ランゲルハンス島へ




     ごらん 風が透き通ってきた

     そろそろ鳥も目覚める時間だ


     もうじき夜が明ける

     出発するには上等な朝じゃないか

     さあ 帆を上げよう

     これからしばらく 陸地を見ることはない

     街も緑も しばしの見納め

     焼きたてのパンの香りも 今日が最後だ

     月と星を道連れに 風の向くまま海原を行こう

                  


     目指すはランゲルハンス島

     誰も知らない 地図にない島





画像
イワン・アイヴァゾフスキー(1817-1900) 『帆船マーキュリー号』(1848)






     風に鳴る帆が 僕たちの旗印

     風を読み 星をしるべに

     イルカと一緒に 荒ぶる海を超えて行こう
                  


     島影が見えたら入り江を探そう

     たとえすぐには見つからなくとも

     心配はいらない

     時間だけはたっぷりある

     夜になったら 

     鳥が羽をたたむように帆を収め

     波のゆらぎを聞きながら 眠りにつこう


     やがて朝になれば 

     目の前には僕たちの島

     一番乗りは君だ

     とうとう帰ってきた 
 
     ここは 記憶の果ての島
 




     さあ 帆を上げよう

     目指すはランゲルハンス島

     誰も行ったことのない 地図にもない場所へ





by aosta   2013/01/31








ランゲルハンス島とは膵臓の組織内に島状に散在する内分泌性細胞群のことを言う。
発見者である19世紀のドイツの病理学者に因んでランゲルハンス島と命名された。
三半規管にしても、ランゲルハンス島にしても、はたまたミトコンドリアに至るまで、私たちの身体の中には、精妙で巧緻な秘密が隠されているのだと思うと、不思議でたまらない。
私たち自信が、地図で表すことのできない場所なのかもしれない。

今回、ランゲルハウス島について調べているうちに、村上春樹氏が「ランゲルハンス島の午後」というエッセイ集を上辞していることを知った。
気になるタイトルである。
次いで「ランゲルハンス島航海記」なる本も見つけた。
著者はノイロムニス・N・フリーゼル。
一応博物学書としての体裁をとっているがその実、虚々実々。パロディに満ちた内容なのだそうな。
私は「ランゲルハンス島の午後」より、はなはだしくこちらに興味を引かれてしまった。
ノイロムニス・N・フリーゼルという人物についても、情報はほとんどない。
村上春樹はともかく、フりーゼル氏の航海記はぜひとも読んでみたいものである。






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この記事へのコメント

ぶんな
2013年02月01日 22:05
帆をたたんで、この絵画のような景色の洋上に、仰向けに浮かんでいたいですを。
今一つのランゲルハンス島を捜しめぐるヨットの旅なのでしょうか。
体調が気になるこの頃、生命体を構成する、維持する組織、細胞の不思議さを覚えています。ほんとうにこの器を大切にいたわりながら、航海をしなければと意識しているところでした。
詩の意味から離れるのかはわかりませんが、どうどくれぐれもご自愛くださいますように。
2013年02月02日 04:19
◇ぶんなさん

雨の音で目が覚めたら朝の4時前。
そのまま眠れなくなってPCの前に座ってしまいました^^;
先日までの寒さから打って変わって2月の雨!再び寒さが戻った時に凍りつくのではとおもうと、不安です。

「ランゲルハンス島へ」、お読み下さり、ありがとうございました。
三半規管からランゲルハンス島へと連想がつながった勢いで作ってた、おまけのような者ですが、楽しみながら書きました。帆船って昔からの憧れです。そのまま風に乗って、空にまで浮かび上がりそうです。「飛ぶ船」や「ツバメ号とアマゾン号」から始まって「スイスのロビンソン」など、船が出てくる物語をわくわくしながら読んだものでした。
図鑑好きだった子ども時代「身体の仕組み」といった内容の本も飽かず眺めたものです。身体の中に「島」がある?!それは凄く不思議でわくわくするような新しい知識でした。
身体の事を知れば知るほど、生かされてあること、を実感します。
ねこギター
2013年02月02日 09:05
aostaさんの「いくぞー、面舵いっぱーい!」という勢い(^^)が感じられて、こ
ちらまで気分上々。海洋冒険ものはワクワクしますね。(幽霊船も好きですが)
先日の三半規管から海へ出て、ランゲルハンス島へ。そういえば福岡伸一も『世
界は分けてもわからない』でランゲルハンス島の口絵写真入りで話題にしていま
したね。
村上春樹のエッセイ集はイラストレーターの安西水丸と組んだ絵本ぽい本。80
年代ならではの、のほほんとした雰囲気のエッセイです。
『ランゲルハンス島航海記』は私も読んだことがないので興味があります。空想
の旅は好きだなあ。
カタナンケ
2013年02月02日 10:14
さあ 帆をたかくかかげて 船出のときだ~
(ドラがなりわたっています、、とか)
(小学校の卒業式でわたしは このような送辞を読みましたよ
えへへ、、)

