消えがてのうた part 2

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zoom RSS フォッサマグナと山椒薔薇

<<   作成日時 : 2014/06/17 18:01   >>

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その昔、小学校の地理の時間で勉強した”Fossa Magna”フォッサ・マグナ(中央地溝帯)は、東北日本と西南日本の地質学的な境目にあたる地域の呼称です。

フォッサ・マグナの西の縁にあたる糸魚川静岡構造線が、まさに自分が住んでいる地面の下を走っているという事実には、小学生ながら興味をひかれたものでした。
さらにこの糸魚川静岡構造線と、関東地方から九州へと伸びる中央構造線とが、わが諏訪湖の下で交わっていると知って、当時コナン・ドイルの「失われた世界」に憧れていた私の鼻が、思わずひくひくと反応しました。
20世紀の初頭に書かれたドイルの小説とは、南米アマゾンのジャングル奥深く、絶壁のように切り立った台地の上で、時間と隔絶されたまま生き延びていた古代生物世界の物語です。
太古の世界に足を踏み入れた現代人たちが目にしたものは、恐竜と戦う猿人たちだった・・・・
何百万年の長きにわたって、その特異な地形ゆえに歴史から取り残されていた世界。
その物語は、小学生の私に「太古の地形」へ興味を植え付けた最初の本でありました。



しかしなぜにフォッサ・マグナと山椒薔薇?





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10年目にして初めて花盛りとなった我が家の山椒薔薇。
3mはあろうかという大木です。
あまり見かけない花ということもあって、よく名前を聞かれるのですが、薔薇と知って、驚く人も少なくありません。
別名、箱根山椒薔薇とも呼ばれるこの花が、富士箱根地域のみに自生する、日本固有種であることは知っていましたが、自生地である富士箱根地域が前述のフォッサマグナと重なっているということには、思い至りませんでした。
調べてみるものです。

Wikipediaによれば、数百万年前までは海の底だった日本ですが、地殻変動に伴って海の堆積物が隆起し現在のような陸地になったとされています。
やがて現在の富士箱根に当たる陸地で大規模な火山活動が始まり、1万mにも達したという噴火による堆積物で植物のほとんどが全滅しました。
一方で、この不毛の地にいち早く適応して、荒れ果てた大地に根を下ろした植物がありました。
現在に至るまで、フォッサマグナの特定地域だけに生息する、フジアザミや豆桜、山椒薔薇など、
「フォッサ・マグナ要素の植物」と呼ばれる植物たちです。
庭木として出回る数が少ないのも道理。
開花まで10年を要するという事実もまた、花木として敬遠される原因のひとつであるかもしれません。




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このフォッサマグナ要素の植物たち。
不遇を嘆きながらも、緑が失われたこの地で命を吹き返そうと、たくましく根を下した彼らは、必ずしも同じ一族の植物ではありませんでした。
山椒薔薇や豆桜などのバラ科、キク科のフジアザミ、スイカズラ科のイボタヒョウタンボクなど、植物の分類上は全く異なるもの同士がたまたまこの特異な地で出会い、生き延びたのです。
「前人未踏」ならぬ「前植物未踏」の荒廃した地にあって、ひたすら命をつないだ山椒薔薇の祖先は、さしずめ新天地を目指したフロンティアであったと言えるでしょう。


こうした歴史的事実を知ったのち、改めて山椒薔薇を眺めて見るのですが、開拓者のイメージとはほど遠い可憐な花にしか見えません。






                    

             ※参考     「徒然想」 ”サンショウバラ”と”フォッサマグナ要素”   
                              http://shigekeura.exblog.jp/9074832/


                       高橋秀男「フォッサ・マグナ要素の植物」 神奈川県立博物館 1971出版











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コメント(12件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは。
「山椒薔薇」、全く知りませんでした。読ませていただいてへぇ〜って言う感じでちょっと驚きました。お花も結構大きなお花に見えますが如何なんでしょうか。
そんな大昔から薔薇ってあったのですねぇ。それが家の庭で咲いているなんて素晴らしいですね。普通に庭に置いておけば10年くらいしたらお花が咲くのですか。10年と云うのも長い話すね。
HT
2014/06/17 21:57
◇HTさん

おはようございます。
山椒薔薇は直径10p弱の一重の花が咲きます。薔薇の中でもかなり大きな花だと思います。
濃いピンク色の蕾が開いて、ひらひらと波打つ薄いピンク色の花になります。
買ったばかりの時は手の平に乗るほどの大きさだった苗は、その後何年経っても花が咲かず、いっそ切ってしまおうかと思ったことも何度もありました。
来年はきっと!と信じ続けて、気が付いたら10年以上の時間が流れていました(*^^)v若木のうちは花をつけないのだそうです。
フォッサマグナ要素とういう言葉も始めて知ったのですが、この美しい薔薇が歩んできた時間の長さは驚くばかりです。もちろん、最初から今と同じ形をしていたわけではないと思いますが、バラ科の植物であったことは確かです。
ほんと、植物ってすごいと思います。薔薇を見る目が変わりました。
aosta
2014/06/18 05:27
ところ変わればですね。
ハワイでは火山の岩の割れ目から最初に咲き出す木と花がオヒアとレフアなんですが、真っ赤な派手な花(レフア)です。煙がでていてもお構いなしに咲いていますよ。それに比べて10年掛かる花もあるんですね。その分可憐ですね。
でも山椒ってネーミングがそぐわないような・・葉っぱでしょうか?
山椒の木が揺れて香るにおいに悲しい思いがあります。

