消えがてのうた part 2

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zoom RSS オープン・カレッジ 「リコーダーの小宇宙」 11/29

<<   作成日時 : 2012/12/04 20:11   >>

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リコーダーと聞いた時大抵の人は、小・中学校時代、音楽の時間に演奏した「あの楽器」を思い浮かべることでしょう。

教育楽器として身近なものであった分、息を吹き込みさえすれば、誰でも簡単に音を出すことが出来る楽器であるという認識が一般的だと思います。
実際、リコーダーという楽器が中世からルネサンス、バロック時代にかけて、ヨーロッパ音楽の歴史の中で大きな位置づけをされてきたという事実を知る人は少なく、その多様性に満ちた魅力が、長い間、音楽史の中で忘れ去られていたことも事実です。
リコーダーが再び人々の耳目を集めるようになったのは、マンロゥブリュッヘンといった管楽器奏者によってリコーダーの魅力が再発見された20世紀になってからのことでした。
しかしながら、世に言う古楽ブームは、いまだ一部の愛好家のものであり、リコーダーという楽器への認知も、一般には教育楽器のイメージから脱却したとはいえないのが現状のようです。

そうした中で、今回東京工学院大学が三回にわたって企画したオープン・カレッジ「リコーダーの小宇宙」に、予想を超える参加者があったということは、なんとも素敵な出来事であったと思います。
毎回、魅力的なテーマのもとに開かれた今回の講座、残念ながら私が出席できたのは最終回の「リコーダーと室内楽」のみだったのですが、様々なリコーダーの音色を楽しむことができただけでなく、嬉しい出会いに恵まれ存分に楽しむことのできたコンサートとなりました。



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神宮外苑の銀杏並木 ちょうど黄葉のピーク!




リコーダーについてのレクチャー、および演奏をなさったのは、太田光子さんと、そのお仲間の皆さん。
そしてチェンバロは、中村文栄さん。
お二人のお名前はかねてより存じ上げておりましたが、生の演奏を聴くのは初めてです。
会場受付でいただいたプログラムには今回初めて聞く名前の作曲者もあり、開講前から既にわくわく。
そしていよいよ演奏者の皆さんが登場されて・・・
専門的なお話であるにも関わらず太田光子さんのレクチャーは、軽妙で楽しい語り口。
思わずふむふむと頷きながら身を乗り出して聞いてしまいます。
見るのも、聴くのも初めての、6度フルートやテルトンといったリコーダーでの生演奏を、最前列のかぶりつきで聴けるとは、何という贅沢な愉しみでしょう!


6度フルートとは、D管ソプラノ・リコーダーのこととの熱心な説明を伺いながらも、その内容よりなにより、目をキラキラさせながら、この楽器の響きが大好き、とお話される太田さんの表情に注目してしまいます。
果してその音色は、普通のソプラノ・リコーダーにありがちな高音域でキンキンと尖る音とは異なる、ふっくりと愛らしい音。この楽器が好きで好きでたまらないとおっしゃる太田さんは、どこか6度フルートの音色のように魅力的な方なのでありました。
一方、1700年代初頭のオランダで作られたというテルトンのリコーダーは、少々気難しい楽器なのだとか。
豊かで安定した低音の響きとは裏腹に、不安定で繊細な高音。加えて指遣いはオールド・フィンガリング。
その不安定な音をいかに思う音に引き寄せて演奏するか、演奏者の腕の見せ所ともいえる楽器を駆使して演奏なさったのはルイエのリコーダー・ソナタ。
時としてガラス細工のように繊細で透明度の高い高音、今まで聴き知っていたルイエとは全く違う表情に溜息。
今回の出演者の中で一番小柄な太田さんが、この存在感のあるリコーダーと堂々対峙された素晴しい演奏でした。
音楽の余韻が消えてゆくのが心残りでならなかった演奏のあと、一瞬の間のあとにどよめくような拍手。
楽器によって、また演奏する人によって、音が変わるのは当然の事なのだけれど、このテルトン、それだけではないという感じがします。
良くも悪くも、奏者の心の襞(ひだ)をそのまま映し出すというか、奏者を選ぶ主張のある楽器なのではないかしら。



さて、前列に並んだリコーダー奏者の後ろで、最初から最後までチェンバロを弾いていらしたのは中村文栄さん。
このかたのチェンバロが、また印象に残りました。
奇しくも今回演奏なさった楽器は、10月にP氏が出演した「ミューズのしらべ」で使われた久保田彰さんのチェンバロ、
響板にクロード・ロランの絵が描かれた、あの美しい楽器でした。
推進力のある演奏にも関わらず、品格ある音が煌めく雨の糸のように鳴るかと思えば、沈潜する低音の響きが旋律に何ともいえない深みとなって加わります。
あんな華奢の身体のどこにあのようなエネルギーが隠れているのかしら・・・
決して前に出過ぎることなく、しかし、しっかりとリコーダーを支える確かなチェンバロの響き。
改めてこの時代の「アンサンブルの妙」を楽しんだ演奏会でした。