これは体の中の 島の名前なのですね、、
楽しい名前だわ~
「ミクロの決死圏」という  SF映画大好きだったけど
(体の中に人間が入り 悪いところを直し 脱出する)
また みたいなあ~
この本も読んでみたいですよ~
harukaeto
2013年02月02日 19:37
意気揚々とした気持ちが伝わる詩です。
氷の世界に住むaostaさんの心の中は、すでに春めいているのでしょうか。

希望を感じられる楽しい詩です、なんだか元気になれました。
2013年02月03日 23:50
◇ねこギターさん

>「いくぞー、面舵いっぱーい!」という勢い(^^)が感じられて

自分でも、やたら元気のいい詩になったと思います。
特別「元気な詩」が書きたかったわけではないのですが、不思議です。
詩という形にした後も、いえむしろ、そのあとの方が、たくさんのイメージがわいてきました。島の入り江や波打ち際、砂浜の向こうの繁みなどが、リアルに思い浮んでしまいます(笑)。

>海洋冒険ものはワクワクしますね

はい、おっしゃる通りだと思います。小学校時代、ヴェルヌの「海底二万里」から始まった海洋冒険物への興味は今でも健在のようです。潜水艦、帆船、飛行船(?)と「船」がつく乗り物が好きです。乗り物とは言わないかもしれませんが、幽霊船や難破船も好みです。バミューダ・トライアングルやサルガッソといった言葉に過剰反応するaostaです(笑)

福岡伸一という名前に記憶がなかったのですが、画像検索してみたら「あ、この人、知ってる。」という事に^^; 
知っているだけでなく、かなり好きです。好きなのに名前を覚えていないなんて、申し訳ないことだと反省。物事の見方、考え方の軸など、触発され、共感するだけでなく、遥かに多くの「発見」をさせて下さる、方ですね。その福岡さんの『世界は分けてもわからない』にもランゲルハンス島への言及があるのですか!うう~ん、また「読みたい本リスト」が長くなってしまいました。
2013年02月04日 00:34
◇カタナンケさん

こんばんは!
コメントありがとうございます。

きゃ、カタナンケさんも「ミクロの決死圏」ファンでいらしたのね!
私もこの映画大好きでしたよ。CGの技術もなかった時代、どうやってあんな映画を撮ったんでしょうね。ドラエモンのスモールライトの発想ですよね。目に見えない大きさになって身体の中に入り込んだはいいけれど、時間との戦い。記憶はあやふやですが、心臓の拍動で船(?)が危機に陥るとか、ハラハラドキドキの連続でした。

小学校の卒業式で送辞を読まれたと言うカタナンケさん、きっと活発で可愛らしいお嬢さんだったのでしょうね(^^♪
2013年02月04日 00:38
◇harukaetoさん

寒い寒いと言っているうちに、知らず春めいてきたこの頃です。
御無沙汰しておりますが、お変わりありませんでしたか?

>希望を感じられる楽しい詩です

作品半ばの「風に鳴る帆が 僕たちの旗印」で、「僕たちの旗印」の部分を「旗印は希望」にした方がいいのではないかとずいぶん迷いました。
迷ったあげく、最初に書いた通り、「僕たちの旗印」に落ち着いたのは、「希望」という言葉を使わなくても、希望を感じられる詩にしたい、と考えたからでした。
ですからharukaetoさんが「希望」を感じて下さったと伺い、とても嬉しいです。

>なんだか元気になれました。

ありがとうございます。この詩は私自身楽しんで書かせていただきました。
楽しく読んで頂いて、元気になっていただけたらとしたら最高です。
さあ!ランゲルハンス島まで、御一緒いたしましょう!
Zu-Simolin
2013年02月05日 16:42
ご無沙汰しています。
ランゲルハンス島。最初は実際の島かと思いました。その無知が逆に面白かったのですが、膵臓に関わるものと気付き、 aostaさんの詩の色合いが激変しました。さらに亡くなった母の病名が発見困難な膵臓ガンだったことを思い起こすと、「ここは記憶の果ての島」という詩句もその表情をさらに変えるのでした。

一方、イワン・アイヴァゾフスキーの絵が妙に眼に焼きついたものですから、ネットで検索しましたら、「黒海」と題された海だけの絵にも出会うことがでいました。知らない画家はいくらもいるものだと、ため息をつくと同時に喜びました。aostaさんのランゲルハンス島への船出が、私には未知の画家をも教えてくれたわけです。
大層に『オデュッセイア』まで持ち出すのは何ですが、航海という言葉には惹かれますね。単純に映画ではロードムービーが好きなのも、それと関係しているのかしら?
2013年02月05日 19:42
いきなり、題名見て、え!