庭の大量の石ころを眺めて、これってみんな硫黄岳の噴火で落ちてきたのかなあ?
って思うこの頃です。
さえ
2014/06/18 07:42
「フォッサマグナ」ってなんだっけ?なんだっけ?聞いたことがあるけど・・・と読み進めていて思い出しました。そう言えば糸魚川と静岡で線を結んで。そこが東と西の境界線みたいな・・も思い出しました。でもそんな場所にこのかわいい山椒バラがね〜・・・不思議な感じですね。 山椒バラ、近くの京成バラ園にも見事に咲いていて何度か見に行った時に覚えているバラでした。 10年もかかるなんて、私には我慢できないかな〜・・^_^;
mint
2014/06/18 09:35
>荒廃した地にあって、ひたすら命をつないだ山椒薔薇の祖先
過酷な状況に花を咲かせ続ける、何か人の生き様を重ねてしまいました。
ぶんな
2014/06/18 21:58
◇さえさん

おはようございます。

>木と花がオヒアとレフアなんですが

若いころは、ハワイならいつでも行けると思っていたのですが、今だに一回も行ったことがありません(^-^;
オヒアとレファ、検索して、恋人たちの伝説の花と知りました。赤いレファの花を摘めば、雨が降る。恋人から離れたくないというレファの涙なのだとか。
たくましいけれどロマンティックな花ですね。
山椒ばらにはそうした伝説はないみたいです。名前の由来はやはり葉っぱの形。画像ではわかりにくいかもしれませんが、本当によく似ています。
さすがに香りはありません。

>山椒の木が揺れて香るにおいに悲しい思いがあります。

香りの記憶は、感情と直結しているものが多いような気がします。
一瞬の香りで、その時の悲しさや寂しさ、懐かしさといった感情がが瞬時によみがえる。不思議ですね。

八ヶ岳も爆発を繰り返していた山だから、この辺りにごろごろしている石は噴火で飛んできた石と思って間違いないですよ。掘っても掘っても、出てくる、出てくる(/ω\)
aosta
2014/06/19 05:06
◇mintさん

おはようございます。
1万mの火山灰って、想像できませんよね。
すべてが灰の下に埋まってしまった光景。これはもう死の世界のイメージです。
この状態から復活してきた命ってすごいと思います。
まず植物。それから昆虫や鳥たちが帰ってきて・・・・人間の祖先が戻ってきたのはきっともっと後なのでしょうね。

京成バラ園にあるんですね。普通の家に庭に植えるにはちょっと育ちすぎるかもしれません。上に伸びるだけでなく、かなり横にも広がるのですが、枝が古くならないと花をつけない、となれば、枝を切ることもできません。
我が家の山椒ばらは、存分に伸びるだけの広さがあったことと合わせて、放っておいたのがよかったのでしょう(;'∀')
aosta
2014/06/19 05:15
◇ぶんなさん

おはようございます。

>何か人の生き様を重ねてしまいました。

私もあふれんばかりに花をつけた山椒薔薇の樹を眺めていると、あのころはあんな事があった、こんな事もあった・・・・といった風に一緒に過ごしてきた10年という月日を思い出します。
見上げるまでに成長した樹の姿は、我が家の庭の一つの歴史です。
aosta
2014/06/19 05:20
こんにちは。
先ほどは気持ち玉とコメントを頂き、ありがとうございました。
フォッサマグナ要素、初めて聞く言葉で勉強になりました。
子どもの頃、北海道に住んでいた時に有珠山が噴火して、昼間なのに外は夕方のように暗くなり、火山灰が降り街灯がついたのを思い出しました。
1万メートルの噴火は想像できないほどに暗黒世界になるのでしょうね。
これからもよろしくお願いします。
koji
2014/06/19 12:18
◇kojiさま

お越しくださいましてありがとうございます。
フォッサマグナ要素、私も山椒薔薇を検索していて初めて知った言葉でした。
有珠山の噴火、確かに記憶にはありましたが、何年ころだったのか全く覚えがなくて改めて調べてみました。日中でも街灯が必要となるほどの暗さとは祖像もつきません。灰が降りやんだ後は、後始末も大変だったのではないでしょうか。その灰が1万mも積もったというのですから、まさに「この世の終わり」の様な状態だったのでしょうね。
考えるだけで恐ろしい世界ですね。

こちらこそどうぞよろしくお願いいたします。
aosta
2014/06/19 17:16
そういう花 初耳です!壮大な地球の歴史の上に そうした様々の言語に絶する環境を生き抜いた植物があったんですね…まだ子どもが生まれる前 東京から日本海に抜けるドライブ旅行をしました。糸魚川構造線がむき出しになった場所 あれはどこだったのかしら 岩がむき出しになった荒々しい光景を今もはっきり思い出します。
しっぽ
2014/06/19 21:36
◇しっぽさん

山椒薔薇、そろそろ花も終わりそうなのですが、夕方からの豪雨で名残りの花も散らされてしまうかと思うと寂しいです。

>そうした様々の言語に絶する環境を生き抜いた植物があったんですね…

本当ですね。「壮絶」という言葉がピッタリだと思います。
地殻変動に伴う海底の隆起、相次ぐ火山の噴火・・・・知識としては知っていても、その時代を生き延びてきた植物の末裔を目の当たりにすると、言葉がありません。私たち人間の歴史なんて、本当にちっぽけなものなんだな、と思います。植物はえらいです。

>岩がむき出しになった荒々しい光景を今もはっきり思い出します。

私も古代の地層や岩が地表に現れた露頭を見るたび、過去における巨大なエネルギーがそのまま形になっているような印象を受けます。時間がそのまま形になったような感じ。山のてっぺんから貝の化石が発見されたりするのは理屈ではわかっていても不思議というより、怖いような感じです。怖いけどワクワクする。この気持ちってなんじゃらほい。
aosta
2014/06/19 22:37

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