逢魔が時の庭



焼けつくような日差しも、陽が傾くにつれて、つれさわさわと立つ風に鎮まっていく。
思えば庭を造り始めたばかりの頃、そう、もう20年ほど昔。
まだ若木だったスモークツリーやゴールデンアカシアが、
今では見上げるばかりの大木となって、日差しを遮るものもなかった庭に、涼やかな木陰を作っている。

20200820niwa.JPG

かつて、オカトラノの花群れを白波のようにそよがせようと願ったその場所で、今はピンク色の花魁草が濃淡のあるグラデーションとなって、そこかしこに咲いている。
いつの間にか絶えてしまったオカトラノオに代わって元気いっぱいな花魁草とヘリアンサス・レモンクイーン。華やかな花魁草の隣で、レモンクイーンの淡いイエローが優しく揺れる。
花魁草(フロックス・パニキュラータ)は、子供の頃の思い出の中に咲いていた懐かしい花だ。

「誰そ、かれ?」と問う言葉に由来するといわれる黄昏時は、思い出の扉がそっと開くときでもある。
扉が開けば、何か「魔」にも似たものが、私の耳元で、さやさやと取り返す術もない遠い記憶を語る。



20200820niwa2.JPG


沈んでゆく太陽を追いかけるように、やがて月が昇る。
残照で金色に輝いていた空が、暮れ馴染んで深い青紫色に染まってゆく。最後の光を集めるように、ヘリアンサスの花が薄い闇の中でいつまでも白々と明るんでいる。

空には夕星(ゆうづつ)。
青く暮れ残った逢魔が時の庭に、虫の音が満ちる。

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この記事へのコメント

katananke05
2020年08月21日 09:07
[たそ 彼?」とか 「かは たれ?(誰)?」
また 忘れていた 逢魔が時とか
美しい言葉ですよね〜

夕方の 西日に逆光がさす 狭い我が家の庭でも うっとりとするような 
一瞬がありますが、、
何しろ その時間は 子孫のために必死の
「蚊」の皆様が まとわりついて〜
恐ろしい 逢魔が時 でもあります〜

aosta
2020年08月23日 13:57
◇Katanankeさん

コメントありがとうございます。
そうなのです。「誰そ彼」「かは誰」そして「逢魔が時」。
美しくて、少し怪しい言葉が使いたくて、このブログを書いたようなものなのです。言葉って形のないものですけれど、言葉によって思いにも生活にも奥行きが与えられるものだと思います。殺伐とした言葉が行き交う場所でも、誰かがそっとゆかしい言葉を添えることで気持ちが変わるのじゃないか、とかんがえるのは楽観的に過ぎますかしら。

膝を痛めてから草取りもままならない庭は、今年もジャングル状態。もう少し手をかけてあげれば、オカトラノオも生き延びたかしら、と思うと心が痛みます。
早朝や夕暮れ時の庭で用心しなければならないのはブヨ。
これに刺されたら大ごとです。個人差もあるのでしょうが、はれ上がって大きな水ぶくれができ、脚全体がむくんで歩くのも難儀になってしまいます。まさしく「逢魔が時」くわばらくわばら!

katananke05
2020年08月24日 14:02
膝が痛いのですか?
私もテニスやゴルフで 膝がよく痛くなり
特に左が痛いのですが 
去年の秋から テレビで医者が教えてた体操をしだしたら 
まだ 一度も痛くなりませんよ〜

お風呂のなかで 足をまっすぐ伸ばし
かかとだけ 向こう側浴槽壁に押し付け
ぐう〜と力を入れて押して 緩め、、
背中は こちらの壁につけて
とにかくかかとのみを 押し付け、、
これを30回が基本、、

