雛が孵った話




門柱脇のヒバの木の中に鳩の巣を発見したのは5月の初め。

いつも同じ場所から鳩が飛び立つことを不審に思ったPが、ヒバの木の茂みの中で卵を抱いている鳩に
気がついたのだった。
毎日何度も人が出入りするこんな場所に!と驚いたが、考えてみれば密に葉が茂ったヒバの木は
身を隠すには最適の場所だ。
人間の姿が見えるのも、天敵を避けるには、むしろ都合がいいのかもしれない。
以来、巣のそばを通る時は、鳩を驚かせないように気を使いながらも、横目でしっかり鳩の姿を確認するのが
日課となった。


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2羽の雛が孵ったのは、5月も20日を過ぎたころ。
私たちが、そおっと首を伸ばして雛をみていると、ぼやぼやともつれた毛糸玉のような雛たちは、
恐れる様子もなく黒くて丸いビーズのような目でじっと見返してくる。

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親鳥がいない間、雛は決して鳴き声を立てない。
ひたすらじっとして、親鳥の帰りを待っている。
声をあげたら見つかることを本能で知っているのだろう。

毛糸玉たちは、日々大きくなって、日に日に親鳥そっくりになってゆく。




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そしてつい先日。
いつものように、雛たちの様子を見に行ったPが、心なししょんぼり帰ってきた。
「雛が1羽しかいないんだ・・・・」
「1羽だけ? 巣から落っこちたのかしら?」
「僕もそう思ったから、木のまわりを探したんだけど、やっぱりいない。」
カラスにでもやられたのだろうか。
毎日の成長を楽しみにしていただけに、ふたりとも動揺は隠せなかった。
その数日後。残る1羽もいなくなって、はたと気づいたようにPが言った。
「ねぇ。もしかしたらやられたんだんじゃなくて巣立ったのかもしれないよ。」
そこで初めて、私たちは雛たちがいつ巣立ちの時を迎えてもおかしくないほど、大きくなっていた事に思い至った。
毛糸玉たちは、自分の羽をはばたかせて広世界へと、飛び立っていったに違いない。


それからさらに数日。
雛の姿がみえなくなってからずっと寂しがっていたPが、ぽそりとつぶやいた。
「時々下手な飛び方をしている鳩がいないかなって、探してみるんだけど。」


そしてaostaはつぶやく。
「あら。Pってこんなに優しくて、寂しがり屋だったのかしら。」





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この記事へのコメント

HT
2014年06月06日 22:30
こんばんは。
鳩の雛ですか。鳩の雛はまだ見たことがありませんが、やっぱり写真見ていても大きい感じがします。卵も大きいのでしょうね。私の家にも昔は鳥たちが木に巣を作っていたものでしたが、今はそういう木も無くなってしまって見ることが出来ません。
毎日見ていたら自分の子供のように可愛くなって行ってしまいますよね。巣立った後寂しさも来ますよね。
ルネ
2014年06月07日 01:07
そんなところに巣を作られたら、気になって気になって仕方ありませんね!ツバメならいくらでも見かけますが、鳩は・・そういえばずっと昔、トイレの前で猫がやたらに騒ぐので不審に思ったら、小さな二重窓の間に巣を作って卵を産んでいたのです。主人の単身赴任先のアパートで私は普段はいないし猫は大騒ぎするし、親鳩は恐れをなして雲隠れするし、仕方なく卵を捨てちゃいました・・・許せ鳩クン。
昨年ドイツにいる友人がベランダに巣を作られて、毎日親鳥のいない隙をねらってふんの始末をしながら、巣立ちを見届けたブログを読みました。2羽のヒナに名前までつけちゃって、かなり情が移ったみたいです。
お宅から巣立った鳩が、また来年?戻ってきて巣作りするかも知れませんよ!
2014年06月07日 06:24
◇HTさん

おはようございます。
山鳩という種類だとばかり思っていたのですが、主人が調べたところによると、キジバトのことなんですって。お寺や神社で見かけるドバトに比べると、羽の色が茶色がかっています。くちばしも細長いような気もします。ドバトの方が、人間に対する警戒心が強いというのは意外でした。毎年マグノリアの花が咲くと花を食べにくる鳩がいるのですが、親はその鳩なのかしら?

