:0 コメント:10 2014年07月15日 続きを読むread more
「森の記憶 」 二人展 (その1) <その1> 小松嘉門 木版画展 作品展の会場に向かう途中から、予報通り雨が落ちてきた。 右に左にと大きなカーブが続く山道に、ゆらゆらと陽炎のような霧が這い始めたと思う間もなく、 視界は白く閉ざされた。 対向車のライトが行き過ぎる山の中の一本道は、雨に濡れた植物たちの濃厚な気配がたちこめている。… トラックバック:0 コメント:16 2014年06月30日 続きを読むread more
「塔」をめぐる会話 「朗読とリコーダーによる『塔の物語』」をめぐってこんなメールやりとりがありました。 Sさんから私(aosta)、私(aost)からSさんへ。 双方とも、あくまで私信のつもりで書いたものですから、 (特に私のメールは)思いつくままの反射的といっていい内容ですが、いただいたメールには 心に響く言葉がいくつもありました。 … トラックバック:0 コメント:49 2014年05月29日 続きを読むread more
シャヴァンヌ 「気球」・「伝書鳩」 もう2年近く前になるでしょうか。 自作の詩「さかなのかたち」とともに、シャバンヌの「伝書鳩」という作品をアップしたことがあります。 不思議な印象のこの絵には、対とされるもうひとつの作品がありました。 「気球」と題されたその絵は、「伝書鳩」と同じく、時代を経たフレスコ画にも似たセピア色の色調で描かれています。 デフ… トラックバック:0 コメント:6 2014年02月11日 続きを読むread more
五風十雨農場の妖精たち 五風十雨 (ごふうじゅうう)とは・・・ 世の中が平穏無事であるたとえ。気候が穏やかで順調なことで、豊作の兆しとされる。 五日ごとに風が吹き、十日ごとに雨が降る意から。 「五日にして一ひとたび風ふき、十日にして一たび雨ふる」の略 久しぶりに何も予定のない日のお昼前。 あわただしく仕事に追われる日が続くなか… トラックバック:0 コメント:14 2013年11月19日 続きを読むread more
片倉館の日々 その2 前回ご紹介した浴場棟に隣接する、会館棟屋根のドーマー。 そのドーマの窓はトンガリ帽子のような小さな屋根を被っている。 雨水などの侵入を防ぐためといった実用的な目的に適うと同時に、見た目も面白いデザインだ。 壁面にあるガラス格子の窓と、ドーマーの斜め格子の窓の幾何学的な美しさ。 二種類の窓が連続することで生… トラックバック:0 コメント:24 2013年11月16日 続きを読むread more
片倉館の日々 1928年、信州は諏訪の地にあって、製糸業で財をなした片倉家が諏訪湖畔に建設した片倉館。 実家の近くにあったこの建物の庭では、よく遊んだ。 小学校の写生の時間もこの場所だった。 あまり身近にあったために、小さい頃は特別な目で見ることもなく、長じても改めて出かけることもなかったのだが、 先日片倉館の見学会が… トラックバック:0 コメント:20 2013年11月14日 続きを読むread more
康耀堂美術館 秋のコンサートのお知らせ 康耀堂(こうようどう)美術館は、蓼科三井の森、敷地面積6000坪の森の中に建っています。 コンクリート打ちっぱなしの外観に加え、垂直線を意識したスタイリッシュな建物ですが、 館内に一歩入ると、温かなイメージのウッディーな造りになっています。 建物に沿って回廊の様に巡る通路は全面ガラス。 風にそよぐ雑木林に、手… トラックバック:0 コメント:14 2013年10月14日 続きを読むread more
「森ヲ思フ」 ウィン・バロック、志鎌、宮崎学写真展 志鎌猛さんの写真に出合ったのは、もうかれこれ8年近く前になる。 たまたま立ち寄った山梨県小淵沢のティー・ギャラリー「森呼吸」で、志鎌猛さんの写真展が開催されていたのだった。 聴けば、「時間の箱庭」と題されたその作品展は、その日が最終日なのだという。 オフホワイトの壁には何点かのモノクロームの写真たちが息を潜めるよう… トラックバック:0 コメント:10 2013年09月02日 続きを読むread more
夢の話 ホイッスラー「青と金のノクターン 」 夢の中で、私は子どもと二人で歩いていた。 海が迫る道の向こうに見えるのは古びた木造の校舎。多分小学校。 (何のために学校へ向かっているのか、夢を見ている側の私にはまったくわからない。) 校門をくぐった覚えはないのに、私たちはいつの間にか、校庭の中にいた。 広い校庭の一角に、小さな入り江のように青い海が入り… トラックバック:0 コメント:18 2013年02月08日 続きを読むread more
「キリストの墓を訪れる聖女たち 」 / モーリス・ドニ 予定ではイースター当日にアップするはずだったモーリス・ドニ、「キリストの墓を訪れる聖女たち 」。 いまさら、と思いつつのアップです キリストの墓を訪れる聖女たち 1894年 前景に描かれているのは、二人の天使からキリストの復活を知らされた女たち。 左側に立っている二人の天使には羽根が描かれていない。 … トラックバック:0 コメント:18 2012年04月19日 続きを読むread more
「銀貨30枚を返すユダ」 レンブラント 前回「ユダの接吻・ユダの裏切り」の続きである。 果たして「完結編」になるかどうか、はなはだ不安のまま続投。 ユダは、自分が売り渡したイエスが有罪となり、十字架刑の宣告を受けたと知って、何を思ったのだろう。 裏切りの動機が何であったにせよ、極刑までは予想していなかったに違いない。 ここに至ってユダが激しい… トラックバック:0 コメント:48 2012年04月07日 続きを読むread more
「ユダの接吻・ユダの裏切り」 ジョット 今週初めの4月1日は、「枝の主日」(棕櫚の日曜日)。 教会ではこの日から復活祭(イースター)までの一週間を聖週間(受難週)として、祈りのうちに、 キリストの死と受難を記念する。 復活祭と言っても、日本ではクリスマスほど馴染みがないかもしれないが、 キリスト教国ではクリスマスと同等か、いやむしろ、それ以上に… トラックバック:0 コメント:16 2012年04月06日 続きを読むread more
「受胎告知」 モーリス・ドニ 3月25日は、カトリック教会の「マリアのお告げの日」。 少女マリアの下に天使が訪れ、神の子を宿す運命を知らされた日とされています。 「受胎告知」はローマ教会の始まりとともに、多くの画家によって描かれてきたテーマのひとつ。 2000年の昔、天使の言葉を慄きとともに受け入れた少女がいた事によって、ひとつの壮大なドラマが… トラックバック:1 コメント:10 2012年03月26日 続きを読むread more
アントニン・レーモンドの「夏の家」 睡鳩荘に心を残しながら、次に向かったのはアントニン・レーモンドの設計による「夏の家」でした。 同じくレーモンドが設計した群馬県は高崎市の旧井上邸を訪ねた時から、そろそろ一年を迎えようとするこの秋、 再び彼の作品に見(まみ)える機会を得たことも何かの縁かもしれません。 色づき始めた木の葉が散り敷く道を、柔らかな感… トラックバック:0 コメント:17 2011年10月18日 続きを読むread more