旧朝香宮邸のアールデコ (2) 大広間・小客室





正面玄関に隣接した小部屋は、来客の従者のための控室です。


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照明は短冊が揺れるようなシャンデリア。

朝香宮邸の建築設計と造園を担当した宮内省所轄の内匠寮(たくみりょう)によるデザインです。



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その隣には、柔らかな緑色の濃淡で森が描かれた壁が印象的な小客室。
内装は、アールデコのデザイナー、アンリ・ラパン


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壁を飾っているのは、ラパン自身がキャンバス地に描いた油彩画。

見知らぬ遠い国、日本に想いを馳せながら描かれたであろうその作品は、東洋的な楽園の静けさに満ちています。
ラパンの作品は、この部屋だけでなく、大客室の壁、メインダイニングの壁画などに用いられてますが
いずれも抑えられた色調と穏やかで繊細な筆致が、見る人の心を和ませます。


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そして小客室のラジエターカバー。

こちらは内匠寮によるデザイン。
日本の伝統文様である青海波を思わせる意匠が、アールデコの雰囲気に無理なく調和しているのも、
当時の宮内省スタッフが熱心にアールデコを研究した成果の現れと言ってもいいでしょう。
建物の多くの部屋を手掛けたのはフランス人のラパンでしたが、
それ以外の照明や家具などをデザインしたのもこの内匠寮のスタッフでした。
そのどれもがラパンのデザインを損なう事ない素晴らしい作品で、
日本の職人技術の高さ、芸術的な感性の豊かさに改めて感嘆します。

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そして大広間へ。

連続する40灯のモダンな天井灯が正面の鏡に映り込んで、この空間に奥行きを与えています。
同じ鏡に玄関正面のラリックのガラスレリーフ扉が写っているのがお分かりになるでしょうか?
そう。ちょうどあのレリーフの真後ろがこの大広間なのです。
柔らかな光が透過するガラス扉は玄関で見たときとは違う繊細な美しさを見せてくれます。
もともと玄関から直接この大広間に入れる設計だったようですが、現在、扉は閉じられたまま。
残念と言えば残念ですが、保護のためを考えるとやむを得ないのかもしれません。


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大広間の壁面に飾られているのは、レオン・ブランショ作の大理石のレリーフ「戯れる少年たち」。


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圧倒される華麗な大広間の中で、牧歌的で暖かな作品です。






     ◇旧朝香宮邸のアールデコ ① http://folli-2.at.webry.info/201101/article_5.html 
     ◇旧朝香宮邸のアールデコ ③ http://folli-2.at.webry.info/201101/article_7.html
     ◇旧朝香宮邸のアールデコ ④ http://folli-2.at.webry.info/201101/article_9.html
     ◇旧朝香宮邸のアールデコ ⑤ http://folli-2.at.webry.info/201101/article_10.html

     ◇intermezzo 「朝香宮のグランドツァー」 http://folli-2.at.webry.info/201101/article_8.html








この記事へのコメント

2011年01月12日 11:19
ゆっくり食事したい雰囲気
その時代を味わいながら、、、
2011年01月12日 21:13
◇バクさん

コメントありがとうございます。
時代を味わいながらの時間はゆったりと優しく流れるのでしょうね。
ダイニングへの御案内はもうしばらくお待ちくださいな(笑)。
bunbun
2011年01月12日 21:32
 aostaさん、こんばんは!
こんどは東京都庭園美術館。東京に行ったのは姪の結婚式のときでした。いつも駆け足。というわけでこの美術館も見ていませんが。広大な庭園付きに心惹かれます。アール・デコの屋敷内、お陰様で見せていただいております。
 アンリ・ラバンの絵、とても油彩画とはおもわれません。作者を読むまでは日本人作家であると思ったくらいです。
 宮内庁内匠寮、照明、家具までデザインしていたとは!てっきり外部発注かと思っていました。
 威信をかけたというか、精魂こもったものは、いつまで経っても風格が褪せず重みを感じさせ、包容力をもってそこにある者たちを寛がせる、そんな感じがいたしました。いつかゆっくりと行くことができたなら幸いですね。
2011年01月13日 05:57
◇bunbunさん

おはようございます。
ラパンの絵は油彩とは言え、絵具は極薄塗りです。ほとんど重ねてはいないかもしれません。緑の濃淡で描かれた深い森を流れる川や滝が控えめな銀彩で描かれているのですが、その銀色が光の角度で白く光って見える、なんとも素敵な作品です。、フランスからキャンバス地を巻いた状態で送られてきたものだとか。
この部屋に限らず壁の意匠はいずれも工夫を凝らした素晴らしいものであった様ですか、美術館として改装された際、不燃性の壁紙に張り替えられてしまったと言う事です。仕方ないと言ってしまえばそれまでですが、何か方法はなかったのかと残念でなりません。

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