巣は大人が背伸びしてかろうじて見えるくらいの高さにあって、覗き込むことができず、卵は確認していません。それでもじっと動かない鳩が卵を抱いていることだけはわかりましたので、Pと二人で無事に雛が孵ることを願っていました。
鳩の気配がなくなってしまったヒバの木の横を通るたびに、雛たちはどうしているかと、気になります。ほんと自分の子どものようですね。
ぶんな
2014年06月07日 08:55
鳩、ほんとうに可愛いですね。「黒くて丸いビーズのような目」、印象的です。いなくなると気になりますよね。ヒナが無事に育つのは大変な幸運と思われます。
実は主人が路上を歩いていたところスズメのヒナが突如落下してきて、それも巣も無い上空からなのですが、それを私が育てました。私の手にのってじっとしているようになりました。やがて元気に羽をばたばたさせるようになったので、仲間らしいスズメたちがやってきたときに、外に出してやりました。仲間たちの鳴き声を聞いた時のヒナの喜びようと慌てぶりはもう大変なものでした。置いて行かないで!待ってて!と全身で訴えているようでしたよ。
 お隣が旅館ですが、毎日お客様が出入りする入口のフジ棚にヒヨドリが巣をつくり卵を産んで巣立つまで宿泊したようです。これも鳥の知恵だったのでしょう。
この辺りでもノラネコや鳥たちの環境が厳しくなってきています。カラスはもう敵視されるばかり。映画「鳥」を思い出します。
カタナンケ
2014年06月07日 09:13
我が家も少し前に プラムの木に(狭い庭の隣家とうちの間)
山鳩ガ巣をかけ、、
庭に出るときは かがんで 息をひそめ、、でも目は 上目で
巣をみつめ(あやしい~)、、
小鳩が2羽かえりすだちましたが
あとは 巣をおとしてしまいました、、かわいかったけどね~
2014年06月08日 06:00
◇ルネさん

お返事が遅くなってすみませんでした。
そちらは、連日の猛暑から一転、大雨と聞いています。
ルネさんの体調はいかがですか?お住いの辺りで被害はありませんでしたか?

八ヶ岳でも連日の雨です。
こんなに降ってばかりだと、巣立ったばかりの雛が雨に打たれて震えてるんじゃないかと(もう雛出なないのでしょうが・笑)気になって仕方ありません。

>小さな二重窓の間に巣を作って卵を産んでいたのです。

そんなことがあったのですか。猫に目をつけられたとすると、おちおち卵を抱いているわけにもいきませんね。雛が孵る前に自分が食べられてしまいそう。親鳥が巣を放棄したのも致し方ないことだったのでしょう。残された卵は、いずれ猫やヘビに食べられるか、風で巣から落ちて壊れるかしたであろうと考えると、ルネさんが親鳥と卵への思いとともに処分されたことはまだしもだったと思います。

>お宅から巣立った鳩が、また来年?戻ってきて巣作りするかも・・・・

ツバメは毎年同じ巣に戻ってくるようですが、ツバメ以上に帰巣本能の強い鳩だったら、生まれた場所に帰ってくることも十分考えられますね!
来年が楽しみになりました!!!

2014年06月08日 06:28
私の家の庭にも鳩が巣をつくり、雛が育っています。だいぶ大きくなってきましたので、数日で巣立ちになるかもしれません。毎日、楽しみながら観察をしております。まるで家族のように思えるこの頃です。
2014年06月08日 07:03
◇ぶんなさん

歩いていたらスズメのヒナが降ってきた!
ご主人様もさぞ驚かれたことでしょう。
カラスにでもさらわれたヒナが、餌食になることを逃れようともがいたのかしら?
犬や猫と違い、野生のスズメを育てる御苦労は並大抵のものではなかったことと推察いたします。無事仲間のもとに帰れるまでにお世話されたとは!

>仲間たちの鳴き声を聞いた時のヒナの喜びようと慌てぶりはもう大変なものでした。

はしゃぎながら慌てる小さなスズメの姿が目に浮かぶようです。
ちいさなスズメの子を育て一生を看とったクレア・キップスという人の作品を思い出しました。大久保康雄さんの翻訳で「小雀物語」として出ていたものですが、数年前梨木果歩さんの新訳で「ある小さなスズメのものがたり」として刊行されました。
第二次世界大戦中のロンドン郊外で、足と翼を痛めた生まれたばかりの小スズメがキップス夫人に拾われる場面からストーリーが始まります。物語は淡々と語られるのですが、実話ならではの重みがあります。