私はこれに 追加もう10回を毎日やっています〜
膝をいっぱいに伸ばして突っ張るのですよ〜
ただしかかとを押し付けるので
これは足後ろの筋肉を鍛えるようです〜
おかげで 秋から 痛みを感じないので
今は暑くて 湯船に入りたくないけど
この体操のために 我慢して入っていますよ〜
風信子
2020年08月25日 20:47
こんばんは。しばらくパソコンにさわらないでいたらいつの間にか新しいブログが公開されていたんですね。逢魔が時ですか!久し振りに聞きましたよ。
むかしは、遊びに夢中になってしまい家に帰るころにはもう日暮れ、なんてことがしょっちゅうでした。腹を空かせて帰宅すると、こんな時間まで遊んでいると人さらいにさらわれるよ、と脅かされたり叱られたりしたものです。逢魔が時は怪しくこの世ならぬものが、水が染み出してくるが如くおぼろな姿を現す時でもありました。あの頃のサーカスには、怪しく禍々しい魔の気配がしたものです。今はどこもかしこもピカピカの照明に照らされ、魔物どもが潜む闇は少なくなったようですね。
anstaさんのお庭は、自然の勢いがわれわれより勝っているのですぬ。手入れされ過ぎた庭にはない魅力を感じます。
風信子
2020年08月25日 20:55
人さらいにさらわれた子供はサーカスに売られるのだと聞いていました。
katananke05
2020年08月26日 11:03
↑ 時々お見かけする 風信子さんですが
懐かしい子供の頃のお話、、
同じく 夕方まで ゴム跳びや 縄跳び
遊びに夢中で 暗くまで遊んでいたら
「人さらい」に連れ去られ サーカスに売られる、、 お酢を飲まされ 体を柔らかくして 芸を仕込まれる、、と
脅されましたよ〜
今は エンターテインメントの明るい舞台芸術ですけどね〜

今 アメリカでは 子供誘拐の件数が
驚くほどで これは サーカスでなくて
性的対象とか 中には 臓器販売?もあるとか、、 おぞましい〜
aosta
2020年08月27日 11:01
◇Katanenkeさん

コメントをありがとうございました。
バスタブの中で脚を突っ張る、私もNHKで見た覚えがあります。
今までいろいろ試してもあまり効果がなかったので、年だから仕方ないわ、と半分はあきらめていますので、あえて試してみる気持ちにならなかったのですが、効果があったと伺って、俄然興味が出てきました。
ダメ元でやってみようかしら。
もともと運動が苦手なので、体を動かすことは長続きしないのです。
でも膝が悪いと、本当に不都合ばかり。今まで当たり前にしていたことが、膝を曲げられないとできなくなります。
しゃがめないので、床の拭き掃除もままならず、シンクや床下の収納も取り出すのに難儀です。
ハイヒールが大好きなのに、膝に負担がかかるかしらと思えばついついヒールのない靴を選んでしまったり。
ハイヒールで苦も無く駅の階段を駆け上がっていたころが夢みたいです(笑) Katanankeさんは日常的に運動していらっしゃるから、もともとの筋力が違いますよね。
katananke05
2020年08月27日 11:21
この運動の大事なところは
くれぐれも 足を突っ張るのでなく
「かかと」だけを 押し付けて突っ張るのです〜 まあ3ヶ月試して見て〜
今は浴槽に浸るのも うんざりなのですが
我慢して継続している 我です〜
aosta
2020年08月27日 11:27
◇風信子さん
◇Katanankeさん


コメント、ありがとうございます。
まあ!いつの間にかお二人で盛り上がっていらしたんですね(^^♪

サーカスに売られる、なんて言っても今の若い人たちには通じないでしょうね。私たちが小さいころ(きっと同世代ですよね?)サーカスと言えば、町から町へ巡業(?)してくるサーカスでしたよね。木下サーカスがわが町にもやってきたときは、わくわくしながら見に行きました。芸をする象や、ジャングルジムのような鉄の囲いの中を猛スピードで疾走するオートバイ、などに興奮したものです。

