我が家の"THE YEARLING"




アメリカの作家マージョリー・キナン・ローリングスの「子鹿物語」を読んだのは小学性の頃でした。

フロリダ奥地の開拓農家の一人息子ジョディは、母鹿を亡くした子鹿と一緒に、まるで兄弟のように育ちますが、
まずしい開拓農民にとって畑の作物を食い荒らされることは死活問題。
大人になって農作物を荒らすようになったその鹿を、ジョディは、自らの手で撃ち殺すのです。
人間と大自然との過酷な戦いと共存の難しさは子供心にも強く訴えてくるものがありました。

物語の原題は "THE YEARLING"。
生まれたての1年経っていない動物に対して使われる言葉だそうです。





そして我が家の"THE YEARLING"
おそらく、この春に生まれたばかりの子。
いつも1頭だけで、我が家の庭に姿を現します。
目と目があうと大きな瞳で静かに見返してくる鹿たちですが、この子も、ひたと目を合わせてきます。

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本来鹿は群れで行動するもの。
庭に出没する鹿は、いつも団体様御一行。大きな群れは10頭以上のこともあります。
親の後を何頭もの子鹿が、ちょこちょこと追い描けてゆく姿を何度も見かけています。
この子は母鹿とはぐれてしまったのかしら?
それとも・・・・
何らかの理由で、自分の群れに戻ることができないまま、はぐれ鹿になってしまったのでしょうか。

背中の白い斑点はまだ子供のしるし。
あまりに可愛くて痛々しくて、庭に現れても追い払うことができない私たちに気を許したのか、
最近は、家の軒近くまでやってきます。
目が合っても、すぐには逃げようとしません。
今はまだ背丈も小さく、雑草を食べて満足していますが、このまま大きくなったら、
私たちが大事にしている花や木が食べられてしまう日も来るかもしれません。
ジョディの一家のように、死活問題ではないにしても、丹精した庭を荒らされるのは困ります。
人間を恐れなくなった動物の末期を考えると、可愛いとばかり言っていられない現実があります。

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それにしても、ギスギスに痩せているこの子、食べものが足りていないのかしら・・・・
今度庭に現れたら、追い払おうと思いながらも、骨の浮いた身体を見ると胸が痛くなります。

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ジョディがかわいがった鹿の名前はフラッグ。
真っ白な尾を旗に見立てての名前でした。
でも、うちの子に名前はつけてあげることはできません。