曲ごとに違う楽器が使われ、そのたびに丁寧な解説があり、素晴しい演奏を目の前で楽しむことができた今回のレクチャー・コンサートは、太田光子さんと中村文栄さんというベテランの演奏に、これからの活躍が期待される若いリコーダー奏者の方たちが加わることで、成熟した音楽と初々しく軽やかな魅力がひとつになった何とも印象的な企画でありました。



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             <演奏曲目>

          ♪G.ガブリエリ      カンツォン第2番
          ♪G.B.フォンターナ   ソナタ第6番
          ♪J.バストン       6度フルートのための協奏曲第2番ニ長調
          ♪J.B.ルイエ       ソナタ第3番ト長調
          ♪J.ペイジブル     ソナタ第15番ニ短調
          ♪J.C.シックハルト   4本のリコーダーのための協奏曲第1番ハ長調


             <演奏者>

          リコーダー        太田光子 菅沼起一 清水琴乃 大塚照道
          チェンバロ        中村文栄

          ゲスト           平尾清治 (リコーダー製作家)
...




武藤哲也リコーダー&オカリナ教室はこちら → http://folli-2.at.webry.info/201503/article_4.html 





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「The リコーダー!」 コンサートのお知らせ
昨年10月に続いて「ミューズの調べ」第2回コンサートが決まりました。 ...続きを見る
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2013/06/04 09:49

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コメント(14件)

内 容 ニックネーム/日時
このような アカデミックな催しはまるで門外漢でも
参加できる物なのでしょうか
参加できてもあまり 意味を持たない物なのでしょうか
レクチャーがあり 生の演奏がきける、、それも
珍しい楽器で、、ということで
今後 時間があえば とても参加したいと 思いますが、、
(参加費用が とてもお高い? あるいは3日参加しないと意味を
なさない? あるいは 素人では意味がない?)
カタナンケ
2012/12/04 20:32
何と楽しげな講座でしょう!
それに思い出あるチェンバロとの再会も、弾き手が違うとまた違う表情を見せて楽しまれたことでしょう。
フォリアの季節にぴったり?…ですね(*^^*)/
アルト笛
2012/12/04 23:19
指遣いにもオールドがあるのですね。
チェンバロの旋律の表現には感じ入りました。時としてどのように言い表わしたものかと戸惑い、相応しい語彙がなかなか出てこないこともありますが、ほんとうにチェンバロが聞こえてくるようです。
ぶんぶん
2012/12/05 17:19
◇カタナンケさん

お返事が遅くなり申し訳ありません。
門外漢などと遠慮なさる必要は全くありませんよ!リコーダーという楽器の魅力を、より多くの方に知っていただくと言うのがこの企画のコンセプトです。話の内容は少々専門的な部分もありますが、何より、その場で生の演奏を聴くことが出来ることが一番です。新年度に向けてオープンカレッジの新しいプログラムも用意されているかと思います。気軽な参加費で(一回の受講料2000円!)ずっしり中身の濃いレクチャーコンサートですが毎回出席しなければならないという事はありません。現に私も最終回だけでした(^^♪
カタナンケさんでしたら、会場にもお近くですし、お気持があれば、すぐ受講できますよ。東京工学院大学オープンカレッジのアドレスを添付致しましたので、覗いて見てください。しばらく音楽関係の講座はないようですが、なかなか面白い講座があるようです。
aosta
URL
2012/12/06 23:14
◇アルト笛さん

おはようございます。
よく晴れている分、寒い朝になりました。
いつも笑っているような大田さんのお人柄でしょうか、終始ほんわかと和やかでとっても楽しい講座でした。レクチャー、と言ってもかまえたところがなくて演奏者も受講者もリコーダーが好きで、自然にその場所に集まってしまった、というような雰囲気も、とても良かったです。今回の講座には、10月の「ミューズのしらべ」を主催してくださったお二人と御一緒したのですが、やはり最前列で実を乗り出して聴いていらっしゃいました♪
たまたまですが、同じチェンバロだったこともあり、演奏者によって楽器の音色や響きが違う事を実感して下さったようです。

>フォリアの季節にぴったり?…ですね(*^^*)/

そうそう、「銀杏とフォリア」!
与謝野晶子が「金色のちひさき鳥のかたちして銀杏ちるなり夕日の岡に」と詠んでいますが、この歌にフォリアのメロディを重ねてしまいました。
aosta
2012/12/07 07:47
◇ぶんぶんさん