はははは、


ミトコンドリア、これは、お勧めですよ。


ぜひ、調べて、エッセーにしてください。
2013年02月05日 22:05
◇Zu-Simolinさん

こちらこそご無沙汰しております。
コメントをありがとうございました。
ランゲルハンス島、名前だけ聞けば本当にありそうな島ですよね。
身体の中の組織に「島」と名付けるセンスが楽しいです。実際、顕微鏡写真で見ると、海の中に浮かぶ小さな島々のように見えます。ランゲルハンス諸島、というほうが当っているかもしれません。
お書きくださいましたように、インシュリンの分泌に関わっているのだそうです。
アイヴァゾフスキーは、海洋画家として知られているロシアの画家です。今回の画像の題名は、正しくは『二隻のトルコ軍艦を撃破して、ロシア艦隊と合流する帆船マーキュリー号』というのですが、ちょっと長すぎますよね(笑)。
2013年02月05日 22:28
◇takasiさん

こんばんは。コメントありがとうございます。

ランゲルハンス島を良くご存知のtakasiさんが、題名を見て驚かれたことはなんだか想像出来ますよ(笑)。
小学校の頃、図書館で借りた本で解剖図や、色々な病気の症例、もしくはその写真などをしげしげと眺めたものでした。組織や病気に限りませんが、発見者の名前が関されたものが多く興味深かったものです。
ミトコンドリアはブライアン・サイクスの「イヴの七人の娘たち」が面白いですね。ちょうど今、その姉妹作とも言うべき「アダムの呪い」を読んでいます。
ミトコンドリアDNAとY染色体・・・
人体って何て精妙に仕組まれているんでしょう!
ミトコンドリア、エッセイにするには、ちと手強いです(^_^;)
カタナンケ
2013年02月06日 20:28
なんと、、
きのう2月5日の 読売新聞 TERUMOの広告に
-----すい臓に散在する
    小さな「謎の島」は
    糖尿病の鍵を握っていた。------

ドイツの医学生 パウル ランゲルハンスが 教授より
膵臓の構造を調べるよう指示され
発見した9種類の細胞のうち 役割である消化液を
分泌する細胞のほかに 消化液とかかわりない
「島」のような細胞の 塊があることに きずくが
どういう役割をはたしているのか
解明できないまま 40歳で病死、、
それからの研究をへて この細胞塊が
ホルモンを分泌していることをフランスの
解剖学者が提唱、、
発見者の名を残して 「ランゲルハンス島」と
命名した~
そのご このホルモンがふそくすると 
糖尿病を起こすことが 発見され
その名は「島」を示すラテン語から
「インスリン」と 名付けられた、、、、

知ったばかりの興味深い名前に
また 出会え
もひとつ 興味深い つながりも(インスリン)
知りましたよ~
ありがとう~
2013年02月07日 06:46
◇カタナンケさん

おはようございます。
5日付の新聞にランゲルハンス島の事が出てたんですか?
凄い偶然!
私たちの身体の中には、巻貝もいれば島もある。
そもそも体重に占める水分の割合は70%。
それも塩分を含む生理的食塩水なのですから、私たちの身体は海そのものなのかもしれません。

インシュリンの語源はラテン語の「島」だったんですね!
ANNA
2013年04月04日 19:50
aostaさん

こんばんは。
aostaさんが書かれたこちらの「ランゲルハンス島へ」の詩、とっても気に入ってます。今いる場所「ここ」ではない「どこかへ」行ってみたい…そんな時、私は音楽を聴いたり、本を読んで物語の世界を旅したりします。そんなふうに心を自由に遊ばせる時間は、私にとってとても大切な時間です。
aostaさんの詩は、私の心をずーっと遠くへ運んでくださいました。
心に翼が生えてくるような…ほんとうに素敵な詩ですね。
とっても気に入っているので、私の手帳に写させていただいています。
aostaさんが書かれたものを読むと、清流に触れたようなすがすがしい気持ちになります。いつもありがとうございます!

四月に入り、新しいスケジュール帳になりました。
2013年04月04日 23:30
◇ANNAさん

こんばんは。
コメントありがとうございます。
「ランゲルハンス島へ」を手帳に書き写してくださるまでに気に入ってくださったとのこと、本当に嬉しいです。
「どこにもない場所」「どこかにあるかもしれない場所」への憧れは、私ニとって大切でかけがえのないものです。文章を書いたり、詩を書いたりすることも、私にとっては一つの未知なる場所への旅なのかもしれません。
「現実」も「非現実」も私には同等に意味のあるもの。いえ、むしろ、現実にはないもうひとつの場所へと空想の翼を羽ばたかせることによって、「私の現実」が確かなものになる、と言ってもいいのかもしれません。

>四月に入り、新しいスケジュール帳になりました。

何が、というわけでもないのに淡い期待に似た感覚の始まり。
真っ白なページを埋めて行くというささやかな行為によって、あたかもひとつの世界が造られてゆくかのような、不思議な感覚が呼び覚まされるように思います。
4月は重い冬服を脱ぎ捨てる季節。私の知らないところで、足取りも軽やかに新しい扉が開かれる時・・・
ANNAさんのコメントを拝見して、そんなことを感じました。いつも琴線に触れるコメントをありがとうございます。


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