消えがてのうた part 2

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zoom RSS 秩父一泊二日 / 街並み編 @

<<   作成日時 : 2016/02/01 19:19   >>

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そもそも、私が秩父に行ってみたい!と思ったのも、この建物の写真を見たことがきっかけでした。

秩父神社からまっすぐに伸びる番場通りの交差点にある小池煙草店。
まるで銀行!
煙草屋さんといえば、人ひとりが座れるだけの小さな店というイメージしかなかった私にとって、まさに驚き。
平成16年に登録有形文化財となったこの建物は、昭和初期に建築された小池煙草店。



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どっしりと重厚な建物は通りに面した壁を高く立ちあげ、あたかも建物全体が鉄筋コンクリート製であるかのように見せる看板建築
”看板”の背後は鉄板葺の片流れ屋根になっているのですが、そうと知った後も、その素晴らしさはいささかも損なわれることはありません。
ぱっと目に入ってきたのは二階部分に連続する縦長の窓。凝ったデザインの窓枠はもちろん木製。
白く塗られた窓枠、繊細な幾何学模様が印象的です。





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壁面に設けられた水平な突起部は、コーニス・モールディングと呼ばれ、雨水が直接建物の壁に当たらないようにという実際的な目的と装飾性を兼ね備えたものです。
モールディングの下には葉っぱをデザインしたレリーフがぐるりと建物を回っています。
肉眼では確かめることが難しかったのですが、写真を拡大してみると、これはもしかしたらアカンサスの葉をイメージしたもののように思えてきました。
ギリシャ・ローマ時代から現代に至るまで、西洋建築を美しく飾ってきたアカンサス(葉あざみ)のデザイン。
煙草屋さんだから、といって、煙草の葉ではあまりにも装飾性に欠けますもの、ここはアカンサスと見たほうが正しいような気がします。
もしそうだとするなら、当時の職人さんがアカンサス模様を知っていたことになります。これはすごいことです!

そしてアール状の建物の角に施されたアールデコを思わせるシンボリックなデザインのメダイヨン。
葉っぱを図案化したレリーフも、このメダイヨンも、純粋に装飾性だけを追求したもの。
つまり、美意識そのもの。
これらの装飾は、みな当時の左官職人の手仕事によるものです。
銘仙館の建物にも感じたことですが、あっぱれと言うしかない職人技です。






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店舗部分の破風は木製。
本来は風が吹きこまないことを目的としたものですが、この建物の場合は純粋に装飾と考えた方がいいかもしれません。
重量感のあるコンクリート製の建物の中で、この連なる波模様をした木製の飾りが軽やかに愛らしく、それでいてインパクトのあるアクセントとなって、全体を引き締めています。
「柔よく剛を制す」とはこのことかしらん(^^♪
(この場合の「柔」とは素材としての木材、「剛」とはコンクリート)

今は出入り口も閉ざされ、ガラス窓は内側から目隠しされて店内の様子をうかがい知ることはできません。
単に煙草を売るためだけだとしたら、こんなに立派で大きな建物にする必要はないような・・・
もしかしたら、小売りだけでなく煙草のほかにも、にパイプや煙管といった喫煙具なども扱っていたのかしら。
それとも、煙草を買いに来たお客さん同士が歓談できるカフェのような場所も併設されていたのかしら。
住宅も兼ねていたというこの建物で、煙草屋さんのご家族がどんな暮らしをしていらしたのでしょう。
例によって、私の妄想はふくらんでゆきます(笑)






さて、こちらは小池煙草店から至近の距離にある、パリー食堂。

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「パリー食堂」と書かれた文字を見たとき、ふと思い出した詩がありました。



           「ふらんすへ行きたしと思へども  ふらんすはあまりに遠し
           せめては新しき背廣をきて きままなる旅にいでてみん。」

                       萩原朔太郎(明治19年〜昭和17年)


パリーと同時代を生きた朔太郎にとっても、フランスは遠い憧れの国でありました。
外国旅行など、夢のまた夢であった当時、パリーという名前に込められた思いを感じます。
織物産業などで栄えていたそのころ、この界隈は大勢の人々でさぞにぎわっていたことでしょう。
もともとはモダンなカフェーだったというパリー、昭和2年の建築だそうです。



カフェーと言えば、女給さん。女給さんと言えば、銘仙に白いエプロン。
銘仙の本場、秩父の女給さんたちならきっと素敵な銘仙美人だったに相違ありません。

それにしても、今でも営業しているというのがすごい。





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ここにもやっぱりメニューのサンプルがありました。
オムライスやポークソテー、海老フライといった洋食から、酢豚や八宝菜といった中華、丼ものから麺類まで。
あれこれ迷ってしまいそう。まさに町の食堂という品ぞろえ。

せっかく営業しているのだから、中に入れば良かったのですが、お昼ご飯はエデンで済ませてきたばかり。
しばらくサンプルとにらめっこしていたaostaですが、花屋さんでは威勢よくお店に入って行ったのに、なぜかここで躊躇してしまいました。 なぜ???
今思えば、すごく残念!!