私たちが住んでいるこの場所が、もともとは動物たちのテリトリーだったことを思えば、
山暮らしが切なくなる一瞬です。











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この記事へのコメント

しっぽ
2014年08月01日 20:44
そうフラッグでした。
私も小学生でした。

切ないお話ですね…奈良だったらいいかしら?なんてふざけていられない…こういうの弱いんです。犬や猫はまだしも、小鹿物語ですものね。自然に近く暮らすという事は、こういう事も引き受けるという事ですが、結局われわれへの問いなんですね。
2014年08月01日 21:09
私も小学生の時、担任の先生が卒業後に「小鹿物語」と「若草物語」の映画に連れて行ってくれたのを思い出しました。女性の先生でとっても怖く、ヒステリックだったけど、気分で物凄く怒る先生だったけど、案外好きで卒業後もずっとお付き合いをさせてもらっていたんです。 もう何年も前に音信不通になってしまったので、高齢でもあったし、たぶん・・・ですが。 改めてそれらの映画をDVDで見てみたくなりました。 お庭にこんなかわいいお客様が来るなんていいですね!
ぶんな
2014年08月01日 21:11
かわいい小鹿。痩せぎすの小鹿。何か食べさせてあげたいほど。けれども積極的に飼い慣らし、領有をゆるしてあげるわけにもいかない。
我が家の周りにも、野良猫、すこし隔たったところではクマ、そしてカモシカと、人の優しさと冷たさとの間に命を繋いでいる動物たちが。共存共栄の難しさですね。いったいどの時点でバランスを崩してしまったのやら。
この小鹿の未来がどうなっていくものか気になるところです。
アルト笛
2014年08月01日 21:50
野生の群れの中にはもう戻ることが出来ないのでしょうか。少し先の現実を思うとますます切なくなってしまいます。
あぁ、でもこの黒い瞳を見てしまうと、今日一日雑草で満足なら食べてお行きとなってしまいそう…
2014年08月01日 23:24
こんばんは。
複雑ですね。鹿が増えすぎて駆除とかいう話もありますし。一方、人間がクマやシカのテリトリーまで居住範囲を広げたとも言えますし。
この食べ物の多い季節にこれだけ痩せていると単に栄養不足とかじゃなくて病気なのかも。そして冬は越せないのかもしれませんね。かわいそうだけど。
ルネ
2014年08月02日 01:14
北海道では鹿が増えすぎて、ハンターに許可を与え処分しています。街道沿いで草をはんでいる鹿を見ると不憫でなりませんが、センチメンタルなことを言っても仕方がありません・・
しかし自分の家の庭に出没されると切ないですね。
かもしかの赤ん坊を育てて野生に戻した話を聞きましたが、しょっちゅう里帰りしてくるそうです。
HT
2014年08月02日 05:14
おはようございます。
遅くなってしまって申し訳ございません。
うぅ~ん。読んでいて胸がキューンとなりました。写真拝見して、何だろうこの感じ。この辺の言葉でいう「もうらしい」と云う感じになってしまいました。人間が勝手に彼らの住んでいる所まで進出して行ってしまったのですよね。松本でも鹿が問題になっています。美ヶ原からニッコウキスゲが無くなってしまったのも鹿が食べてしまったからです。けれど彼らも一生懸命生きているのですよね。この子はこれからどうなって行くのでしょうか…とても胸が痛みます。
2014年08月02日 05:39
◇しっぽさん

おはようございます。
ジョディとフラッグ。何十年も前に読んだ本なのに、そしてず~っと忘れていた本なのに、記憶って不思議ですね。
一つのきっかけで、するするといくつもの引き出しが開いていきます。
その昔、捨てられた犬や猫を見るとそのままにしておけず、連れ帰っては、母の顰蹙を買ったことも思い出しました。親に内緒でこっそり餌を運んだこともありました。
けれども、今回は・・・・鹿です。
ほんと、奈良の鹿さんたちのところに連れていってあげられたらどんなにいいでしょう。

>結局われわれへの問いなんですね。

鹿たちはまっすぐに見つめてきます。
ものいわぬその黒い瞳に、答える言葉を私たちは持っていません。
2014年08月02日 05:54
◇mintさん

「小鹿物語」、「若草ものがたり」どちらも懐かしい映画ですね。
私が「小鹿物語」を見たのはいつだったかしら?
お父さんを演じたのがグレゴリー・ペックでしたね。

もともと「小鹿物語」は児童文学として書かれた作品のようですが、シリスで重い内容ですね。あの当時のアメリカでこうした問題意識を持つ人がいたということが驚きです。確かお母さんとジョディの関係も微妙で、現代の親子関係を先取りしているようなところもありました。

>改めてそれらの映画をDVDで見てみたくなりました。

同じく、私も(*^^)v
2014年08月02日 06:09
◇ぶんなさん

昨夜は、竜巻警報がでる大嵐でした。大音響の雷を聞きながら、あの一人ぼっちの小鹿が、どんなに怖い思いをしているだろうと、思っていました。
自宅から数キロ登った草地に塀をめぐらして、メガソーラーの設備が整いつつあるのですが、延々と続く人の背丈以上の金網には、鹿がぶつかったと思われるゆがみやへこみが何か所も目につきます。
広大な草原は、動物たちの格好の遊び場であり、豊富な草を提供してくれる場所でもあったでしょうに、完全に締め出された状態です。
自宅からは少しはなれていますが、2.3日前には、熊の目撃情報もあったようです。

