消えがてのうた part 2

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zoom RSS 「アンサンブル・ゼファー」古楽コンサート 

<<   作成日時 : 2008/11/02 00:27   >>

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この夏、初めて訪れた「ハーモニーの家 」渡邊暁雄メモリアルホールで再び素敵な演奏会がありました。
その名も「アンサンブル・ゼファーと仲間達による古楽コンサート」です。

前回、このホールを訪れた時は、まだ緑濃い7月でしたが、すっかり装いを変えた晩秋の森には金色の落ち葉が散り敷き、ハーモニーの家も秋の憂いの中で静かにコンサートの始まりを待っていました。


開演、まず第1曲めはスザートの「ベルジュレ・サン・ロック」
なんだかどこかの国の啓蒙思想家のような響きですが(笑)、4本のリコーダーによる、軽やかで弾むように楽しいルネサンス時代の舞曲です。
この演奏を聴いただけで、これから始まる演奏への期待と喜びの予感に胸がどきどきしてきました。



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予感はたがわず、テレマン、パーセル、ヘンデル、バッハと続いたプログラムはどれも、時に優雅に、時に哀切に、そしてまた晴ればれと演奏され、ルネッサンス・バロック期の音楽の魅力を堪能したコンサートでした。
全部で12曲のプログラムの中から、特に印象に残った曲について少しお話ししようと思います。



個人的な好みで、まずはパーセルの「シャコンヌ」から。

シェイクスピアの「真夏の世の夢」を題材に取ったこのオペラの中で、婚礼の場面で演奏されるのがこの「シャコンヌ」だったと記憶しているのですが、いかにせん、あまりに長大な作品なので確信はないのですが・・・
主題と繰り返されるいくつもの変奏の美しさは言わずもがな、絶えず刻まれるバス・リコーダーのやわらかな響きは旋律を損なわず、気持ちよく、しっかりと音楽を支えています。
メランコリックでどことなく荘重な雰囲気も感じさせるこの曲は、心を静かに震わせながら、淡々と流れていきました。
今日のリコーダーの四重奏は優美な、そして抑制の利いた、いかにもパーセルらしい雰囲気にあふれる素晴らしい演奏でした。


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そして  ヘンデル 「リコーダー・ソナタ イ短調」

そっと肌に触れてくるようやわらかな暖かさと端正な音色のアルト・リコーダーとチェンバロの通奏低音。
この日の演奏は同じアルトでもバロック・ピッチのリコーダーによるものでした。
およそ半音低いというだけで、どうしてこんなにも古雅な音色になるのでしょう。
時代が変わることで楽器は変わり、求められる音色も変わってきました。
けれどもヘンデルやバッハが生きていた時代の音が、そして音楽が、耳元で静かに歌い始めるとき、会場の空気までもがその時代の気配に同調していくかのようでした。

どこか陰りを感じるリコーダーの音色と、しめやかでいながら硬質に輝くチェンバロの響き。
時々聴こえてくるのは、苦さを隠し持つ明るさ・・・
溜息がでるほどしっとりと美しいラルゲットです。
この曲の通奏低音の美しさ、憂いを帯びた明るさはまさにヘンデルの魅力そのもの、といってもいいかもしれません。
続くアレグロは第1楽章とは打って変って対照的な心躍る快活な演奏。
この第1楽章から第2楽章へと曲想が変わる瞬間の、絶妙の間が放つ爽快感。
緊張感と開放感を身体で感じるときの喜びは、沈黙する「間」もまた、張りつめた「音楽」そのものなのだと実感するときでもありました。
そして第3楽章のアダージョ。
私のイメージではもう少しゆっくりとしたこの楽章が思いがけず引き締まったテンポで演奏されていきます。
豊かな表情に満ちた、たおやかなラルゴとでもいいましょうか。
第2楽章の高揚感に満ちたテンポとリズムが再び帰ってくる終曲のアレグロ。
リコーダーとチェンバロがまさに風のように戯れながら立ち現れる旋律の美しかったこと。



それから  バッハ 「フーガの技法 」 BWV1080より コントラプンクト 1番・9番

まるでほの暗い場所から揺らめくように旋律がが立ち昇って来ます。
・・・いえちょっとちがうかな?
むしろ、鎮まった闇の中に差し込んでくるかすか光のような、という方がこの1番にはふさわしいかもしれません。
二つの主題が絡み合う緻密な構成の9番。
まるで4本のリコーダー同士、何かの言葉を交わすように、それぞれの旋律が夢のように浮かび上がり、また夢のように沈んでゆきます。
そして最後の和音の美しさときたら!!
もし完全なハーモニーがあるとすれば、今回のこの演奏は、限りなくそれに近かったのではないでしょうか。
最後まで心地よい緊張感に満ちた素晴らしいバッハでした。