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歩いている途中で見かけた窓。
ダイヤ型のデザインに魅かれて立ち止まれば、壁に使われていたのは大谷石でなく、なんと諏訪の特産鉄平石。






                                                    まだまだつづく (;^ω^)・・・・・
 





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コメント(12件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは。
こうした古い建物が残っていると嬉しくなりますよね。たばこ屋さんの建物が凄いですねえ。たばこ屋さんって、こんなに大きな建物でどうやって使っていたのでしょうか。昔はたばこ屋さんは塩などの専売ものも売っていましたから大きいのでしょうかねぇ。次の食堂もいいのですね。のれんが右から書かれていますね。この辺りがまたいいですね。
HT
2016/02/01 20:48
aostaさん、おはようございます。

そうですか。この建物がaostaさんを秩父へと誘ったのですね。
木枠の窓、壁を飾る葉の装飾…一目見て、私もギュッと心を掴まれました(^O^)
この建物は、角地に建っているんですよね。往時も秩父の街の顔となるような建物だったん
でしょうね。それから元はカフェーだったという「パリー」の建物もやっぱり素敵!
銘仙に白いエプロンをつけた娘さん…想像してみただけでも、この建物にしっくりときます。そうそう。竹久夢二の描く女性が着ている着物と銘仙の着物のデザインが私の中で、イメージが重なるんですよ。
ANNA
2016/02/02 07:49
なるほど、、映画のセットのような 建物を
看板建築と いうのですか、、
でもこれは それとちがって 美意識に裏付けられた
シックな建物ですね〜
アカンサスの文様は 唐草文様にもにて
和にも要にもマッチしますね〜

秩父には 農園ホテル、、というのにひかれ(食事がたのしみ)
いったので あとはありきたりの
長瀞下りと 神社と 山車の 展示場くらいしか
いってないから コノヨウな場所をみるには
同好の 友が必要だわ(夫では 全部つきあいきれないかもね、、あはっ)
katananke05
2016/02/02 10:38
◇HTさん

おはようございます。
ほんとうに立派な煙草屋さんですね。

>昔はたばこ屋さんは塩などの専売ものも売っていました

HTさんに指摘していただくまで、このことを失念していました。
ありましたね、専売公社! 急遽、調べてみました。
煙草と塩が当時の大蔵省専売局から、日本専売公社として独立したのが1949年(昭和5年)つまり、まさにこの煙草屋さんが建てられたころなんです。
今でこそ、目の敵にされる煙草ですが、当時は喫煙はお洒落な文化だった上に、地方の税収向上のために販売促進されていたようです。
とすれば、小池煙草店が、煙草のほかに塩を扱っていたということは十分考えられますね。もっと考えればその他の食品を扱っていた可能性は大きいと思います。素晴らしいヒントをありがとうございました!(^^)!

パリーの暖簾、気が付いてくださって嬉しいです♪
そうなんです。昔のまま、右から左。建物はともかく、暖簾は今染め上げたばかりのように新しいのですが、文字は右から「パリー」と染め抜かれています。それにしても、この「パリー」の文字デザイン、すごくおしゃれですね。時代そのものが、お洒落だったんですね。
aosta
2016/02/03 06:28
◇ANNAさん

コメントありがとうございます。
ふふふ、ANNAさんも「ぎゅっと」なっちゃいましたか?!
なっちゃいますよね、この建物。
そうなんです。十字路に面したこの建物、角地に立っているんです。おかげで、看板建築とは言え、二面にわたる立派なものになりました(笑)。まさにかつての秩父の繁栄を象徴する建物のひとつであったことでしょう。