現在の一般的な指づかいは、ふたつどちらも20世紀になって考案された運指法です。
ひとつはイギリスで古くからあったバロック式運指を改良したもの。
もう一方のジャーマン式は、その名前の通り、ドイツで使われていた運指。その昔私たちが教わったのはジャーマン式だったようです。
オールド・フィンガリングとは、現在のバロック式に改良される前の、複雑で経験を要する指使いのこと。指が廻りやすいように、より簡便にと考えだされた現在のバロック式とは、かなり違うもののようです。
こうした「〜式」といったフィンガリングとは別に、使う楽器によって、また演奏する曲によって、指使いを替える必要もあります。
Pなど、人が演奏するのを聴いていて、瞬間的に替え指を理解するようですが、私には到底理解できない世界であります^^;
aosta
2012/12/07 10:16
ヴァイオリンの弓の持ち方なども、時代によって変化を遂げてきたようですが、リコーダーの指つかいも。やはり達人の域はすごいものですね。
たまに息子がのこしていったリコーダーを吹いていますが、かなり怪しげな運指です。まっすぐな音が出たときは、なにか気持ちも真っ直ぐになっていくようで、たとえどんな小さな曲でもすっきりします。
さまざま教えていただき、有難うございます。
ぶんぶん
2012/12/08 22:02
◇ぶんぶんさん

こんばんは。
またお話が出来て嬉しいです。
昨日の地震、そちらではかなり揺れたのではないでしょうか?
茅野では震度3でしたが、かなり大きな横揺れが長い時間続き、思わず去年の震災を思い出してしまいました。3という震度でさえ、そうした不安を煽る揺れなのですから、震度5近くの揺れともなれば大きな恐怖であったことと思います。
ぶんぶんさんのお気持がいかばかりであったか察するに余りあります。
遅ればせながらのお見舞いで申し訳ございませんでした。

ブンブンさんもリコーダーを吹いていらっしゃるのですね♪
リコーダーの音色を、真っすぐに鳴らすことは、気持ちも真っすぐになること・・・。
とても素敵なお言葉を頂いて嬉しいです。
本当に、丼楽器でも、たった一つの音であっても、心を込めて一心に鳴らすことが出来たなら、それは既に「音楽」なのでしょう。運指についての説明は、Pの受け売りです笑)。
さしずめ、「門前の小僧習わぬ経を読む」というところです^^;
aosta
2012/12/08 23:00
オープンカレッジの 情報ありがとうございました〜

こんど aosta sanが 興味をお持ちで参加 なさるものが
あったら ぜひ ご一報くださいませ〜
ゴいっしょ 出来れば 幸いです〜
カタナンケ
2012/12/09 10:40
こんにちは。

光の魔力をかんじる写真ですね。
固唾をのむ予感・・・幕間の閑かさでしょうか。
昨晩、初雪がふりました。
七海
2012/12/09 12:48
お見舞いのおことば、有難うございます。
流石に怖かったです。外に避難したのは久しぶりでした。
そちらは、大したことがなくてよかったです。
こういう場合、まさか向こうで南海トラフが…、原発が…とつい考えてしまいます。近所の一人暮らしの方のようすを見に走りました。先ず第一番に駆けつけるべき序列を予め決めておく必要があることを痛感しました。被害はなく、後になって、机に重ねておいたCDが崩れているのに気づいたぐらいでした。
ほんとうに冷えてまいりましたね。おからだをお大切に過ごされてください。
ぶんぶん
2012/12/09 16:20
◇カタナンケさん

おはようございます。

>ゴいっしょ 出来れば 幸いです〜

リコーダーとは全く関係ありませんが、来年予定されている「10か月で学ぶ、能のイロハ」、堀上謙氏が講師というところが凄いです!とても興味がありますが全6回はちょっと無理かしら。残念。
aosta
2012/12/11 06:27
◇七海さん

銀杏並木の写真に目を留めていただき、ありがとうございます。
この写真、実はとても気に入っているのです。まさに「光の魔力」!
内側からぽおっと明るむような光に照らし出された並木道。黒々と伸ばされた枝は、あたかも光を受け止めているかのようです。一瞬、暖かな金色の繭のなかにいるような、そんな錯覚を覚えた銀杏並木でした。
aosta
2012/12/11 06:35
◇ぶんぶんさん

おはようございます。
大事なかったとのこと、安心いたしました。
それでも「外に避難」なさるほどの揺れ、津波警報とくれば、緊張はどれほどであったかと思います。中央道では笹子トンネルの崩壊の原因は老朽化と報道されていますが、こうした地震による影響もあるような気がします。「リコーダーの小宇宙」のために中央道を走行いたしましたのは、崩落の3日前のことでしたので、事故を知った時は、思わず首筋がつめたくなる思いがしました。人災も天災も予期しない時にやってくる。本当に怖いですね。そちらは太平洋側とあって雪は大丈夫かと思いますが、寒さは厳しいことと思います。ご自愛くださいませ。
aosta
2012/12/11 06:44

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