アンコールは空高く舞い上がるようなソプラニーノの音色も印象的な、ヘンデル「シバの女王」。
それまでの張りつめた空気が一転してはじける、なんとも楽しい素敵な演奏でした。



今回初めて聴かせていただいたアンサンブル・ゼファーのコンサートでしたが、、アマチュアとは思えないテクニックと音楽的感性にあふれた素晴らしいアンサンブルに、すっかり魅了されたひと時でした。


それにしても、「アンサンブル ゼファー」とは、なんて素敵な名前でしょう。
ゼファー、すなわちゼフィロスはギリシャ神話の中の優しい西風の神さまのことです。
リコーダーという楽器の音楽は呼吸そのもの。そして呼吸は「風」なのです。
優しく大地を吹きすぎてゆく風。
私たちの身体を、そして心を揺らしながら吹いてゆく風。
その風を心ゆくまで感じていたい。風を愛したい。
なぜなら、私にとって、風は音楽そのものであるのですから。

次回もまた「アンサンブル・ゼファー」の皆さんが、素敵な風を送ってくださいますように。



★ 過去ブログでのクラシック音楽記事はこちらから → http://follia.at.webry.info/theme/5fd91a072f.html

                     

         


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コメント(14件)

内 容 ニックネーム/日時
すっかり黄葉につつまれたハーモニーの家ですばらしいコンサートでしたね。八が岳の麓の森の中で優雅な古楽が・・・すばらしいですね。
リコーダーは風、なるほどそのとおりです。
森の生活
2008/11/02 07:51
◇森の生活さん

コメントありがとうございます。
今回はゼファーの3回目のコンサートということでしたが、私には初めてのコンサートでした。りコーダーのほかにフラウト・トラヴェルソの演奏もあり、こちらもまた、伸びやかで素敵な演奏でした。
これでヴィオラ・ダ・ガンバがあれば言うことはありませんが、地方でそこまで望むのは無理かもしれませんね。
aosta
2008/11/02 20:02
ブログ見ていただきありがとうございます。
aostaさまのブログから音楽への関心の深さうかがえます。
私は、演奏者の友人でコンサート聞かせていたたきました。
オフィーリアの話も興味深いですね。
2年前、アムステルダムで見たのを思い出しました。
また、よろしくです。
yamamoto
URL
2008/11/03 10:38
aostaさん
アンサンブル・ゼファー!
なんとアマチュァの方たちによるコンサートだったのですね。
ピリオド・アプローチによる演奏が、いつの間にかプロ、アマの垣根を越えて、その芽がすっかり根付いたとも言えるのでしょうか、私たちの音楽世界の土壌の豊かさを実感させられます。

ゼフュロスが、当日の妙なる演奏を私の耳元にまで運んでくれたのか、頭の中にある音楽堂の天上壁画が、たちどころにボッティチェルリの「春」となり、大地のニンフ、クロリスが、愛の西風によって花の女神フローラにメタモルフォーゼしたかのように、その夢心地の幻想裡で奏されるパーセルやヘンデルなどの優美な音楽を、少なからず共有することが出来たとでも言いましょうか、いまも繰り返し鳴っています。
sonnet
2008/11/03 11:29
aostaさん、こんにちわ。
音楽が聴こえそうな素敵な表現にうっとりしました。
リコーダーの音色、素朴でまっすぐ、やさしくてあったかい感じがしますね。ソプラノ、アルト、テノール、バスと音色豊かでうらやましいです。
フルート4本は、まず音色の統一に悩まされます。
 あまり難しく考えないで、楽しく演奏するのが大切ですよね♪
(って、ちょっと甘えてみました^_^;)
 私も風と友達になりたいです。
ちょろえ♪
2008/11/03 14:10
◇yamamotoさま
 おいでくださいましてありがとうございます。

>音楽への関心の深さうかがえます。

音楽は大好きなのですが、音楽を言葉で表現することの難しさを痛感するばかりです。それでも書かずにはいられないのは、私にとって「言葉」が唯一表現の手だてだから。本来言葉を超えるものである音楽を言葉で言い表すこと自体無理があるのですが(笑)。
毎回音楽の記事を書くたびにジレンマを感じています。