でも、それにもまして印象に残っているのは、学校帰りに友達と開演前のサーカス会場を探検に行ったことです。夜のテントの中は煌々と照らし出され、人いきれと期待感で息が詰まりそうな
別世界でしたのに、昼間の太陽の下で見たそれは、どこからともなく獣臭が漂い、テントも薄汚れてうらぶれた場所でした。
何人か芸の練習をしている子供もいましたが、見ているのが悪いことのような気がして、大急ぎで逃げ出したような気がします。

あの頃のサーカスは、不思議で怪しい魅力に包まれ、どことなく不穏で怖いところでもあったかと思います。人さらいとサーカスはひとつながりのイメージでもありました。
そうそう、身体を柔らかくするために、無理やり酢を飲まされるなどという話を本気で信じていたり、ね。
昭和も30年代。
今とは違い街路灯が白熱灯だった時代、町全体が明るく照らされるなどということはありませんでしたから、日が暮れるまえに帰ることが親との約束でした。誰そ彼、かわ誰、という薄暮の時間は、理解できないものが行き交う、まさに遭魔がときという言葉がぴったりでした。
aosta
2020年08月27日 11:43
◇風信子さん
◇Katanankeさん

こどものころ、二組の子供たちがそれぞれ一列になって向かい合い、歌いながら遊んだ「はないちもんめ」。

当時は歌詞の意味を考えることもなかったのですが、後になって人買いに売り買いされるに貧しい家の子供のことを歌っている、という説を知って、やるせない思いになったことがありました。
恐ろしい人買いも、決して昔の話ではなく、現在もあるんですね。人さらいは黙って子供をさらっていっちゃうのでしょうが、人買いは合意の上で買ってゆく。もちろん売られる子供(とは限らない?)の意思とはべつでしょうが。
カズオイシグロにも、人買いではないものの、子供たちの臓器売買をテーマーにした小説がありましたっけ。小説は、時として隠された事実を暴き、現実を先取りするもの。思えば、恐ろしいことです。
aosta
2020年08月27日 20:44
◇Katanankeさん

脚ではなく、かかとで突っ張るのですね(^^♪
わざわざありがとうございます。やってみますね。
katananke05
2020年08月28日 22:23
K Ishiguroの 小説は 「私を離さないで」だっけね〜 本も読んだけど 映画も見たし
のちにはテレビドラマにもなったよね〜
やはり本が一番私には 面白かった、、というか 興味深く読めました〜
イギリスの風土から生まれる 小説かなあ、、と思ったことでしたよ〜
でも イシグロのはいくつか読んだけど 「日の名残り」が
一番好き、、これは映画も良かった〜
aosta
2020年08月31日 20:13
◇Katanankeさん♪

コメントありがとうございました。
お返事、お待たせしてしまい申し訳ありません。

そうそう「私を離さないで」です。
私も彼の処女作「日の名残り」を読んで、この作品にトライしたのですが、やはり「日の名残り」的な世界が、私には心地よかった。
勢いで映画も見ましたが、主演のアンソニー・ホプキンスも老練でプライドの高い執事役にぴったりでしたし、エマ・トンプソンもぴったりの配役だったと思います。本当にいかにも英国らしい作品でした。テレビ・ドラマにもなったんですね。知りませんでした!BBCのドラマは大好きです。

アンソニー・ホプキンスは私のお気に入りの俳優さんなのです♡」

「浮世の画家」は途中で挫折したままなのです(;´∀`)

katananke05
2020年09月15日 21:26
お〜い
お元気にしてますか?
暑さで 今頃 疲労が出てるとか?
このコロナ下 ご主人様は演奏会は
できなかったでしょうが
どのようにお過ごしでしたか?
katananke05
2020年09月26日 10:47
やっと本格的に涼しくなりましたね〜
今 面白い本 2冊読み終え
ブログに出しました〜
多分 aosta 様も 気に入られる本だと
思いますが 図書館は 遠いのでしょうか知らね〜
katananke05
2020年10月09日 22:06
お〜い
起きてるかい? と心配になってます〜
元気?