カフェーの女給さんと言えば、やっぱり銘仙のイメージですが、そこから竹久夢二が出てくるというのは、さすがANNAさんですね♪
パリーの画像、壁のパリーと言う文字の上に、かつてのネオンサインらしきものの骨組みが残っていることがお分かりになるでしょうか。このネオンがいつの時代のものかは分かりませんが、少なくとも「パリー」が「カフェー・パリー」であった時代のものであることは間違いがなさそうです。
aosta
2016/02/03 06:45
◇katanankeさん

おはようございます。
看板建築、見える所だけコンクリートを使い、それらしく見せるという発想は、確かに映画のセットや書き割と同じ発想かもしれませんね(笑)
(看板建築のURL添付いたしましたので、ご興味があるようでしたらご覧ください)
それにしても、細部に至るまでこだわった造りには驚きです。、職人さんたちの渾身の技術と努力で出来上がったこれらの看板建築は、まがい物を超えていると思います。かつては日本全国に見られた看板建築ですが、これほど立派なものはそう多くはないのでしょうか。

アカンサス文様に反応して下さり、嬉しいです。
モリスも数多く手がけたアカンサス文様、デザインとして本当に素敵だと思います。
私の想像どおり、アカンサスであるかはともかく、少なくとも煙草の葉っぱではないと思うのですが、いかがでしょう?

農園ホテルとは、いかにも美味しそうですねヽ(^o^)丿
イギリスのファーム・ステイに似た発想のホテルでしょうか。
私たちの秩父旅行は、終始街歩きで終わってしまいました。それでもまだ歩き足りません。ブログはまだ続きます^^;
aosta
URL
2016/02/03 07:04
素晴らしいリポートをありがとうございます! 大変勉強になりました!
またこれらの建物たちと再会できて嬉しいです!
小池煙草店は私達も大変に惹かれました。いつまでもそこにいたほどです。本当にただの煙草店だけとは思いがたいですね。
次回訪ねた折にはパリ―で何か食べたいと主人と話しています。
昭和2年の建築ですか? 義父の生まれ年だ・・! スバラシイ!
keikoさん
2016/02/06 17:08
◇Keikoさん

コメントをありがとうございました。
お返事がお呉れて申し訳ございません。
リポートといか、アバウトな性格の半面で、結構凝り性なところもあって興味のあることについては調べたり勉強したりすることを楽しんでいいます。
小池煙草店は、本当に魅力的な建物で、結局二日目も見に行き、今回の旅行は秩父の街歩きで終始してしまい、長瀞には行かずじまいでした(;^ω^)
こうした建物が残されているというのは、本当に嬉しいです。願わくば内部も見たかった。維持管理にかかる費用を考えれば難しさは理解できるのですがそこで営まれていた生活や人の気配を感じたり想像したりできたらどんなに素晴らしいことでしょう。
パリーのお食事、調べてみました。結構評判もいいんですね!
店内も昔からあまり変わっていないみたいで、昔ながらの街の食堂という感じかな。子供時代にタイムスリップしちゃいそう。次回は私たちもここで何かいただこうと思っています(^^♪ 
ちょっと一息ついたら、また旅行記を再開するつもりですので、気長にお付き合いください。
aosta
2016/02/11 09:52
馬場町の街並みも素敵ですが、荒川の方へと下っていく狭い路地(特に何もない)の佇まいとかも、僕は好きです。ただ、民家が並んでいるだけですが、そんな路地に魅力を感じたりもします。
anonymous
2016/02/11 11:51
◇anonymousさま

コメントをいただきありがとうございます。
20年来秩父に通われているとおっしゃるanonymousさんでしたら、同じ秩父でもまた違うところに共感していらっしゃるのでしょうね。秩父は不思議な町。きっと私も何回も足を運ぶことになるのかもしれません。
次回は、いわゆる観光名所ではない、普通の街並みを散策してみなくては!
aosta
2016/02/12 06:54
こんばんは!
秩父・・・素敵な建物が残ってます。
タイムスリップした錯覚にさせてくれる街並みがいいですね!
窓 太郎
2016/06/01 23:55
◇窓 太郎さま

ご無沙汰しておりましたにも関わらず、こうしてコメントをいただき恐縮です。
ありがとうございます。

秩父の街は初めてでしたが、どこか懐かしい温もりを街並みに、すっかり虜になってしまいました。和洋折衷の大正・昭和の建物に見られる、時代の心意気や美意識に心打たれます。意匠を凝らした窓の向こうには、まだ遠い昔が息づいているような感慨を覚えます。建物の中に入れないことは残念ですが、維持・管理のためにかかる費用などを考えると、難しいのかもしれませんね。
aosta
2016/06/03 19:33

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