今回のコンサートは、ヘンデルのイ短調を演奏なさったMさんにお声をかけていただいて伺いました。チェンバロのKさんは昔から存じ上げている方だったのですが、最近まで、チェンバロを演奏なさるなんて全く知らなかったものですから本当にびっくりいたしました。ヘンデルの通奏低音だけでなく、クロフトの「グラウンド」の演奏も本当に素晴らしかったですね。身近にこんな素晴らしい音楽を演奏する方たちがいるという幸せを感謝するばかりです。

またそちらのブログにもお邪魔させていただきます。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
aosta
2008/11/03 22:46
◇spnnetさん
 おはようございます。

コメントありがとうございました。
確かに何年か前でしたらアマチュアで古楽なんて考えられませんでした。
sonnetさんのお言葉の通り、<ピリオド・アプローチによる演奏が、いつの間にかプロ、アマの垣根を越えて、その芽がすっかり根付いた>ということなのでしょう。それも単にピリオド楽器によってその時代の音楽の輪郭をなぞる、というだけでなく、今まで私たちが考える以上に自由で闊達であったに違いないバロックの魅力が生き生きと伝わってくる、素晴らしい演奏会でした。

ゼフュロスから連想するのは私もやっぱりボッティチェリの「春」です♪
野辺には春の花が咲きこぼれ、かぐわしい薔薇の花が風に散るあの光景にはやはり典雅なルネサンス・バロックの音楽が似合いますね。
女神フローラが若草を踏む軽やかなリズムさえ聴こえてくるような気がします。
aosta
2008/11/04 05:37
◇ちょろえ♪ちゃん

おはようございます。
確かにリコーダーって、バスからソプラノまでカヴァーする豊かな音を持っていますね。コントラバスからソプラニーノまで、数えてみたら7種類?
でもピッチを合わせるのが大変と、しばしば聞いています。

以前聴かせていただいたちょろえちゃんのフルートも優しく暖かく鳴っていました。すでに風とはお友達ではありませんか?
aosta
2008/11/04 05:50
aostaさん。幅広く奥深い文化関心記事。
直感的に興味あって過去のアーカイブ、見ました。
今は、何よりも体調大丈夫ですか??「偶然の行きつくところ」。。。とか読んだのですが。
今後ともよろしく。
yamamoto
URL
2008/11/04 20:14
◇yamamotoさん

こちらからお伺いする前に再コメントをいただきまして恐縮です。
過去記事をご覧頂いたとのこと、ありがとうございます。
不本意な理由によって「消えがてのうた」の継続を中断しなければならなくなって、「PART2」として再スタートを切ったのですが、過去の記事にはそれぞれ愛着がありますので、yamamotoさんのコメントをとても嬉しく拝見いたしました。本当にありがとうございます。

御心配頂きました体調は、平均的な「経年変化による劣化」にとどまっております。おかげさまで、病気の再発は私も息子も現在に至るまでなんとか免れ、健康に過ごしておりますので御安心ください。
ありがとうございました。
aosta
2008/11/04 21:21
マイペースで生きましょう。
yamamoto
2008/11/06 18:30
◇yamamotoさん

ありがとうございます。
優しそうで難しいのが「マイペース」なのかもしれませんね。
最近はもっぱらマイペースな毎日です。
マイペースでいられて幸せだなって思います♪
aosta
2008/11/07 05:59
aostaさんへ
お早うございます。音楽のコメントでなくてごめんなさい。実はメッセージでお願いしようとおもったのですかメッセージをする欄がなくなってしまいましたのでこの欄でお願いするしだいです。貴女様の「07,02,てふてふが韃靼海峡を・・・」のブログ本当に素晴しいので私のブログのアサギマダラの記事の中にリンクさせていただきたいのですが、おゆるしいただけませんか。お願いします。なお貴女様からメッセージいただけませんか。そうすればご返事のメッセージをお送りできますのでどうかよろしくお願いします。
ひょうすけ
2008/11/09 10:38
◇ひょうすけさん

コメントありがとうございます。
ここ何日か出かけておりましたので、お返事が遅くなりまして、申し訳ございませんでした。
リンクの件、ありがとうございます。アーカイブの記事の関しては、TBをこちらからお送りすることはできないのですが、受けることはできますので、ひょうすけさんの記事もTBしていただけましたら嬉しいです。

aosta
2008/11/12 10:33

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