ヒッチコックの「鳥」。
数えきれないほどのカラスが小学校(?)のジャングルジムに真っ黒に群がっているシーンが印象に強く残っています。暖炉の煙突を通って家の中になだれ込む鳥の群れも恐かったですね。鳥の羽音が案内恐く感じた映画は初めてでした。
2014年06月08日 07:11
◇カタナンケさん

この時期は鳩の子育ての季節なんですね。
山鳩(キジバト)より、神社やお寺に群れているドバトのほうが、警戒心が強いという話には驚きました。確かに我が家の(笑)山鳩は、巣をのぞきこんでも、泰然自若、身動きすることもなく卵を抱いていました。もちろん、私たちも鳩を驚かせないようにと、音をたてたり、急に動いたりしないようにと気を使ってはいましたが・・・

今朝も小雨の中から郭公の声が響いてきます。
声だけ聞いていれば長閑な郭公ですが、子育てに関しては托卵という方法で、よその親に自分が産んだ卵を変えさせるという、知恵者です。郭公に狙われることもなく、無事卵を孵す場所として我が家が選ばれたことは嬉しいですね。
2014年06月08日 07:21
◇遊歩さん


コメントをいただきありがとうございます。
長のご無沙汰が申し訳なく、お詫び申し上げます。

まあ! 遊歩さんのお宅でも、雛が育っているのですね。
日本のあちこちで一斉に鳩が子育てする季節、なんだか嬉しくなりました。
雛が無事に巣立ちするまでは、親鳥も見守る遊歩さんも一生懸命ですね。
最近良く目にする映画の広告「ノア」。
ノアの箱舟の物語がどのように映像化されているのか、楽しみです。水が引いたかどうかを確認するために船から放たれた鳩が瑞々しいオリーブの若枝を加えてくるシーンが楽しみです。
ルネ
2014年06月10日 01:01
ご心配下さって有難うございます。
天候が変だったのは主に道東地方で、このあたりは1日ちょっと暑かっただけでした。北海道は広いので、お天気も場所によって全然違うんですよ。
ヒナで思い出したのですが、昔妹がオナガの落ち雛を拾ってしばらく育てていました。雛といってもかなり大きいし、その声のすさまじさったら!とても部屋には置けないのでお風呂場で世話してたようです。でも、結局死んでしまいましたね。ああいう野鳥を育てるのはなかなか難しいそうですね。ちなみに北海道にはオナガはいないんですよ。
2014年06月10日 06:21
◇ルネさん

こちらにもコメントをありがとうございます。

>北海道は広いので、お天気も場所によって全然違うんですよ。

そうでしたね。私も住んでいたことがあるのに、すっかり忘れていました^^;
いずれにせよ、ルネさんとルネさんのお庭が護られたということで安心いたしました。

妹さん、オナガを育てようとなさったんですね。
オナガは姿こそ美しいですが、鳴き声ときたら!昔、玉川上水沿いに澄んでいたころ、毎朝、けたたましいまでのオナガの鳴き声に起こされたものでした。たしかにあの鳴き声は「すさまじい」という言い方がぴったりです。

>ちなみに北海道にはオナガはいないんですよ。

私も東京で初めてオナガと言う鳥を知りました。
長野にも北海道にもいないということは、寒さが苦手なのかもしれませんね。

もう、お聞きおよびかもしれませんが、先日妹さんご夫妻が遊びに来て下さり、久しぶりにおしゃべりを堪能致しました。次回は男性陣抜きで会いましょうということで意見が一致(^^♪ いつかルネさんと3人で心行くまでお話がしたいです。


しっぽ
2014年06月20日 23:02
ご主人の最後の台詞 最高ですね。

うちも寝室の東の窓に 実生の木が何本も葉を重ねています。小さな木の実があるらしく 頬白がよくきます。昔は鳥が苦手でしたが、今は大好き!でも巣作りまではしてくれそうもありません。
2014年06月22日 10:13
◇しっぽさん

こちらにもコメントをありがとうございました。
私は鳥の名前については、からきし無知なのですが、かろうじて見分けることができるのが、ホオジロです。白と黒の模様が目立つからかしら。庭に満ちる鳥の囀りを聴きながら、ちゃんと聞き分けられたらいいなと思うばかりです。

鳥が苦手な方って結構いらっしゃいますね。私はニワトリが苦手。
なんだか攻撃的な感じがしませんか?
小鳥なら大丈夫なのですが、ニワトリは怖い(/ω\)

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