>いったいどの時点でバランスを崩してしまったのやら。

この問題は今に始まったことではないのでしょう。
人の歴史は自然との闘いの歴史であり、自然を飼い馴らすことで人間はここまで繁栄してきたように思います。意識は常に「支配」にあり「共存」ではありませんでした。

>この小鹿の未来がどうなっていくものか

小鹿の未来は、私たちの未来でもあるのでしょう。
2014年08月02日 06:17
◇アルト笛さん

御無沙汰しております。コメントをいただきありがとうございましたm(__)m

>野生の群れの中にはもう戻ることが出来ないのでしょうか。

そうですよねぇ。なろうことなら群れに返してあげたい。
でも近くの友人にこの話をしたところ、ほかの群れがすぐそばを通っても鹿たちは小鹿に無関心で、群れに誘うことはないし、小鹿の方もじっと見ているだけで近づくことはないということでした。鹿の生態はよく知らないのですが、群れは家族で構成されているんでしょうかね。母鹿を失って、いったん群れからはぐれてしまうと、自分が帰るべき群れを見つけ出すことができないのかもしれません。

>今日一日雑草で満足なら食べてお行きとなってしまいそう…

そう。まさにこの心境。
最初のうちは近くにやってくる鹿が可愛くて、のんきに喜んでいたのですが、少しづつ鹿の様子がわかってくると、今度は心配でなりません。
2014年08月02日 06:27
◇achisiさん

おはようございます。
いつも気持ち玉をありがとうございます。

>この食べ物の多い季節にこれだけ痩せていると単に栄養不足とかじゃなくて病気なのかも。

ご指摘の通りだと思います。
この子は痩せているだけでなく、毛並みに艶がなく薄汚れた感じです。
親や仲間と一緒ならば、たがいに身体を舐めあってて清潔に保たれるのでしょうが、この子にはそうした仲間がいません。
単に汚れていると言うだけでなく、何か病気があるのかもしれませんね。
ろくに乳を飲まないうちに、はぐれ鹿になってしまったのではないかというのがPの見解です。早すぎる独り立ちを余儀なくされた小鹿には、身を守る知恵も術もないのでしょう。
冬は越せない・・・・ 胸が痛くなります。
2014年08月02日 06:40
◇ルネさん

御無沙汰したままで申し訳ございません。
コメントありがとうご会いました。お変わりありませんか?

>北海道では鹿が増えすぎて、ハンターに許可を与え処分しています。

状況はこちらも同じですが、聞くところによると年々ハンターが高齢化する一方で、新しく資格を取る人は少なく、結果として、猟友会が縮小しつつあるということでした。猟が解禁になると、自宅近くでも、あちこちから鉄砲の音が聞こえてきます。
Pは射殺された鹿に遭遇したこともあります。
鹿が増えすぎるなら、オオカミを導入したらという意見もあるようですが、これも安易には賛成しかねるアイディアです。日本オオカミが絶滅した今、導入するのは、外来種のオオカミということですからまた別の問題が起こるでしょう。
人間はつくづく傲慢ないきものだと思います。
一度壊れてしまったバランスを再びもとに戻すことが、はたして可能なのでしょうか。

我が家のYEARLING
姿を見せても見せなくても、心が痛いです。
2014年08月02日 08:50
◇HTさん

おはようございます。
こちらこそお邪魔できずにおりますのに「遅くなって、」なんてとんでもありません!!

>この辺の言葉でいう「もうらしい」と云う感じ・・・・

「もうらしい」という言い方は私も主人も初めてです。松本方面の言葉なのかしら。同じ長野県なのに言葉って面白いですね。
でもニュアンスはなんとなくわかります。何といっても長野県人ですのもの(^^ゞ
ただかわいそう、というよりもっとしんみりした感じです。哀切な響きもしますね。

霧ケ峰周辺の鹿による食害は深刻ですね。
私が子どもの頃は、霧ケ峰のどこと言わず、一面ニッコウキスゲの花が咲き乱れていましたのに、最近は決まったところでしか見ることができません。
鹿の食害以外にも、観光客の靴について運ばれてくる外来植物が繁茂して、在来種を脅かしているようです。
人間が自分の分を超えたことで、自然に大きな脅威を与えていることは紛れもない事実です。この小さく寄る辺ない鹿を見ていると、胸がいっぱいになってしまいます。
カタナンケ
2014年08月02日 10:08
小学生の頃 学校でか 学校からか
「子鹿物語」を見ましたよ~
yearling,,,というのですね、、
つぶらな瞳は 文句なく守ってあげたい、、と
思わせますが~

つい1月ほど前に
「おおかみが 日本を救う」という本を
読みました、、
鹿の食害にたいして 長い事「おおかみ」を動入すべきと
うったえている 丸山氏(丸田だったかな)の
膨大な資料にもとずく 所見です、、
絶滅したと言われる 日本オオカミと
ヨーロッパの ある地方のオオカミは
DNA が 一緒だそうで そこから 導入すれば
外来種ということではないそうです、、
アメリカのイェローストーン公園でも オオカミを導入 ふやして
いまは 自然体系が うまく維持されているようです、、
山野の動物の頂点にたつのが オオカミだそうで
そこを日本では 忌み嫌い排除したので(迷信や 間違った知識のため、
いわく 悪魔のつかい、、とか 人を襲うとか、、赤ん坊を 食うとか)
動物の均衡が くずれた、、ということのようです、、
オオカミはひとをおそう、ということは 世界的に見ても 皆無というくらいのデーターだそうで ほんとうはとても臆病で
人を見ると 逃げるらしく 家畜をおそうことはあっても
いま いのししや 鹿のしょくがいにたいする防護にかかる費用の
すう分の一 十数分の一 とかで 防護すれば 防げる、、などなど~
漁師の数も 仰せの通り 高齢化と なり手がいないということで
減ってきている今
オオカミをとりまくり絶滅させたり
いのしし 鹿がふえすぎ こんどは それらを殺し回ったり
人の都合で絶滅させられた 美しい瞳をもつ
オオカミが この本をよみ ほんとうに哀れになりましたよ~
ぶんな
2014年08月02日 17:06
すばらしいお答え、恐れ入ります。
2014年08月03日 06:14
◇カタナンケさん

>つい1月ほど前に「おおかみが 日本を救う」という本を読みました

おおかみ、話題なんですね。それにしてもすごいタイミングです。
ヨーロッパのオオカミの中に、日本オオカミと同じDNAをもったものがいる・・・・
つまりは、日本が大陸の一部だったということの間接的な証明なのでしょうね。

民話に登場するのはもっぱらキツネでオオカミの影が薄い日本。
わたしにとってのオオカミはシートンの「狼王ロボ」でした(^^♪。
この本も「子鹿ものがたり」と同様、小学校の頃、読んだのですが、賢いだけでなく、誇り高く、愛情深いロボに憧れました(笑) 数か月まえには、ジャック・ロンドンの「白い牙」を読み直したところです。
というより、初めて完訳で読んだというべきですね。
子供の時は、人間に虐待される「白い牙」が可愛そう、という感想しか持たなかったような気がしますが、今読み返してみると、フィクションとは言え、オオカミと人間の関係について、深く迫った作品だと思います。
日本の野生において食物連鎖の頂点にいたであろう狼が絶滅した影響は、想像以上なのでしょう。
「おおかみが 日本を救う」、本気で検討する価値がありそうですね。

おまけ
「おおかみ」を変換しようとしたら、こんなものが出てきました♪
🐺🐺🐺🐺🐺🐺 ← オオカミの絵文字(?)あるんですね~
2014年08月03日 06:16
◇ぶんなさん

私も同感です(^^♪

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